番外編 お兄ちゃんとボク
最近お兄ちゃんがボクをかまってくれない。
ローラに夢中で夢中で……。
「大事な弟ミン」のことなんて忘れたんじゃ? って思う。
あんなに仲良しだったのに。
ずっと一緒だったのに。
ローラは嫌いじゃないけどさあ。妬くよね。
「ねぇ、ミン」
「何、ローラ」
「リンと今遊んでたんだけど……」
「へぇ、よかったね」
「何で塩対応……」
「別に」
「遊んでたら、おいしいキノコを見つけたの。一緒に食べない?」
「……食べる。ってそれ、年齢が幼くなるキノコだよ!?」
「え、嘘。食べたのリンなんだけど」
「ローラ、毒見ぐらいしてよ!」
「ごめん、ちょっとリンを見てくる」
「ボクも行くよ」
そんな状態のお兄ちゃんを放置できるわけないじゃん。
気になるに決まってるよ。
慌ててお兄ちゃんのもとへ向かうボクとローラ。
そこにいたのは。
「赤ちゃんじゃん!」
「たくさん食べてたからね……」
「ばぶっ」
「? お兄ちゃん?」
「あー」
「……何でローラじゃなくボクのほうに」
赤ちゃんのお兄ちゃんはすぐにボクに抱き着いてきたのだ。
「懐かしい匂いがするからじゃないのかな」
「……お兄ちゃん」
なんだかうれしくなって僕は赤ちゃんのお兄ちゃんを抱いた。
抱き上げた瞬間……ボン、という音がした。
全裸のお兄ちゃんがいた。
「きゃあああ」
「やっぱりすぐ戻ったか……よかった、ローラが下敷きにならないで」
「ちょっとまって!? ボクならいいと思ってよってたの!? お兄ちゃん」
「そりゃお前は男の子だろ。あとは裸を見られたくないしな」
「……気持ちはわかるけど……仕方がないなぁ。僕が目隠し代わりになってあげてる間に、ローラ、出てって。お兄ちゃんが着替えるから」
ああ。
ボクってなんだかんだで頼りにされてるんじゃん?
女の子にやきもち焼いちゃだめだよね。
だって僕立派な男の子だし。
「もう、しょうがないお兄ちゃんだなぁ」
ボクはそう言ってお兄ちゃんに抱き着いたのだった。




