番外編 悪役令嬢ローラ
私の名前は村人A。名前なんて、この話の中では必要ないから、名乗らない。
モブ子とでも、名乗ることにするかな。
……私の国には伝説があって、聖女と忌み子がいる。
聖女はルーラ様。忌み子はローラ。
そのローラがまた……クッソ性格悪い。
ルーラ様が優しすぎるのかもしれないけれど、よくふんぞり返ってにらみを利かせている。そしてみんなに石を投げられているけれど、そのたびに「呪ってあげる」なんて言い放つ。
まるで誰かの気を引きたいかのように、悪行を繰り返すローラは、村のはじっこで閉じ込められているのに、抜け出しては騒動を起こす。
その結果、カイリ王子や騎士団長に目をつけられているのだけれど……。
しかもまた、その騒動の地味な事。
誰もケガしないような、なんとも変な騒動ばかりだ。
まあ、その方が平和でいいのだけど、ローラの行動はまるでかまってもらえない子供だと思う。ルーラ様がいつもカイリ王子と一緒で、やきもちでも焼いているのかしら。
その割には、どこか絶望した顔ですぐ村の奥に消えていくのよね。
悪役としてはなんというか、哀愁があるっていうか。
なんなんだろうね? ローラって。
もうすぐ、聖女様であるルーラ様が彼女をどうにかするって噂だけれど……はたしてどうなるのだろう。
私たち村人は、不安と期待で、ルーラ様の行動をまっているだけしかないのだ。
忌み子がこの国から、早くいなくなってくれればいいのにと心から祈る。
この素朴で、ちょっと治安の悪い国が平和になりますように。
きっと忌み子がいなくなれば平和になるに決まってる。
だから。
ローラなんて悪役令嬢は、この国には必要ないのだ。
転生してる記憶が戻るまでのローラの様子を村人視点で書きました。
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