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僕の価値

 救急車で病院に運ばれた潤也は、脳波の検査を受け、そのまま入院した。ろっ骨を骨折していたが、命に別状はなく、意識が戻ればすぐにでも退院できるという事だった。けれども、なかなか意識が戻らなかった。

 英慈は日曜日になると、お見舞いに行った。意識が戻らずに寝ている潤也の隣に腰かけ、顔を見た。閉じられた目。この目を開けてくれ、そう願いながら見つめていた。

「潤也、お前、俺の事助けてくれたんだよな。疫病神でも死神でもないじゃんか。お前、天使だよ。」

英慈はそう言って潤也の手を握った。

「目を、開けてくれよ、潤也。」

祈るように英慈が言うと、手がぴくっと動いた。そして、

「目は、開けたくない。また、前髪が伸びるまでは。」

潤也がそう言った。意識が戻ったのだ。英慈が潤也の顔を見ると、潤也は目を開けていなかった。顔に手を触れても、目を開けてくれと言っても、頑なに目を閉じている潤也だった。

「目を、見せてくれないのか?俺にだけは見せてくれよ。」

英慈が懇願すると、潤也は薄目を開けた。

「・・・全部、僕の「目」が悪いんだ。呪われてるって言われたし。」

「何言ってんだよ。そんなの」

「そうだんだよ!いつも僕のせいで誰かが怪我をするんだ!いつも、そうなんだよ・・・。」

潤也の目から涙が溢れ、また潤也は目を閉じた。

「・・・それに、僕なんて、「目」を隠していれば誰も見向きもしないんだ。僕の価値は「目」にしかない。でも、誰かに不幸をもたらすくらいなら、僕は空気のように生きるよ。誰にも見られずに。」

潤也はもう、目を開けてくれなかった。口もろくにきいてくれなかった。英慈は諦めて帰っていった。


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