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不眠

 「英慈、お前最近、顔色悪いぞ。具合でも悪いのか?」

また選択授業の時、裕介が英慈に声をかけた。

「いや、別に。ああ、でも最近あまりよく眠れないんだ。」

英慈はそう言って、首を回した。本当は、夜中にふっと潤也の「目」を思い出して目が覚めてしまうのだった。怖いくらいに美しい目。

「お前さ、三笠に心酔しすぎじゃね?生気吸い取られてないか?」

裕介は、冗談とも本気ともつかぬ言い方をした。


 健吾は、休み時間になると潤也を探した。何のことはない、2年3組の教室にいた。教室の真ん中に座っており、前の席の英慈が後ろを向いて座って、頬杖をついて潤也の顔を見つめていた。一言二言、言葉を交わしているようだが、ただ英慈が放心して潤也を見つめているだけのようにも見えた。

 健吾が教室の入口からじっと二人の様子を眺めていると、ふっと、潤也が健吾の方を見た。健吾は、見えない何かに射抜かれたように体を少し震わせた。そして、無言で自分の教室に帰って行った。


 サッカー部の練習中、今日も潤也が座って見ていた。健吾は水道場へ行って、ちらちらと潤也を見た。潤也は健吾の方を見ない。

「部活見ていて楽しいか?お前もサッカーやればいいのに。」

健吾は潤也に話しかけた。さすがに話しかければ振り向く。潤也が健吾を見た。

「僕はサッカーを見るのが好きなんだ。自分ではできないよ。」

潤也が、またニコリともせずに言った。健吾は思わず潤也に近づいた。近くで目を見たかった。

 が、さっと視界を遮られた。英慈が健吾と潤也の間に体を入れてきたのだ。パスコースを潰すみたいに。

「健吾、何さぼってんだよ。」

英慈はそう言って、ボールを健吾にパスするように蹴ってよこした。健吾はそのボールを足で留めた。

「ちっ。」

健吾は舌打ちして、そのままドリブルをしながら練習に戻った。英慈は潤也の方を振り返ると、何か言いたげに口を開いたが、結局何も言わずに練習の輪へ戻って行った。


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