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決心
英慈は、次の日もふと絵の事が気になって、潤也の方に目を向けた。休み時間、いつも落書きをしている潤也は、この時はサッカーボールを描いていた。
「お前、やっぱり絵が上手いな。」
ただそれだけだったけれど、今まで自分に目もくれなかった相手が声をかけてくれた事は、潤也にとってはどれほどの事だったか。潤也は、ある決心をした。
放課後、いつもは教室のベランダから校庭を眺めるのだが、潤也はすぐに帰宅した。ある目的のために。
翌日、2年3組の教室では、朝からそこここでどよめきが起こっていた。潤也の目が、見えていたのだ。前髪をバッサリ切って、目が出ていた。潤也の目はとても大きくて、目力がすごかった。二重まぶたで切れ長で、まつ毛も長い。まるで漫画の主人公のような目、と誰かが言った。
潤也の「目」を見た英慈は、吸い寄せられるように近づいた。
「お前、そういう顔してたんだな。なんで隠してたんだよ。」
そう言って、潤也の机に軽く腰を掛け、片手で潤也の頬に手を添えた。クラスが一瞬シーンとなった。ピラミットが崩れる、大事件が静かに起こったのだ。クラスの誰もがその様子に注目した。
それから、英慈と潤也は「仲良し」になった。




