七章 勉強会で一騒動?1
「ここは、xを代入するんだよ。っていうか、これ、中学の数学だよ? 大丈夫なの、愛梨?」
「えへへ。大丈夫だってば」
「おい、本道、喜多。お前ら本当に馬鹿だろ」
「褒めるなって」
「ははは。俺、赤点だったからな」
「ちょっと、凛! ずるいよ! 鹿島くんの隣なんて!」
「いいの! 早いもん勝ち!」
現在、僕の家。愛梨、大輝、翔一、本道くん、弥富蘭さん、凛さんが僕の家のリビングで勉強会をしていた。
さすがに僕の部屋はちょっと狭いし。
「むむむ……こころが取られないか心配だな」
「こころ! 浮気はダメなんだから!」
「こころぉ……ここ、教えて」
なぜか、みなと兄もみのり姉もみづきもいるんだけど。
ピーンポーン
チャイムが鳴った。誰か、来る予定だったけ。
僕はたちあがり、玄関へ向かった。「はーい」と声を出して、扉を開けた。
「こーくん! 久しぶり!」
可愛い聞きえ覚えのある声がしたと思ったら、僕の体が急激に重くなった。倒れないように、なんとか持ちこたえる。シャンプーのにおいがした。
「え? ええ??」
「お久しぶり。お兄」
僕のことを「こーくん」「お兄」と呼ぶのは二人しかいない。
「沙奈と伊織?」
「そうだよ!」
「お兄! 久しぶり!」
ぱっと体が軽くなる。目の前にはロングヘアの女の子、幼なじみの竜胆沙奈がいた。少し顔を下に向けると、沙奈の妹の中学一年になった伊織がいた。
「こころ、誰だったの?」
みづきがリビングから顔を出す。沙奈と伊織を見つけると、むっと顔をゆがめた。
「あんたら、何でここにいるのよ」
「あ、みづきちゃん。もちろん、こーくんに会うためだよ」
「みづきの馬鹿のせいでこころが悪い奴になっていないか、確かめに来たんだよ」
三人に火花が散る。すると、みづきに続いて、みんなが飛び出してきた。
「嘘……」
「あの、竜胆さなえちゃん!?」
みんなが目を丸くした。当たり前だけど。
沙奈は今人気のモデル、竜胆さなえをやっている。かなり有名で、知らない人はいないくらい。週に一回はテレビで見てる。
「嘘だろ。おい、鹿島! おめーなんでこんなモデルと一緒なんだぁぁぁ!」
本道君が叫ぶ。苦笑するしかない。愛梨がとことこと歩いてくる。
「どういう関係なの」
「え? こ、怖いよ愛梨」
「答えて」
「ちょっと、待ってよ。貴方こそ、どなた? こーくんが名前で女の子を呼べるのは、あたしと家族だけのはずだけど」
「モデルだからって何でもいいと思っちゃいけないわ」
「思ってないよ」
「ちょ、二人とも! 愛梨、沙奈は僕の幼なじみなんだ。沙奈、この子は僕の――」
「彼女よ」
「なっ」
「ちょ、愛梨! それは成り行きで……」
「どういうこと、こーくん」
「待ってってばっ」
「ストーーーップ!」
僕が困り果ててると、伊織が大声を上げた。
「君、それから、姉貴。お兄を困らせないでよ」
伊織が愛梨と沙奈を睨みつける。
だめだ。僕には止められない……。
もう二人でしたね。これで一応全員だと思います……?
次回からは、キャラ設定をあとがきで書こうと思います。