六章 コメディに女好きはかかせない?
「あ、あの……」
「はい」
朝早く、僕はいつも通り早く登校した。二十分後、僕の待っていたある女の子がやってきた。
彼女は、ショートカットの髪をオレンジのピンで止めていた。
「えっと、き、昨日なんですけど……」
「き、昨日?」
彼女が小さく首をかしげる。そして、思い立ったのか、「ああ」と呟いた。
そして、少し赤く頬を染め、にっこり笑った。
「あれ、あたしじゃないよ」
「え?」
「あたしは、弥富蘭。昨日ぶつかったのは、あたしの双子の妹の凛だよ。ほら、ピンの色があたしはオレンジで、凛はピンクだから」
「え、双子?」
「そ。だから、謝るなら、凛に謝ってもらえるといいかな」
「そ、そうですか。すみません。あの、じゃあ、謝ってもらってもいいですか?」
「ふえ?」
「えっと、その、弥富凛さんに、蘭さんから謝ってもらっといてもらっといてもいいですか?」
僕が少しうつむきながら言うと、彼女はよりっそう頬を赤らめて、何度も激しく首を振った。いや、首とれそうだよ。
「わ、分かった! 言っとくね!」
「あ、うん。よろしくお願いします」
「鹿島!」
「ぐはっ」
僕が、弥冨さんに頭を下げると、僕の名前と共にみぞおちに何か刺さった。
うう……息できない……。
「鹿島! お前、テスト勉強会やっるってな!」
「な、何で知ってるの?」
痛さに顔をゆがめながら、顔を上げると名前の分からないつんつん頭の人が僕のみぞおちに拳を突きつけていた。
「えっと、誰?」
「おいいいいい! 同じクラスメイトなのに!」
「えーっと」
「本道宏。通称ヒロ。クラスで一番馬鹿。いじられキャラ。女好き。スポーツ上の下」
「うわっ!」
「よっ。こころ」
「お、おはよう。大輝」
「よう、美東。何か半分は悪口だっただろ」
「……」
「シカトかい!」
本道君が泣きまねをする。
それより、大輝はいっつも驚かされるなあ。ちょっとしたホラーだよ。
「まあいい。それより、テスト勉強会、入れてくれ!」
「は?」
「勉強会?」
本道君が声をあげると弥富さんも反応する。
「え、何で?」
「なぜって、御坂さんがいるからじゃないか!」
「み、御坂さんもいるの!?」
「え、愛梨はいるけど……それが何?」
「ずるいぞ! お前ら、付き合ってるからって! 俺にもその幸福を分け与えろ!」
「……お前に幸せになったら、全人類が滅亡だ」
「ひどっ! ともかく、入れろ!」
「あ、あたしたちも!」
「ええっ。そんな急に言われても……」
「おっ? なんだなんだ? おはようさん、こころ」
「え? あ、おはよう。翔一」
「朝から皆さんお集まりで、何か?」
「それが、勉強会のことがばれちゃったらしいんだ」
「ああ、それ、俺がばらした」
「なっ」
「ええ!」
僕と大輝が驚くと、翔一はかかかといつものように笑った。
「どういうつもりだ、喜多」
「どうもこうも、まあ、こいつは俺と中学からのダチだから」
「いや、そういう問題じゃないよ」
「と・も・か・く、俺も混ぜろ!」
「あ、あたし達も行きたいよ」
「で、でも、そんな大人数で」
「いいじゃねーか。楽しそうだし」
「……納得はいかないが、俺は別に賛成だ」
「うーん……分かった。弥富さんたちも、本道くんも来ていいよ」
「やった。凛にも言わないと!」
「おっしゃー! 弥富シスターもくんのか!」
「じゃあ、明後日の土曜日ね、僕の家に」
「オッケー! んじゃーな」
みんなが学校のチャイムと共に散らばって行く。
はあ。みのり姉や、みなと兄、それからみづきになんて言おう……。
えっと、新キャラ続々ですぎですね……まだ、後、一人出る予定なんです。。。見守ってください。
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