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五章 ツンデレ少女に弱い人間って多いよね。

「はあー」


 僕は肩を落とし溜息をついた。隣には愛梨が僕の腕に腕を絡めて寄り添ってくる。


「あのさー、やめてほしい……」

「いいのっ。あたしたちは付き合ってるんだから!」

「いやいや、良くないって! だってなるべく僕、目立ちたくないもん!」

「じゃあさ、こうすればっ!」

「うわっ」


 愛梨が僕の顔に手を伸ばし、僕の眼鏡を外した。黒くなっていた僕の目が本来の濃紫になる。ぼくは急いで、眼鏡を奪い取った。そして掛けなおす。愛梨はにこにこ笑っていた。反省の色が全く見えないんだけど……。


「やめてよ!」

「いいじゃん。あ、ごめんってば!」

「ふん」


 僕はそっぽ向いて歩き始める。愛梨が僕に必死で謝った。

 それでも僕は知らないふり。


「きゃっ」

「うわっ」


 刹那、僕は思いっきり尻餅をついた。おそらく、ぶつかった人が悲鳴を上げる。


「大丈夫?」

「あ、うん。すみません」


 僕はたちあがり、ぶつかった人を見た。その子は小柄でショートカットが良く似合う少女だった。よく見ると、僕の高校の制服を着ている。ネクタイの色からして、僕と同じ歳。


「いえ、こちらこそすみま――」


 小柄な少女が僕を見ながら表情を固めた。彼女は見覚えのある顔だった。クラスメイトのはず。名前は覚えてないけど。彼女、僕をにらみつけた。


「さいってー! もっとちゃんと、前見て歩いてよ!」

「えっ。ええ! ちょ、走ってきたのはそ――」

「前見てないほうが悪いんだから!」


 小柄な少女ははき捨てるように言うと、走って去っていった。

 僕らは呆然と彼女の背中を見ている。

 すると、愛梨が僕の肩に手を置いた。


「……女の子は繊細なんだよ」


 それだけ言うと、愛梨は僕を置いて歩き始めた。僕は無言で彼女を追った。




 ど、どうしよう! つ、ついにしゃべっちゃった。で、でも、あんな風に言ったから嫌われたかも……。顔、赤くなってなかったかな?

 は、初めてだよね……鹿島くんと話したの……。そいえば、御坂さんもいたっけ……つ、付き合ってるって聞いたけど、ホントなんだ。


「凛、部屋入るよー」


 うわ。蘭だ! や、ヤバイ顔、赤くなってるかもしれないのに!


「凛? どうしたの? 枕抱えて」

「えっ。あ、いいじゃん。いいの!」

「ははーん。さては良いことあったなぁ?」

「な、何で分かるのよ!」

「ふふふ。何年、双子やってるって思ってるのよ」

「う……」

「早く、話なさいよ!」


 で、でもこれ言ったら、蘭怒るから……。


「早く!」

「あ、あのね……きょ、今日さ、か、鹿島君と話したの」

「えっ! う、嘘……あ、あの鹿島君? 鹿島こころ君?」

「うん……」

「うらやましー! ずるいよ、凛だけー!」


 言いたくなかったのに……。あたしだけの秘密にしようと思ったのに。

 蘭も、鹿島君好きだもんね。


「ずるいー!」

「いいじゃん! 蘭は鹿島君と同じクラスじゃん!」

「でも、話たことなんてなかったのに!」

「見られるだけでも幸せじゃん!」

「むー」


 蘭ってホントに欲深いなあ。あたしなんてしゃべったって言っても、あれはただ切れちゃっただけなのに。

 はー。明日も話したいなぁ……




 僕はその時何も知らずに鼻歌を歌いながら瞬く星空を見上げて自分の家へと向かっていた。

新登場人物です!二人いっぺんにでてきました!

けっこう凛と蘭はお気に入りキャラですww

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