一章 僕の家族って変わってる?
「た、ただいま」
僕はへとへとのまま家に帰ってきた。あれから、僕の家とは逆側の愛梨の家に行き、大きな屋敷のような家に驚き、そこで、愛梨の両親とあって、たすけてくれた事を愛梨が言うと愛梨の両親は目を輝かせて、「夕食を一緒に食べないか」というのを必死で断ってきたのだ。(断らないと、みなと兄に叱られる)
「おっ、お帰り!」
ドタバタと音がして、リビングのドアからみなと兄がエプロンを着けてやってきた。そのまま、僕の額に手をやる。
「熱ないか?」
「ないって」
僕は、みなと兄の手を払い、靴を脱いだ。
鹿島みなと。現在大学一年の僕の兄だ。綺麗に整った顔立ちで、髪も染めてなく、清潔感のある兄で、高校ではもててたらしい。(みのり姉に聞くと)僕の家で家事を担当している。
勉強も運動もルックスも性格も完璧な兄だが、一つ欠点があった。それは、かなりのブラコンであること。(あれ?この表現ってオッケーなのかな?)実の妹二人には接待は普通なのに、義理の弟の僕が関わるとみなと兄はすぐに僕に触りたくなる癖があった。もちろん、妹二人にもすっごくやさしいけど。小学生の頃は毎日抱きついたりしてきたけど、今じゃ、それはやばいと感じ始めたらしく、抱きつくのは抑えている。
でも、必ず、僕に触らないと気がすまないらしく、額に手を置いたりして、わざとらしく、熱を測ったりしていた。
「今日の夕飯は肉じゃがだ」
「本当? やったね」
僕は、みなと兄の言葉に胸を弾ませ、リビングのドアを開けた。肉じゃがの匂いが漂う。
「あ、お帰り、こころ!」
ソファーから顔を出したのは、僕と同じ歳のみづきだ。クラスは別の一年四組一応、友達には、双子としている。
みづきは、ツインテールの背の小さい子だ。多分、背の低い僕と同じくらい。勉強はダメダメでも、運動はかなりできる。しっかりしていて、責任感の強い子なんだけど、それは家の中だけで、外ではかなりの人見知りだった。そこが男子に受けるらしく、もてている。(何で、僕の家族は、こんなにも美男美女揃いなんだろう。僕だけ、取り残された気分)
「こころ!あのね、今日、寂しかったんだよ」
みづきは僕の腕を掴むと、無理やり、僕をソファーに座らせた。そして、上目遣いで僕を見て言った。
「誰も、帰る人がいなかったんだよ。迎えにいったのに、いなかったもん」
「それはさ、みのり姉のせいだよ」
その本人はまだ帰ってきていない。みづきは、ぷぅっと頬を膨らませた。その仕草が可愛い。
決してシスコンなんかじゃないけど。
「こら! みづき、あまり、こころを困らすな!」
「えー。面白いじゃん」
「くっそぉ、俺もみのりと同い年だったら、年中一緒だったのに」
コトコトという音と共に、みなと兄のぼやきが聞こえる。僕は苦笑した。
「そういえば、何で、今日遅かったの?」
「えっ? ああ、何か、変な人に巻き込まれちゃって」
「「変な人?」」
さすが兄妹だ。二人とも息ぴったり。
「まあね。じゃあ、僕勉強するから」
「えー。こころ、一緒にゲームしよ」
「ダメだよ、みづき。あんまりだらだらしてると、また三桁の番号になるよ」
「うー。まじめだなあ、こころは」
「みづき、お前も勉強しろよ」
「どうせ、あたしは赤点ですよーだ! みなと兄も、こころに触るのもうそろそろ、卒業したら? それじゃ、まるで、ラブコンだよ?」
「ラブコンのお前に言われたくないわ! それに、俺は、こころを心配してるんだ!」
「へー。迷惑してるよ、こころ」
「そんなことはない!」
僕は、立ち上がり、二人の会話を聞きながら自室へと戻った。
兄のみなと、けっこう気に入ってる自分です。こんな兄いたらいいなぁと思うんですね。まあ、あまり、触られたくないかも 笑