プロローグ2
いつの間にか、屋上に来ていた。(このベタな展開にもついていけてない)
屋上には学年一の美少女&僕のクラスメイト、御坂愛梨がたっていた。そして、もう一人、名前も知らない男子が御坂さんに向かって僕には後ろ向きにたっていた。
御坂さんが僕に気付き、少しうろたえて男子に向き直る。
「貴方が好きです!」
……はい?
今、男子が御坂さんに言ったよね?
いやいや、待て。入学式終わってから告白ってありえない! っていう突っ込みも忘れ、僕はキョトンとその現場を見ていた。
「中学の頃から好きだったんです! 一緒の高校になれて光栄です! お願いします! 付き合ってください!」
男子がすっごい勢いでお辞儀をした。御坂さんは未だに困っていた。
もしかして、僕、邪魔?
僕は自分の立場を理解し、そっと、抜け出そうとした。その時、御坂さんと目が合ってしまい、僕はちょっと申し訳なくお辞儀をした。
すると御坂さんがてこてこと走って男子を通り過ぎ、僕のところに走ってきた。ヤバイと感じた僕はすぐに逃げようとするが、御坂さんは僕に腕を絡めてきた。
「藤本くん! ごめんなさい! あたし、この人と付き合っているの!」
………………えっ?
御坂さんがぺこりと頭を下げる。僕は何がなんだか理解できずにいた。男子がすっごい顔で僕を睨んできた。
ようやく理解した僕は叫んだ。
「ええええっ! ちょっと、まっ、痛い!」
御坂さんが叫ぼうとした僕を足で僕の足をかなりの力で蹴った。
「静かにして。ともかく、あたしに話を合わせて」
御坂さんが僕に小声で耳打ちをする。足がひりひりして涙を浮かべていた僕は黙って頷いた。
「この人、あたしと同じクラスの鹿島こころ。あたし達、春休みに出会ってそれから付き合ってるから……ごめんなさい!」
「ふぇ!あ、あ、あの、ごめんなさい?」
「何で疑問系なのよ!」
「痛っ! ごめんなさい! 僕、この人と付き合ってますぅ!」
御坂さんが再び僕の太ももを蹴り上げ、小声で言った。ぼくは必死になって、思ってないことも言った。途端に男子、藤本くんの顔が青ざめて、すぐに赤くなり僕を睨んだ。
「そうか……御坂さん、君の事は分かったよ。……鹿島こころ!」
「ふぁい!」
「てめー、後で殺ってやるからな」
「殺るって言う字、怖いんですけど! ってか何で僕!?どう考えても、僕らの会話、ぐだぐだだったじゃん!何で、気付かないの!」
男子が僕の横を過ぎて、学校に入って行く。男子の人にうっすら涙が浮かんでいたのが見えた。
男子が過ぎるのを確認すると、御坂さんが大きく息をついた。
「ふぅ。ありがとう」
「あ、いや、その、いいです」
「ん? あれ? 君、こころ君だよね」
「いや、そうなんですけど、初対面にこころ君はやばくないですか?」
僕は御坂さんを見ないように視線を泳がせる。ばれたくはないんだけど。
無理だった。
「別にいいでしょ。ねえ、本当にこころくん? だって、眼鏡掛けてたじゃん。眼鏡は?」
「取られたっていうか、忘れたっていうか」
「ちょっと!」
「はいっ。ぬわっ」
御坂さんに怒鳴られ僕は身を縮めた。瞬間、頬に痛みが走った。
「いた、たたたたたっ。痛いよ、御坂さん!」
「じゃあ、こっち向きなさい!ちゃんと目を見て話しなさい!」
「分かった! 分かったよう! だ、だから離してください! 御坂さん!」
「苗字で呼ぶのはダメ!」
「い、たいたいたい! 愛梨さん!」
「さん付けも!」
「愛梨! やめてください!」
「よろしい」
彼女はやっと、僕の頬を離した。うー、ひりひりするぅ。
彼女はまじまじと僕を見た。僕はちょっとびっくりして、視線をずらす。
「へえ。こころ……なんかあたしだけ、呼ばないのっておかしいわ。こころ、あんたすっごく綺麗な目、してじゃない」
「ふぁえ?」
「だから、紫色の目のこと」
彼女が微笑む。綺麗だと感じた。
「ありがとう。じゃあ、僕、この辺で」
もう疲れてた。帰りたい。僕は、ドアに向き合うようにして歩いた。しかし、上手く行かず、愛梨さんに首根っこを掴まれた。
「ぐぇ!」
「ちょっと、レディを一人で歩かせる気?」
「いや、その、僕関係アリマセンし」
「へえ。じゃあ、ばらしちゃおっかな」
「や、やめてください! 本当に、それだけは! 分かりました! 送ります!」
「そうこなくっちゃ」
「愛梨さん、離して下さい」
「あ・い・り」
「あ、愛梨、離してほしいです」
やっと、愛梨は僕の首根っこを離した。こんなに力あったら誰にも狙われないと思うよ。綺麗だと思うけど。
これが、僕と愛梨の出会いだった。
これで、プロローグ終了です。いやはや、なんかぐだぐだですね。ベタな主人公ですみません。