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第1章7 宿屋の仕事

 

第1章7 宿屋の仕事



【13】宿屋の仕事


 宿屋で働く事になったりの達。


 しかし、何をすればいいのかが解らない。


 そこで三人は、借りてる部屋の中で相談をする事にした。


「…ねぇ?何をすれば良いのかな?」


「そうですね…宿屋とはつまりホテルですから、ベッドメイキングとかじゃないですか?」


「なるほどね…って言っても、昨夜は私たち以外誰も泊まっていないかったはずだから、綺麗なままよね?」


「それもそうですね。う〜ん」


 ホテルで働く人を想像する二人。


「ク、ク、ク。何なら我が、仕事を増やしてやってもよいぞ?」


「あのね…ありがとう♡何て、言われるハズがないじゃない」


「そうですよ葵。ちゃんと考えて下さい」


「ク、ク、ク。愚かな愚民どもよ。ホテルで働くとなれば、大体は想像がつくではないか」


 やれやれといった感じで、お手上げポーズをとる葵。


「…一応、聞きましょうか」


 イラッとしたりのだったが、念の為、葵の話しを聞く事にした。


「アッハッハッハッハ!良いか?しかと聞くが良い!それは、受け付けに掃除に料理じゃ!!」


 右手人差し指だけを真っ直ぐ天に向かって伸ばす葵。


 ドラマやアニメならきっと、雷が落ちる演出がここで入った事だろう。


『……………』


 残念ながらここはそんな世界ではない。


 その為、スベった時の恐ろしい空気になってしまった。


『閑話休題』


 正確に説明すると、ホテルで働く人達は、色々な部門(種類)が多く存在する。


 例えば、宿泊部門だと。


 ・ドアスタッフ:正面玄関でお客さまをお出迎えする。


 ・フロントスタッフ:受付でチェックイン/チェックアウトなどを行う。


 ・ベルスタッフ:手荷物の移動と客室へのご案内をする。


 ・コンシェルジュ:宿泊客のあらゆる要望に応えるホテルの総合案内所。


 ・客室スタッフ:客室内の清掃やベッドメイキングを行う。


 料理部門だと。


 ・バーテンダー:カクテルをはじめとするお酒のスペシャリスト。


 ・ソムリエ:レストランでワインを管理・提供するエキスパート。


 ・ウェイター/ウェイトレス:レストラン内での配膳スタッフ。


 ・ルームサービス:客室へ料理やドリンクを届けるスタッフ。


 などなどがある。


 他にもあるが、長くなるので省略させてもらいます。


『閑話休題終わり』


 スベったとはいえ、ざっくりとした葵の説明はあながち間違いではない。


 顔を赤くする葵を見ながら、りのはそう思った。


「確かにそうですね」


 葵の説明を聞いて、玲奈もそう思ったらしい。


「となると、誰がどこを担当するかよね?」


 掃除。


 料理。


 フロントで客を案内する。


 ふむ。と、悩む三人。


 "一番楽な仕事ってどれなのよ!?"


 三人の気持ちは一つであった。


 ーーーーーーーーーー


 誰が何処を担当するかを話し会う三人。


「はい!」


 と、手を挙げたのはりのである。


「私、料理を担当したいです!」


 おそらく、掃除が一番大変である。


 部屋、廊下、庭にトイレにと、考えるだけでキリがない。


 となるとフロントで受け付けか、料理をするかの二択になるのだが、どちらの仕事も客が来ない事には始まらない。


 ならどちらでも。という訳でもないハズだ。


 客が来て、注文があってこそ、初めて料理の出番となるのだから。


(ふふ。つまりは、客が来ても注文さえされなければ、暇って事だよね♡)


 ニヤリと口元が緩みそうになるのを必死でおさえるりの。


「異議あり!!」


「………!?」


 右腕を真っ直ぐ伸ばし、右手人差し指を突き出しながら逆○裁判をおこしたのは葵であった。


(くっ、まさか、私の考えが読まれたか?)


 心の中で焦るりの。


 勿論、顔には出さず、いたって冷静な表情は崩さない。自分は腐ってもアイドルだ…って、誰が腐っただ!と、心の中でツッコむりの。


(落ちつけ!落ちつくのよりの…私はアイドル…アイドルなのよ)


 女優の経験があるりのは、完璧なポーカーフェイスを作りあげながら葵に尋ねた。


「異議ありって、葵も料理を担当したいってこと?」


 あくまで確認である。


 それ以外に異議を唱える理由がないのだから。


「ふ…愚かなり」


 やはり葵も気づいているようだ。


 りのの頬を一滴の汗が流れる。


 右手を真っ直ぐ前に伸ばし、左手で右眼をおさえながら葵が告げる。


「お主では料理が出来んではないか」


「そそ、そんな事ないもん!」


 ドキッとしながら、りのは嘘をついた。


 何を証拠に!証拠を出せ!証拠を!と、まるで犯人のような思考に落ちるりのに対し、葵は証拠を突き出してきた。


「ク、ク、ク。タップと唱えてみよ」


「え?タップ?私のステータスなんか見ても…って、げっ!?」


 言われるがままにタップと唱えたりのは、自身がとった行動を後悔する羽目になった。


 水瀬りの(アイドル)


 Lv5

 攻撃力・・・16

 防御力・・・22

 素早さ・・・60

 魔 力・・・19

 可愛さ・・・20

 MC力・・・25

 女子力・・・0


 特技

 歌う。踊る。決めポーズ。


「語るに落ちるとはこの事よ…」


「どういう意味ですか?」


 どうやら玲奈には分からないようだ。


 顔を赤くしながら固まるりのを他所に、葵は分かりやすく説明をした。というより、事実を伝えた。


「見てみよ。ここじゃ、ここ」


 女子力0。


「……プッ」


 思わず口に手をあてる玲奈。


 ぐぬぬ……と、肩を震わすりのとは対照で、ぶふふ…と、肩を震わせる玲奈。


 女子力がないと出てしまっている以上、料理が出来ますと言っても意味はない。


(くぅ〜なら!)


 何とか話題を変えなくちゃ。と、りのは次の一手をうつ。


「じゃ、じゃぁ、私が受け付けやりたい」


 一番楽であろう料理が出来ないのだ。


 ならば、次に楽であろう受け付けの仕事をもぎ取るしかないのである。


「ず、ずるいですよ!」


 玲奈は注意した。


 最初に料理と言っておいて、ダメだったから受け付けで。というりのの言い分はおかしい。


 まずは、まだ何も言っていない自分と葵がやりたい所を言ってからが普通だろう。と、玲奈は抗議したのである。


 と言っても、りのが料理をしたいと言ったら葵が異議を唱えたのだから、葵は料理で決まりだ。


 ならば、自分が受け付けか掃除かを先に選ぶ権利があるはずである。


 玲奈はそう考え、りのにそう主張したのだ。


 だがしかし…。


「玲奈。タップって唱えてみなさい」


「へ?」


 玲奈の右肩に、りのは自分の左手を置きながらそう伝えた。


 自分のステータスに問題なんかあっただろうか?いや、無かったはず。と、玲奈は臆する事なくタップと唱える。


 神崎玲奈(魔法少女)


 Lv4

 攻撃力・・6

 防御力・・35

 魔法力・・25

 素早さ・・41

 女子力・・55

 コミュ力・・・0


 特技

 変身。


 可哀想な人を見るような視線を送る葵。


 ふっ。と、優しい笑みを浮かべながら、りのは玲奈に語りかけた。


「ね?コミュ 力0じゃ、受け付けなんて無理でしょ?」


「笑って!せめて笑いながら言って下さいよ」


 お願いですから〜!という玲奈の泣き声だけが、部屋の中を響き渡るのであった。


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