私の大切なお姫様 side…ミリー
「ミリー!今日のお菓子はなぁに?」
キャメル殿の授業が終わった途端に、
〝私″の幼い主人が、
輝かんばかりの笑顔で尋ねてきた。
主人…キャメル殿の顔が凄まじいぞ。
しかし、
主人はそんなの気にしないぜッと
王族特有の白銀を、ぴこぴこ震わせている。
主人の側にいると、
私は自然と笑っている。
『ミリーってお名前?私はルーナよ!』
幼き主人を守る為に、
私は主人の専属騎士と任命された。
主人には、侍女と伝えられているが。
闘技大会では、毎回第一王子と第二王子に負けて3位という結果を出していた私がなぜ任命されたのか、不思議だった。
…まぁ、噂の姫様に会ってみたくなった。
この国の王族の伝統として、
神の許可を得て、
生まれてから2年間は神聖な森で
自力で生き延びなければならない。
しかし、神殿に務める者によると、
姫様には許可が出なかったらしい…。
神殿長曰く、
姫様は神から愛され、
そして神の守護を受けている。
神殿長が神の言葉を再現すると、
『なるみゃん劇可愛ゆす!っていうか、あいつがなるみゃんの魂を救おうとしたのに、魔法を間違えてなるみゃんをこの世界に落としちゃったから、なるみゃんは僕等からの謝礼として危険な目に遭わせないようにしないといけないんだよ〜。』
…理解ができなかった。
神の声を聞ける神殿長だけ、
遠い目をしていたと、言っていた…。
後で、彼にマリコットの殻を砕いたものを
餞別にあげよう…。
そんなこんなで、姫と会う日になった。
慣れないメイド服の私の後ろには姫の兄弟王子3人がいる。
…いや。王族達より前を歩いている事は、
不敬ではないよな。
ギクシャクしながら、
ようやく姫がいる部屋の前にたどり着いた。
第三王子が、姫のドアをノックする。
中にいる姫の声らしきものが
〝プミャー″と聞こえた。
王子たちに続き、中に入ったが、
姫の姿は無かった。
第三王子が獣姿になった。
あぁ、なるほど。姫の匂いを辿るのか。
しばらくしたら見つかるだろうと思い、
軽くスクワットをしようとしたその時、
姫を見つけた…。
見つけたというか、目があった。
なぜにタンスの引き出しの中へ
おられるのですか?
そんなこんなで主人との出会いは、
かなり印象的なものであった。
先日、私が気を抜いたばかりに
主人を危険な目に遭わせてしまった。
護衛失格だな…。
第四王子に仕えているあの女…。
あの女から、
お菓子好きの姫さまが
食べてしまったお菓子の匂いが、
わずかにした。
女が用意したそのお菓子を
主人と第四王子が
食べようとなされたから、
一瞬で私特性の筋肉マッチョになるお菓子に変えた。
その後、主人と第四王子の元へ
盗賊らしい者たちが現れたので、
自慢の私の飛び蹴りで吹っ飛ばした。
どうやら、
奴らの狙いは主人と第四王子らしい。
…可愛らしいからか?
その後、第一王子と第三王子、
影の者たちが、捕らえた盗賊たちに指示した者の情報吐かせたらしい。
自分のやった事がバレたと思ったのか、
あの女は、慌てて逃亡したが、第三王子に召喚され、すぐ捕らえられた。
私の大切な幼き主人。
「今日のお菓子はマドレーヌですよ。」
これから先何があっても、
絶対に守ってみせる。
当然、マドレーヌにはアレが入ってます。そして、キャメルはハンカチをギリギリかみしめています。
暗い話が続きます…。
更新が震災関係で
遅れてしまいました。