なんか重たい誕生日パーティー
なぜだ…。
私のもふもふの尻尾が微動だにしない。
そして、君たちはなぜ黒色の礼服を着ているのだ…。
レオン兄さまに撫でられている自分が
この光景と、自分の状況を察して
遠い目になってしまうの方がないと思うなぁ。
昨日の私の誘拐騒動があったけれども、
各国のお偉い方が既に到着していて、
誕生日パーティー中止できない事になったうんぬん→まっ準備しましょうや→私の登場→お通夜ムード→なぜだ…。
ちなみに、私の姿は来賓の方々に見えない様になっている。
え?私がどこにいるかって?
……筋肉。
え?聞こえないって?
「ムキムキの筋肉に囲まれているんだヨォォォォォ!!!!!いだぁっ!」
もー痛いなぁー…。
だって、騎士達に囲まれてて私の視界は
筋肉しかないんだよ!
あっでも、騎士たちの尻尾をガン見中…
ヘヘッ( ̄▽ ̄)
さっき思わず叫んしまった後に、
私と一緒に筋肉に囲まれているレオン兄さまから甘噛みされたし!!
え?今のがトキメキポイント?
そんな乙女ゲー〇みたいな物はこの世には
断じてないっ!!!!
ぴょこーん。
え?フラグがまた立ったって?
ギャァァァ!!!
今すぐ折るんだァァ!!!!
現実逃避に浸るもふもふ姫と、
殺気立つ者たち(レオン&筋肉騎士達)の前に、1人の人物が立つ。
「ルーナ姫、私と踊って頂けませんか?」
シーーーーン………………
おっ音楽が止まった…!
今の私の状況下でダンスの誘いをする勇気の持ち主が現れたぁぁぁぁ!!!
その人物を一目見ようと思い、
固まるレオン兄さまの腕からヒョイっと抜けて、ガタガタ震える筋肉達を押しのけた先に、その人を見つけた。
そして、口から自然と漏れた。
「アルテミス・ムゥ・ラフィスタニア…」
ハッ!!
やばい!!
名前呼んじゃったぁぁぁぁ!!!
しかも、本人も驚いているし!
うがぁぁぁぁ!
漆黒の礼装…
すっごいカッコいいヨォォォ!!!
鼻血ドバァァッ!!!
狩人の様な金色の瞳と耳と尻尾をみて、
思わず歓喜に震えてしまう。
ほぼ無いに等しい勇気を持ち、
彼をもう一度見ると、目があった…。
「 私の名前を覚えて頂き、
誠に有難く思います。
美しきルーナ姫…。 」
私の返事を聞き、
彼の口元がニヤリと笑ったのを、
確かに私は見てしまった…。
たとえ…、
後ろでシャナがハァハァしながら
こちらを見ていた、
お母様は、天女の様な微笑みを見せていた、
お父様がワインのグラスを割った、
レオン兄さまが筋肉達を吹っ飛ばした、
ルシオ兄さまは何者かに吹っ飛ばされた、
そして、
目を閉じたピリン兄さまは、
来賓達に守護の結界を張っていた、
言われても何も私は知らない。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「ルーナ姫、
私の事はアルとお呼びください。
礼法も不必要ですよ」
「ふみゃぁぁっ!!
えぇ!無理で…「アルとお呼びください」
えっと、…アル様でご勘弁して下さい!」
「ルーナ姫…」
「アルしゃまぁぁ」
がっしゃぁぁぁぁん!!!!
「ギャァァァ王子!!!
誰かお止めしろぉぉぉぉ!!!」
「いつか平穏が訪れるだろうか…」
「ラフィスタニア王国の第一王子…
一応ルーナの婚約者候補に入れるか…」
「ルーナはモテモテねぇ〜」
「お兄様…押すのです!!ハァハァ」
主人公の変態度が上がってきてるなぁ…
アルテミス・ムゥ・ラフィスタニア
ラフィスタニア王国の王太子。
その気になる年齢は600なんちゃら…
レオン兄さまと、多分近いです笑