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七十三話目
「……はい、それじゃ今日の部活を終わります。礼」
『ありがとうございました~!』
楽しいことをしている時は時間が経つのが早いもので、あっという間に終了時刻となった。当然のごとく合奏には参加できなかったが、その分基礎練習をやりこめた。今はまだできないが、長い目で見ていけば十分いいはず……だろう。
挨拶を終えるとすぐにチューバのもとにより、準備室へ入室。そのまま片付けに入る。やけに今日はチューバが重く感じる……俺の気持ちも関係しているかもしれないが。
「……悪いな、ちょっと今日はきついわ」
やはり自分の欠点を見つめるというのは辛いもので、自覚がないだけで相当精神的にキていたらしい。普段なら片づけもテキパキしていくのだが、今日に限っては手が動かない。
「……はぁ……上手くなれるのかな? 俺……」
今までは何の根拠もない自信にすがってきた――が、今日それは軽くへし折られた。では、これから俺はどうすればいいのか、指針を見失ったような気分だった。




