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五十九話目

「さて……っと」

 すでに部活は終了時刻を迎え、俺も楽器をケースにしまった。本来ならもっと練習したかったが、平日は完全下校時刻というものが決まっているので居残りはできないそうだ。

 準備室を出ると、そこには先生の姿。手には数枚の紙を持っている。

「はい、これ次やる曲の楽譜。とりあえず譜読みしてきて」

「ありがとうございます」

 ちなみに譜読みとは読んで字のごとし。吹く前にあらかた読んでおくことだ。それを受け取った俺は当然目を……目を……。

「すいません……先生……」

「ん? もしかして難しくて吹けそうにない?」

「いや……あの……」

 ここで俺は精一杯の作り笑顔を浮かべた。

「楽譜ってどうやって読むんですか?」

 直後、先生がコミカルにずっこけた。

 まぁ、しょうがないよね? だって今まで吹いたことがないんだから。

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