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四十八話目
「眠……れねぇ!」
足が痛すぎる! こんなのありか!?
一応サッカーで潰したのは膝なのでそこまで今は痛みがない。それよりも筋肉だ。久々の体のしごきについてこられなかったのだろう。筋繊維が断裂しているはずだ。
「……にしてもすごかったな」
能代先輩はかなり理想的な筋肉をしていた。伸縮性に富んだ柔軟な筋肉……しかも女性らしくて柔らかい肉体……まぁ、これは関係ないか。
一朝一夕で鍛えたものではなく、長期間で鍛えあげたのだということは何となく理解した。それだけの努力と研鑽を彼女は積んできたのだろうから……頭が下がる。
俺の目標はとりあえず能代先輩に並ぶことにしよう。本来なら同じ金管である口咲先輩の方がいいのかもしれないが、はっきり言って能代先輩の方が俺の理想に近い。
メンタルも強く、体も仕上がっており、演奏技術もかなり高いーーそんな彼女を追っていけば、いつか追い越せる日が来るのだろうか?
「やばいな……余計眠れなくなった」
心の中でメラメラと情熱が燃え盛り、魂が叫びをあげる…これは懐かしく、とても甘美な感覚だ。
「しょうがない。また本でも読むか」
枕元に置いていた借りてきた本をとって、再び読み進める。いつの間にか足の痛みは何処かへと消え去っていた。




