三十三話目
ピピピピピ――!
セットしておいた目覚ましがけたたましく鳴り響く。そっと腕を伸ばしてアラームを切りつつ起き上がる。時刻はまだ朝の五時――いつもならまだ寝ている時間だ。しかし、今日はすべきことがある。
「よし……っと!」
顔を平手でたたいて気合を入れて立ち上がり台所へ向かう。すでに四月とはいえ、フローリングの床がやけに冷たい。つま先立ちになりながらも何とかたどり着き、まずは冷蔵庫の中身を確認――多少は使えそうなものがありそうだ。
「えっと……まぁ、これでいいか」
取り出したのは卵とベーコン。それから昨日の残りのきんぴらごぼうに冷凍していたハンバーグの残り。無論、今日の弁当に使うためのものだ。
取り出した後は流し場の近くに置き、まな板と包丁もそのついでに出しておく。流れるような動作でフライパンに火をつけて油を敷き、十分に熱せられるのを待つ間に電子レンジでハンバーグを解凍する。弁当箱にきんぴらごぼうを詰めておくのも忘れない。
鼻歌交じりにフライパンの上に手をかざし、熱を帯びてきたのを確認してからベーコンと卵を投下。香ばしい匂いが漂ってくる上にまだ朝飯を食べていないのだ。腹の虫が暴れ出して仕方がない。
「……ふぅ……」
気持ちを抑えつつフライパンを振るう。そろそろハンバーグの解凍も終わるころだ。我ながらこの完璧すぎる手際にほれぼれする。さすが俺。
「おはよ~う……」
ふと聞こえた声に振り替えるとそこには寝起きの姉さんの姿が。髪が跳ねて偉いことになっている。まるで火山の爆発だ。
「おはよう。もうすぐお弁当もできるし、それが終わったら朝ごはんに取りかかるよ」
「うん……ありがとう。ところでさ……」
「ん?」
「ご飯炊いてる? 匂いがしないんだけど」
結局その日はおかずだけ持っていってご飯は売店で買うという失態を犯してしまったのは言うまでもない。




