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十四話目

 嫌な夢を見たせいですっかり目が冴えてしまった。おまけに寝汗もびっしょりと掻いてしまっているのでとにかくシャワーを浴びたい。

 舌打ちしてベッドから起き上がり風呂場へと向かい、そこにあるタンスの中から着替えを適当に見繕い地面へ放る。そして汗でべっとりと不快に張り付くシャツを脱いで、今度はそれを洗濯機に直接たたきこんだ。

「ふぅ……」

 頭はすっかり冴えているのに心が重たい。それに比例して重くなる足取りのまま浴場に入り蛇口を捻る。最初こそ冷たい水が出たが、すぐにお湯に変わったそれを体にゆっくりとかけていく。熱めに設定したお湯がさらにこちらの目を覚ましてくれた。

「はぁ……忘れよ」

 あの記憶は早く捨て去りたいものだ。もう二年以上もたつのにまだ引きずっているのはやはり俺が未熟なせいだろう。それがわかっているからこそ妙に歯がゆい。

 すでに自分の中では割り切ったつもりだった。だが、やはりそれは俺の深層意識の中にこれでもかと刷り込まれているらしい。これと上手く付き合っていくのは至難の業だ。

 ……ちなみにいうが俺は不登校ではなかった。どれだけの屈辱を味わおうと決して逃げようとはしなかったのだが、それは同級生たちの助力によるところが大きい。このような環境であるから同級生たちとの絆は強いのだ。

「まぁ……いいか」

 シャワーを思いっきり顔に当て無理やり頭を切り替える。臍の下にある丹田に力を込めて深呼吸してから風呂場を出た。すでに朝日は昇りつつある――それはまるで俺の心の対比であるようだった。


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