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百三十話目

「おっと、もうこんな時間か」

 気づけば時刻は十一時。そろそろパート練が始まるころだ。二人を抱えて席を立ち、音楽室へと足を向ける。もう他のパートは練習を始めているらしく外まで音が響いてきた。

 それに急かされるように足を速めると、音楽室の方に人影が見えた。どうやら、俺以外の金管とパーカッションは集合しているようで、何やら準備をしている。

「遅いッ!」

「ごめん! 早く向かう!」

 若干怒ったような口調の千尋に返答し、更に加速しようとしたところで――

 ガンッ!

「あっ!」

 MCを壁にぶつけてしまった。楽器体になった彼女のちょうどベルのところに直撃したようだ。

「ご、ごめん! ちょっと急いでて……」

 だが彼女からの答えはない。一方で、早く準備しろと他の部員たちは責めたててきた。しょうがなく彼女にもう一度頭を下げてその場を後にする。

「さ、始めるよ。構えて」

 俺が着席すると同時、大暮先輩が厳しい口調で告げる。それに従ってマウスピースに唇をつけたところで妙な違和感。何故だか、先ほどやった時とまるで違った。

「はい。一……二……三ッ!」

 そして一斉に音を奏でようとしたところで――チューバが暴発した。


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