表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
118/168

百十八話目

 心のどこかで思っていた。完全に仲直りすることは不可能でも、少しは改善しているだろうと――だが、甘かった。それからもずっとトラたちは険悪な雰囲気のままで、合奏の時もたびたび注意の対象になっていた。

 そしてとうとう――迎えてしまった土曜日。あと一週間後にはもう観艦式。これほどまでの悪条件下で吹けるのか、いまさらになって恐怖心が芽生えてきた。

 筋トレを終え、基礎練をこなし、全体でのロングトーンに入る。しかし、そこでもトランペットパートはバラバラでとうとうほかの楽器たちにも影響を及ぼし始めた。

 吹奏楽は全体競技――今ならその意味がよくわかる。確かに、一人のミスが全体を大きく左右してしまう。ましてや、それがパートならなおさらだ。

「……はいはい。やめやめ」

 先生からの指摘が入り、演奏を止める。しかし、またそこでもトランペットだけ数拍遅れて止まった。全員が難しい顔をして二人を見ているのが、チューバ越しに見える。

「……しょうがない。みんな、ちょっといいかな?」

 先生の呼び掛けに部員たちの視線が一斉にそちらを向く。すると、

「悪いけど、今日の昼休みはなし。そこでミーティングを開くから。もちろん、お昼は食べていいけど手短にね」

 さらりと告げられたその一言は、どこか冷やかに俺たちの間をすり抜けていった。

 先輩とトラは悔しそうに、悲しそうにその顔を歪めている。だが……俺は何と声をかけたらよいか、どう接したらよいか、それすらもわからなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ