二片目*昔々のお伽噺
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むかしむかし、ある山の麓に小さな国がありました。
その国は1年のうち半分もの間、雪に覆われます。
雪と共に生きるうちに、国を挙げて雪を神さまと崇めるようになりました。
小さな国は山から宝石や鉱石を雪の神さまの怒りに触れないよう、必要な分だけいただき、慎ましく暮らしていましたが、それを隣国のごうつくばりで悪い王様が目をつけ、沢山の家来をひきつれて攻め込んできたのです。
小さな国は雪の神に助けてください、とお祈りしました。
また、国を深く想う一人の少年が、雪深い山の頂に雪の神さまに助力を請う為登りました。
そして、祈りは届き雪の神さまが降臨し、吹雪で敵を追い払いました。
国王さまは雪の神さまに言いました。
「なんという御力でしょう!!この御礼、何を返せば御心にかなうでしょうか」
雪の神さまは言いました。
「吾はこれまで人など気にしたこともなかった。だが此度の事で人に惹かれるものを感じた。人には夫婦なる共に生きる相手がいるとか。吾の花嫁を用意せよ」
国王さまはお触れを出し、城に国中から花嫁に相応しい娘を集めました。
そして、髪も眸も雪のように白い娘がその中にいたのです。
雪の神さまは白い娘を気に入り、花嫁に選びました。
「そうだ、信心深き少年が吾の山の頂に祈りに来ていた。吾はどうしても雪解けの間、山で力をたくわえなければならない。花嫁の守護者としてそばに仕えさせておくれ」
そう言って少年を召し、花嫁との繋がりを顕す証として花嫁の髪の一房を貰い受け、雪晶の飾りへと変化させ少年に授けました。
それからというもの、雪の神さまは花嫁と仲睦まじく過ごされ、この国は平和になりましたとさ。
めでたしめでたし。
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