3話
ついに妹的存在が!!
「確かフレンドと連絡をとる方法はボイスチャットって椎名が言ってたんだが……まだ何も登録してないから連絡のとりようがないな!」
どうしようかな?と悩んでいると椎名に言われていたあることを思い出した。
そういえば、「広場から少し外れた所に噴水があって待ち合わせに丁度良さそうだよ!!」とかなんとか言ってた気がするな。
このまま1人で考えてもしょうがないので、試しに行ってみるか。
で、広場から噴水を探してウロウロしていると噴水らしきものを見つけたので行ってみると…人が飛んでいた。
いや、飛んでるって感じではないな。性格には吹っ飛ばされているだな。
1人の少女によって如何にもチャラそうな男が槍の先で持ち上げられて、投げ飛ばされていた。軽く10mくらいは飛ばされてるな。自分より体格が大きい相手を投げ飛ばすってATKいくらなんだ?あ、チャラそうな奴のお仲間?がまた投げ飛ばされた。
まぁ、人をポンポン投げ飛ばす怖い人とは関わることはないだろうし、さっさと椎名を見つけてここを立ち去ろう。触らぬ神になんとやらとも言うしね。
「あぁ〜!!もう、アンタ達いい加減に鬱陶しいのよ!私は今、メイ兄を待ってるんだから、アンタ達みたいな屑にかまってる暇はないのよっ!!
わかったらサッサと私の前から消えなさいよマゲッツ共!!!」
「………ぇぇ~」
つい小声で嘆いてしまった。
メイ兄というのは椎名が俺を呼ぶ時の呼称である。
偶々、俺と同じ呼び方をされる奴がこの場所に居るとは考えにくい。
できれば、あの強烈な暴言を吐きまくってる少女を椎名と認めたくはない。
何せ、今まで椎名は俺の前では礼儀正しく、そして優しい心を持った少女である。
もし、今までが猫を被っていたとするなら、目の前でチャラ男5人に対して少女とは思えない暴言を言っている姿が本来の姿ということにーーーいや、まだだ、まだ直接本人と決まった訳ではーーーーーー
「ねぇ、マゲッツ。今のこの場面をメイ兄に見られたらアンタ達どうしてくれんの?メイ兄の前では礼儀正しく優しい美少女を演じてたのに、今の姿を見られたら今までの努力が水の泡になるんだけど…」
「ま、待てよ。それは俺たちが悪いのか!?俺たちはパーティー組もうぜって声かけただけだぞ!なのに人をポンポン投げ飛ばしやがって。しかも猫を被っていたとがばれるとか俺たちのせいじゃねぇだろ!!」
「あぁ!!?最初に優しく断ってやったのに、初心者とやると攻略組に置いてかれるから、そんな奴ほっといて行こう。とか巫山戯たこと抜かすからでしょうが!!」
「わ、わかった!僕たちが悪かったから、もう許してくれ!君にはもう関わらないようにするからさ!!」
「………わかったわ。じゃぁ許してあげるわ」
「そ、そうか!それじゃ僕たちはコレで「寄越しなさい」ーーえ?」
「アンタ達5人の所持金全部。迷惑料として寄越しなさい」
「はぁ!!?なにわけわかんねぇこと言ってやがる!!渡すわけがないだろうが!!」
「そう、じゃぁ……セーフティーエリア内じゃダメージはないけど。投げ飛ばし続けて精神をボロボロにするから。渡したくなったらいつでも言いなさい!」
や、ヤバイ。マジでヤる気だよ!仕方ない。アイツが本当に椎名なら多分止まってくれるはずだ!……多分。
「それじゃぁ、まず1人目「椎名!!」メイ兄だ!!!」
早い!?俺がしいって言った瞬間から反応しやがった!!しかし、今の俺は女アバターで声も変わってるはずなのによくわかったな!!?
「あれ?メイ兄…だよね?え?」
うん。物凄く混乱してるな。気持ちはよく分かるぞ。俺も最初に理解するまでかなり混乱したからな!………いや、実際は考えるのを諦めただけなんだが。
「椎名で合ってるよな?アバターがおかしなことになってはいるが、俺がメイ兄だぞ」
「え?本当にメイ兄なの!?なんで女の子のアバターになってんの!!?しかもすっごい美少女!!………あ、なんか自信なくしてきた」
「ちょ、椎名なんで泣いてるんだよ!?どうした!?」
「ううん。なんでもないんだよ。……ただ、男であるメイ兄に女である私が魅力で負けただけだから。アハハ」
なんか椎名がヤバイ!いつもキラキラしてた瞳からハイライトがなくなっていく!!正直に言います。物凄く怖いです。
「し、椎名!済まんがお前の知識を貸してくれ!俺だけじゃぁどうしたらいいかが分からないんだよ。……今、俺が頼れるのは椎名だけなんだよ。頼む」
「私が…頼り?」
椎名の肩がピクリと動いた気がした。
「あぁ、椎名だけなんだよ」
「私が…私だけが頼り……。メイ兄が私を必要としてくれてる。私だけを必要としてくれてる……………」
な、なんだろう。椎名がさっきから1人でボソボソ呟いてるんだけどよく聞こえない。さっきから俺の頭の中で警報器が鳴ってる気がするんだが…鳥肌もできてるし、一体なんなんだ!?
「し、椎名。取り敢えず話を聞いてくれないか?」
「ーーーはっ!!?あ、うん!いいよ。何でも相談に乗るよメイ兄!!」
良かった。瞳もいつもと同じ感じだし、俺の頭の中の警報や鳥肌も治まった。
「取り敢えずさ、カフェかなんかで軽食でも食べながら話そうよメイ兄」
「そうだな。済まんが俺はまだそうゆう場所がわからないから案内してくれ」
「うん。わかっtーーーあーーーーっ!!?」
「ど、どした!?なんだいきなり大声出して!?」
「さっきまで私に絡んでた人たちがいなくなってる!?逃げられた!!」
あ〜。そういえばいつの間にかいなくなってるな。
まぁ、普通は興味から逸れた瞬間から逃げるよね。あのままだとマジでヤバそうだったし。
「ね、ねぇメイ兄。私に絡んできた人たちとのやり取りって……見てた?」
椎名が俺に背を向たまま問いかける。
………ここでの答えは決まっている。椎名は今まで自分を偽って演じながら俺に接してきた。椎名にとっては俺に本当の自分を見せたくないから猫を被っていたんだろう。だが、俺は例え椎名の口が悪くても軽蔑などは一切しない!そのことを伝えるんだ!!
「ごめんな椎名。どんなやり取りがあったかは知らないんだ…。
椎名が男5人と口論してたみたいに遠目で見えたから走ってきたんだよ…」
「そう、なんだ…。うん。ちょっとパーティー組もうって絡まれちゃってね!
メイ兄が来てくれたお陰で諦めて帰ったみたいだね!」
はい。すみません。俺には無理っす!さっきまでは恰好いいこと考えてたけど、
もしあの暴言を椎名が目の前で言ってるとメッチャ怖いので正直に言えないです!
ヘタレと笑いたければ笑うといい!実際マジで怖いんだからな!
優しい人ほど怒ると怖いって言うけど、それが美少女となると次元が違うんだよ。
本当にチビるかと思ったよ……。
「それじゃ、行こっか!」
そして俺は椎名の後について行き、カフェで今までの俺に起こった経緯を説明するのだった。
あ、あれ?
最初に予定してた妹キャラじゃないww
書いてたら自然とこんな性格になりました。
マゲッツとか酷いこと言ってますが嫌わないで頂けると嬉しいです。