転校生
パラレルワールド…
私たちが住むこの世界と並行して存在する世界のことをいう。
そして、そのパラレルワールドとこの世界との因果律を保つために雇われた人間がいる。
その者たちを多重世界指揮官パラレルワールドコンダクター 通称PWCと呼ぶ。
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時は現代
いつも通りの朝
そしていつも通りに登校
いつも通りに勉強し
いつも通りに帰宅する
そんな久しぶりの今日が始まるはずだった。
「今日もありきたりな一日が始まるんだよなぁ…」
そんなことを呟く私。
名前は我妻がさい綾乃あやの。
実は今日私は久しぶりの学校なのだ。
私は高校でいじめられている。
理由は…簡単だ。
妄想癖なのだ。
入学当初、私は学校で小説を書き挿絵をもつけてしまうというトンデモなことをやっていた。
そして小説を書いていたノートをクラスの皆に見られた。
いじめられ始めたのはその次の日からだった。
まぁその話はどうでもいい。
そのいじめられっ子の私が、なぜ急に登校しようと思ったかと言うと…
実は私にもわからないのだ。
何かに引き寄せられていると言うか…
今日登校しなかったら…何かがくるってしまう気がしたんだ…
ということで登校
見事に私の席はクラスの端へと移されていた。
席に座り、朝のホームルームが始まるのを待った。
「ねぇねぇ!今日転校生来るらしいよ!」
「え!?マジでー!男?女?」
「男らしいよー!しかも帰国子女ですげーイケメンなんだってー!」
「マジでー!やばっ!」
あははははー!と賑やかな会話をクラスの真ん中で繰り広げる女子たち。
「私には関係ない…か。」
ガラガラガラ
「ホームルーム始めんぞー」
先生が入ってきた。
連絡事項が伝えられ、その時がきた。
「今日からうちのクラスに転校生がくることとなりましたー」
入ってと廊下に手招きをする先生。
ガラガラガラ
銀髪
蒼い目
長身
整った顔
すごいイケメンが入ってきた。
キャーッ!
クラス中の女子が騒ぎ出す。
「じゃ自己紹介しちゃってー」
「わかりました。」
銀髪の少年はチョークを持ち黒板にこう書いた。
『メルクリア・ルリキアス 出身イタリア』
かっこいい名前だなぁ…
ヨーロッパの人なんだ…
そしてその下には思いがけない言葉が書いてあった。
『我妻綾乃へ 会いにきたよ。あとで話したいことがある。』
そしてその瞬間
私はクラス中の女子からの目線に頭がおかしくなりそうになった。