表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
111/111

第九章 第十三話 実技テスト・個人編 11

「ん~と、続いては水間さん、柳生さんね」

「「はいっ!」」


 個人技テストも、あと残り少し。そんな中、カオルはふと、とある事に気が付く。


「そう言えば……エリーはまだテストを受けていないな。『ヴァルゴ』だから、最初の方だろ?」

「え? あ、うん。私はね、ちょっと特別なんだ」

「特別?」

「お姉さま。エリーは特別で、個人技テストはヴァルゴ社立会いの下に行われるの。魔法少女の身体能力を計測するんだって」


 千早が、エリーの「特別」の理由を語る。


「へぇ。で、エリーは特別なのか……だが、なんでヴァルゴ社が?」

「うん。なんでもね、魔法少女に合わせた銃火器やアーマーの開発のためなんだって」

「銃火器やアーマー? 魔法少女にんなモン必要なのか?」

「ん~、よくわかんない」

「けどさ、アーマード魔法少女とか、なんかカッコよくない!?」


 そしてまた、音葉がカオル達の会話に口を挟む。

 だが、言われてカオルも、少し色めき立った。


「うん、ちょっとかっこいいかも」


 鋼鉄の武装をまとった実弾火器を持つ魔法少女。そんな姿を想像し、カオルの中の「男の子」が、ワクワクしている様子だ。


「ホント、鬼首ヶ原は戦闘マニアで武器オタクだな」

「そうね。でも、どっちかというと、男性っぽさが抜きん出ているって感じかしら?」


 カーリーと彩香が、冗談っぽく、それでいてチクリと急所を突くような事を言う。


「ば、馬鹿言うなよ。私はれっきとした14歳の女の子だ! ホラ、そんな事より……新たな個人技テストが始まるぜ!?」


 カオルは誤魔化すように――いや、誤魔化す気満々で、モニターを指差すのだった。

 

 「はいはい」と苦笑いしつつ、モニターへと目を向ける二人。

 そこに映されている二人は……


 水間亜依夢みずまあいむ

 トゥインクルスターズのトゥインクル・オレンジである彼女は、遠距離攻撃に特化したスタイルであり、得物として――


「な、なんだありゃ? ステッキ……じゃないな? もしかして」

「うん。バットだよ、かおりん」


 彼女の右手に握られているソレ(・・)は、オレンジ色に彩られ、先端にかわいい兎のようなマスコットがデコレートされている。

 更に言えば、彼女が纏っている戦闘魔法少女形態の衣装は、オレンジと黒のツートンであり、それは一見してどこかで見た感じの配色となっており……。


「なぁ、あれってもしかして……読売ジャイアンツの……?」 

「そう! にっくき巨人軍カラーなのッ!!」


 鬼の形相の千早が、カオルへと解説を飛ばす。

 そう。彼女あいむは大の巨人ファン。

 そしてある意味、千早のライバル。


『ジャビット! 一発カマすよ』

『オッケー』


 そう言うと、得物バットを構えたトゥインクル・オレンジにとって、絶好のストライクゾーンに、魔法エネルギーが凝縮された「球体」が、どこからとも無く飛び込んできた。


『ナイスボール!』


 ――ガツーンッ!

 

 目いっぱい振り抜いたそれは、見事に真芯でエネルギー球を打ち抜き――


 ――ズドンッ!


 一直線に、悪魔獣のコアのある頭部を射抜き、遥か空へと消えていった。


『ホームランッ!』


 ガッツポーズと共に、ダイヤモンドに見立てた悪魔獣の周囲を駆け回るトゥインクル・オレンジ。

 それとは対照的に、ぶすっとした表情でそれを見つめる千早。

 まるで巨人対阪神戦のようだ。そうカオルは心の中で笑うのだった。


 そして、もう一方の生徒。


 柳生環奈やぎゅうかんな

 LWⅤにおけるラブリー・エメラルドである彼女は、双璧の一壁として仲間を堅守(A-)。

 武器アイテムとして、右手薬指にエメラルドの指輪を輝かせている。


「あいつ、武器は持たないのか?」

「うん。でもね、あの指輪の力はすごいんだよ」


 解説役のエリーが、再びその真価を発揮する。

 すると、その指輪の真価を発揮するかのように、ラブリー・エメラルドが指輪をはめた右拳をぐいと正面に突き出し、


『いくよ、ピッピ』

『了解っピ―』


 ピッピと呼ばれる雀によく似た使い魔、そしてラブリー・エメラルド自体が、「二人」に分身!

 いや、その姿は二人から四人。更に四人から八人へと、数を増していく。


「分身!?」

「うん。でもね、それぞれが実体のある分身なの。分身も基本魔法攻撃がそのままの威力で打てるんだよ」

「ほへー、ソイツはすごいな。でも、実体があるって事は、もしヤラレ(・・・)たら?」


 と、その瞬間。

 油断からか、もしくはカオルの疑問に答えたのか、分身の一人が敵・悪魔獣の右腕による攻撃を食らう。


(そら、いわんこっちゃない。で、どうなる!?)


 くの字に折れる、ラブリー・エメラルドの身体。

 も、その姿は風船のように弾け、


 ――ドォンッ!


 大きな爆発を巻き起こしたのだった!


「爆発した!? デコイトラップか」

「かんなちゃんの分身はね、分身自体が爆弾なんだって」

「なるほど……注意を引きつけつつ攻撃する、か。面白いな」


 そして、いくつかの爆発により、敵・二式一号は完全に沈黙。 


「は~い、二人ともお疲れさん」

『『ありがとうございました!』』


 二人の魔法少女は、危なげのない戦いにより、個人技テストに勝利を飾った。

 

 そして個人技テストは、いよいよ最終試験者へと順番が回るのだった。


最後まで目を通していただき、誠にありがとうございました!


次週より1~2週ほどお休みして、第九章の書き直しを行いたいと思います。

あまりもの失態の数々、申し訳ございませんでした。

再掲載、そして連載再開のあかつきには、どうかまたよろしくお願い申し上げます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ