表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
104/111

第九章 第六話 実技テスト・個人編 4

大変なミスを犯してしまいました。

一年一組の出席番号なのですが、ジョー・カーラングルを苗字の「か」ではなく名前の「じ」としていたため、「第九章 第三話 実技テスト・個人編 1」の冒頭部分を少々修正いたします。

大変申し訳ございませんでした。

ほんまアホですわ……

 次に、今城仁美いましろひとみ大広来未おおひろくみ等のソロテストが開始された。


 今城仁美は、チーム・LW(ラブリーウィッチ)(ファイブ)のリーダー「ラブリー・ルビー」であり、近接戦闘では千早には劣るものの、クラスで三番目の腕前(A)を持つ。


 そして大広来未は、チーム・トゥインクルスターズ所属の「トゥインクル・レッド」であり、補助系魔法――特に攻撃補助に卓越した能力(A)を持っている。


 ともに、ノーマル・スキンでの戦闘を選択し、そつの無い戦い方を見せたのだった。


 特に、大広来未が得意とする補助魔法「倍率マグニファイ」は、一定時間(能力により異なるが、彼女の場合は約一分間)攻撃力を上昇させる効果があり(初期値で1.2倍)、彼女はこれを2倍まで強化させられる。

 これにより、トゥインクルスターズの郡山音葉トゥインクル・ブルーとのコンビネーションが上手くハマり、彼女達のチームを安定した勝利へと導いているのだ。


 そして、二人が体育館へと帰還を果たし、いよいよカオルが最も注目している生徒――ジョーカーの出番となった。


「ジョーカーの戦いか。楽しみだな」


 ジョー・カーラングルと、鴨神多恵との個人戦闘テスト。

 鴨神多恵は、チーム・LWⅤ所属の防御系特化であり、彼女達が安心して思い切った戦いに臨める「二つの盾」の役目の片方を担っている。


 方や、ジョーカーことジョー・カーラングルは、ソロでの戦闘をメインとし、その実力を他人に見せない秘密主義を通していた。

 故に、彼女の戦闘成績は「B-」と低いが……カオルとのデモ・マガバトルで、その隠していた能力の一端を見せてしまい……実力の程は未知数ながら高評価であるというのが、生徒達の中での共通した見解である。


「ジョーカー、今回もテキトーでお茶を濁すのかな?」


 ふと、音葉が言葉を漏らす。

 それはやはり、カオルとの戦いを知ったが故の、「彼女の再評価への期待」があるからに他ならないだろう。


「だとしたら……一年一組の勢力図が書き換えられるかもね」

「でも当然、私が一番だけど。と言いたげだよね、千早」

「ち、違うよ。一番はカオルお姉さまだし」

「一番……か」


 千早の言葉に、カオルは言いしれない不安を感じた。

 クラスでの魔法戦闘能力の順番争い。それにどれ程の意味があるのか?

 そして、それを争うが故に、何か大事なことを忘れてはいないか?

 カオルの心中は、そんな疑問が波紋を広げていたのだった。


「では、時間は10分、実技テスト開始」

「ジョー・カーラングル、準備完了」

「鴨神多恵、おねがいします!」


 ジョーカーが、静かに。そして鴨神多恵が力強く、対局的な開始の合図を送る。

 途端、二つの戦場への扉が開き、二人の戦闘魔法少女をそれぞれが飲み込んだ。


『敵、確認』

『敵、目視確認!』


 二人は、ほぼ同時に敵の存在を察知し、この場合の指揮官である綾乃先生へと状況を報告。


『フィナンシェ、ミッションA』

『ラジャ』


 デフォルメ梟であるフィナンシェが、いきなりジョーカーの腕に二丁の拳銃を召喚させた。

 そして少し遅れて、鴨神多恵も、使い魔であるジャック・オ・ランタンの「かぼ助」へと指示を飛ばすのだった。


『かぼ助、ハロウィンステッキ出して』

『ギギ……了解』


 どうやら双方共に、ノーマルスキンのままでの戦闘を選択する様子。

 そして先に敵へと動いたのは、多恵の方だった。


『ハロウィンカーニバル、発動!』


 途端、彼女の周りに10ほどの、丸々とした大きなカボチャが現れ、周囲を回り始めた。


かもっち(・・・・)はね、おうちがかぼちゃ農家なんだよ。だから魔法技にかぼちゃを選んだんだって」

「へぇ。アレで何すんだ?」

「あれは攻防一体の技で、ハロウィンカーニバル。近づくモノを、あのかぼちゃさん達が攻撃するんだよ」

「へぇ、そりゃおっかねぇや」


 かぼちゃに襲われる……どことなく間抜けな攻撃のされ方だ。

 

「ははは。食べ物的にかぼちゃが得意じゃない私にとって、こいつは結構恐ろしい攻撃だな」


 しかしながらその攻撃は、カオルが想像するより、現実的にもっと「恐ろしさ」を隠し持っていた。


『やあっ!』


 悪魔獣へと素早く接近し、基本魔法攻撃により、敵の意識をこちらへと集中させる。

 そして、敵・二式一号が右手による攻撃を仕掛けたその瞬間――彼女の周囲を回るかぼちゃの一つが、敵の攻撃を阻止。

 と同時に、激しい爆発を起こし、見事グランドベイビーの右腕をもぎ取ってしまった!


『グオオオオンッ!!』


 安定性を失い、突っ伏し崩れ落ちる二式一号へ、


『行け、私のカボチャ達!』


 多恵はトドメとばかりに、残ったかぼちゃを全て突撃させたのだった。


 ――ドドドドォンッ!!


 幾つもの爆発音が同時に響き渡り、地響きが、そして衝撃が、鴨神多恵の長い髪とスカートを揺らす。

 それはまるで、彼女の勝利を高らかに祝福するファンファーレのよう。


 だが、そんな華やかな勝利をかき消す新たな轟音が、隣のモニターから放たれ、皆の意識を奪った。


『バシュンッ!』


 それは、ジョーカーと対峙していた悪魔獣が放った、高エネルギー砲の轟音だ。


 その放たれた輝きの直線上には、ジョーカーが居る。


「なッ!? 避けない?」


 カオルが驚きを隠せず、思わず口走る。


 このままでは直撃し、テスト終了は免れない。

 更には、テスト放棄とみなされ、今後の彼女の存在意義を疑われる結果にもなりかねない。


 だが、そんなカルの――いや、誰もが思ったであろう考えを、次の瞬間、ジョーカーは意図もあっさりと払拭させたのだった。


反射壁リフレクト・ウォール


 高エネルギー塊が彼女を襲う、その間際。

 落ち着き払った声が、ソレ(・・)を召還。


 突如現れたその障壁は、敵の放ったエネルギーを一旦吸収。そして、「反射壁」の名に恥じぬ、見事な再放射を披露。

 今来た通りの軌道で、それを放った主の元へと、スピード、威力、共に増大させて送り返したのだった!



『 ド ゴ オ オ オ オ ン ッ !! 』



 激しいエネルギー光が、二式一号を飲み込んだ。

 その輝きが通過後……軌道上に、一切の生命体、遮蔽物の類は存在しなかった。


「はい、鴨神さん。そしてカーラングルさん。テスト終了、おつかれさま」

『『ありがとうございました』』


 全ての生徒が息をのむ中。

 体育館へと帰還を果たしたジョーカーの視線は……ただ一人、カオルを見据えていた。


最後まで目を通していただき、誠にありがとうございました!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ