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王子さまと委員長   作者: 塚原 蒔絵
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Side ―委員長―


 夢で、亜子ちゃんと二人で帰ったときの嫌なことを思い出した。

 男の人たちが喋りながら歩いていて、学生証を落としたから届けたら「お前じゃないっての、ブス。橋本に拾ってもらいたかったのに」って言われた。

 亜子ちゃんは怒り狂って、男の人たちを平手打ちした。

 わたしは、どうしてだか自然に納得しちゃって、怒る亜子ちゃんをなだめていた。

 けど、きっと違ったんだ。

 嫌だったんだ。

 ブスって言われて、悲しかった。

 だけど、ああそうなんだって認めてしまったら傷つかないって、自然と心がそう思ったんだ。

 頑張らない自分なら、出来が悪くても納得できる。

 できる人は、見えないところで頑張ってるんだって知ってたけど、同じようにやっても効果なんて出ないって最初から諦めて。

 でも、頑張ってみようかって思える人に出会えたの。

 こんなわたしでも、可愛いって言ってもらえるように。

 嫌いになられたくない。そっぽ向かれたくない。

 あの笑顔がわたしだけに向けられるものじゃなくても、わたしは――




「ごめんなさい、亜子ちゃん!」

 90度に近く腰を折って謝罪をする。

 目の前には亜子ちゃんがいる。

「合宿で、いっぱいひどいこと言ってごめんなさい」

「もういいよ」

「よくない。これは、絶対よくないことだよ」

 亜子ちゃんが困った顔をしている。

 その瞳には、まだ不安が見えている気が……する。

「ちぃ、あのとき言った言葉、ホントに思ってたの?」

「……うん、思ってた」

 最初からできる人はずるいって、思わない日はきっとないんだ。

「わたしね、亜子ちゃんのこと自慢だよ。でも、同じくらい羨ましいの。だから、ひがんだりするの。嫌いじゃないよ。そうじゃないの、でも、でもね!」

「分かった。ちぃの話はまとまりないけど、なんとなく分かったから。あたしのこと、嫌いじゃないのね?」

 ずいっと近寄られて訊かれる。

「も、もちろんです!」

「傍にいるの、嫌じゃないのね?」

 指差して確認される。

「もちろんです!」

「そ。……あたしもちぃが嫌いなときあるけど、好きよ」

 ふわりって笑う亜子ちゃんはすごく綺麗で、でも可愛くて。

「亜子ちゃん!! ……ほれていいですかっ!」

「それは木島くんだけにしときなさい。今度、化粧の仕方教えてあげるわ」

 変わりたいって思えた。

 そのきっかけをくれた人が、わたしを背に背負ってくれた記憶がある。

 あのとき、木島くんは――

 あれは、夢なのかな?

 バスッケットボールがゴールに入ったら、大きな一歩を踏み出せる気がする。

 決めてあるんだ、ゴールが入ったら――



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