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俺の作った武器が世を乱すので、絶対に折れない剣で全部取り戻す  作者: 酸欠ペン工場


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第5章 氷斧の眠る雪原

風槍を取り戻した二人が次に向かったのは、地図の北端を示す極寒の地だった。どこまでも続く白銀の世界に、リリアーナは寒そうに身を縮こませる。「さむーい!こんな場所で暮らしてる人、いるのかしら……」。吐く息が白く凍り、クライヴは次の獲物である『氷斧』に思いを馳せた。その武器がもたらすのは、想像に難くない、絶対の冬だ。


雪原にぽつんと存在する小さな村は、絶望的な静寂に包まれていた。家の軒先には巨大な氷柱が垂れ下がり、人々は寒さと恐怖に怯えている。「あの『氷牙旅団』の連中が現れてから、この土地はずっと吹雪いたままじゃ……」。焚き火で暖をとる老人が、力なく呟いた。氷斧を持つ組織が、この終わらない冬の元凶らしかった。


村で得た情報を元に、二人は氷牙旅団の拠点である氷の砦へと向かった。近づくにつれて、風と雪は暴風雨のように荒れ狂い、視界を白く染め上げる。「クライヴ、気をつけて!この吹雪、魔力で操られているわ!」。リリアーナの警告と同時に、雪の中から氷の鎧を纏った兵士たちが姿を現した。その手には、氷でできた鋭い剣が握られている。


「よく来たな、間抜け共が!この氷の墓場で死ねることを光栄に思え!」。兵士たちが一斉に襲いかかってくる。クライヴは『無銘ノ剣』で応戦するが、敵の氷の鎧は驚くほど硬い。キィン、と甲高い音を立てて弾かれ、確かな手応えがない。それどころか、鎧の傷が周囲の冷気を取り込み、みるみるうちに再生していく始末だった。


「クライヴ、あの鎧、関節の部分だけ魔力の流れが滞ってる!そこよ!」。リリアーナの鋭い声が吹雪を貫いた。彼女が放った風の矢が、一人の兵士の足元を狙う。敵が体勢を崩したその一瞬を見逃さず、クライヴは鎧の肘関節に剣の柄を叩き込んだ。パリン、と鈍い音と共に、再生が追いつかず氷の装甲に亀裂が走った。


「リリィ、一瞬でいい!奴らの視界を晴らしてくれ!」。クライヴが叫ぶと、リリアーナは力強く頷いた。「任せて!私の風が道を拓くわ!」。彼女が弓を天に掲げると、猛烈な突風が渦を巻き、兵士たちの周りだけ吹雪が嘘のように晴れ渡った。一瞬、太陽の光に目が眩み、敵の動きが止まる。


その好機を、クライヴは見逃さなかった。彼は音もなく敵の背後に回り込み、狙うはリリアーナが指摘した関節部分のみ。彼は『無銘ノ剣』を巧みに操り、兵士たちの膝や肘を的確に打ち砕いていく。氷の鎧が砕ける甲高い音が、静寂を取り戻した雪原に連続して響き渡った。


「ほう……俺の兵士をここまでやるとはな」。砦の奥から、巨大な斧を肩に担いだ大男が姿を現した。男の周りだけ、吹雪がさらに激しく渦巻いている。あれが首領、そしてクライヴが作った『氷斧』。その刃は絶対零度の冷気を放ち、見るだけで肌が粟立った。「だが、それもここまでだ。俺の氷斧の錆にしてくれる!」


首領が氷斧を振り下ろすと、地面から巨大な氷の棘が突き出し、クライヴに迫る。彼はそれを紙一重でかわすが、斧から放たれる冷気が彼の体力を容赦なく奪っていく。「クライヴ!」。リリアーナが放った矢が、首領の足元を凍らせ、その動きをわずかに鈍らせた。だが、決定的な隙には至らない。


「リリィ、俺ごとやれ!」。クライヴは覚悟を決め、首領の懐へ突っ込んだ。リリアーナは一瞬ためらったが、彼の瞳を信じて最大の風魔法を放つ。凄まじい突風が、クライヴと首領を同時に吹き飛ばした。体勢を崩した首領の手から氷斧が滑り落ちる。クライヴは即座にそれを拾い上げ、魔力を遮断した。「眠れ」。荒れ狂っていた吹雪が止み、空には久しぶりの太陽が顔を覗かせた。二人の絆は、この極寒の地でまた一つ、強固なものとなった。

お読みいただき、ありがとうございました!

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酸欠ペン工場(@lofiink) [https://x.com/lofiink]

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