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俺の作った武器が世を乱すので、絶対に折れない剣で全部取り戻す  作者: 酸欠ペン工場


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第13章 リリアーナの秘密

次なる武器の手がかりを求め、一行が訪れたのは、巨大な樹々が天を突くエルフの里だった。木々の間には美しい吊り橋が架かり、優しい光が満ちている。「わあ……綺麗。ここが、リリィの故郷なんだな」。ガルドが感嘆の声を上げる。だが、その幻想的な風景とは裏腹に、里の民がクライヴに向ける視線は、刃のように冷たかった。


「人間……しかも、鉄の匂いをさせた鍛冶師か」。里の長老は、クライヴを一瞥するなり、侮蔑の言葉を隠そうともしなかった。「我々の森に、何の用だ。また災いを持ち込むつもりか」。その言葉に、ガルドが食ってかかろうとするのを、クライヴは手で制した。彼らが人間、特に武器を作る者を憎むのには、何か理由があるはずだった。


「長老、この人たちは私の仲間です。どうか、無礼をお許しください」。リリアーナが深く頭を下げる。その姿は、いつもの彼女からは想像もできないほど、しおらしいものだった。「リリアーナ様がそうおっしゃるなら……。ですが、我々があの悲劇を忘れたわけではございませんぞ」。長老はそう言い残し、静かに立ち去った。


客としてあてがわれた樹上の家で、重い沈黙が三人を支配していた。「リリィ、あの悲劇ってのは、一体何なんだ?」。ガルドの問いに、リリアーナは俯いたまま、か細い声で答えた。「……私が、話すわ。私の、そしてこの里の過去を」。彼女はゆっくりと顔を上げ、クライヴをまっすぐに見つめた。その瞳は、悲しい決意に満ちていた。


「私、この里の王女だったの」。リリアーナの告白は、あまりにも衝撃的だった。「数年前、この里は、ある一つの武器によって壊滅的な被害を受けたわ。それは、どんな盾も貫く『必中の魔槍』。その槍を持つたった一人の人間によって、私の両親……王と女王は、命を奪われたの」。彼女の声は、震えていた。


クライヴは、息ができなかった。必中の魔槍。それもまた、紛れもなく彼が過去に作り出した最高傑作の一つだったのだ。「その槍を作った人間を、私はずっと憎んでいた。だから、元凶を突き止めるために、里を飛び出したの」「……」「でも、旅の途中で分かった。悪いのは武器じゃない。それを使う人間の心だって。だから……あなたのせいじゃないのよ、クライヴ」


「それでも、俺の作った武器が、君から家族を奪った……」。クライヴの心は、罪悪感で張り裂けそうだった。これまで感じてきたどんな痛みよりも、深く、鋭い痛みだった。なぜ彼女は、仇である自分の隣にいてくれるのか。なぜ、自分を信じてくれるのか。その事実が、彼をどうしようもなく打ちのめした。


「私は、あなたに出会って、救われたのよ」。リリアーナは涙を堪えながら、微笑んだ。「自分の武器に苦しむあなたを見て、私と同じだって思った。だから、一緒に戦いたいって。もう二度と、私たちみたいな悲劇を生まないために」。その言葉に、クライヴは強く拳を握りしめた。己の罪と、彼女の覚悟を、今度こそ真正面から受け止めなければならない。


「リリアーナ……」。クライヴは、彼女の小さな手を握った。「俺は、君の悲しみを終わらせる。君の家族を奪った、その元凶である俺自身の手で、必ず」。それは、許しを乞う言葉ではなかった。彼女の悲しみを全て背負い、共に未来を切り拓くという、魂の誓いだった。


その時、里に警鐘が鳴り響いた。かつて里を襲った魔獣の生き残りが、再び森に現れたのだ。「クライヴ、行きましょう!」。リリアーナの瞳には、もう涙はなかった。二人の間には、悲劇を乗り越えた、より深く、そして切ない絆が生まれていた。彼らは顔を見合わせると、ガルドと共に、里を守るための戦いへと駆け出していった。

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酸欠ペン工場(@lofiink) [https://x.com/lofiink]

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