第12章 罪の重さ、仲間の絆
鉱山都市を解放し、一行は次の目的地を目指していた。背後には、少しずつ活気を取り戻しつつある街並みが見える。「ハッ!俺たちにかかれば、あんなもんよ!」。ガルドが豪快に笑う。その隣で、リリアーナも嬉しそうに頷いた。「うん!みんな、笑顔になってくれて良かった!」。だが、クライヴの心は晴れなかった。一つの街を救っても、彼の武器はまだ世界のどこかで悲劇を生み続けているのだから。
旅の途中、一行は商隊の残骸を発見した。荷物は散乱し、荷馬車は無残に破壊されている。かろうじて息のあった商人から話を聞くと、音速を超える鞭を持つ盗賊に襲われたという。「鞭が唸るたびに、真空の刃が飛んできて、誰も近づけなかった……」。その言葉に、クライヴは顔を青ざめさせた。『音速の鞭』。それもまた、彼の作品だった。
その夜、クライヴは一人、焚き火の炎を見つめていた。仲間たちの陽気な声も、今の彼には届かない。まただ。また俺の武器が、誰かの日常を、命を奪った。いくら武器を回収しても、過去に起きた悲劇は消えない。その事実に、彼の心は押し潰されそうだった。「また俺の作った剣が罪なき人々の血を流させてしまった……」。彼の口から、か細い呻きが漏れた。
「クライヴ……」。リリアーナが心配そうに隣に座る。だが、クライヴは彼女の顔を見ることができなかった。「……俺に構うな。これは、俺一人の問題だ」。彼は冷たく突き放す。優しさが、今は何よりも辛かった。自分の罪に、他人を巻き込みたくはなかった。その頑なな態度に、リリアーナは悲しそうに瞳を伏せるしかなかった。
「いつまでウジウジしてやがる!」。突然、ガルドの怒声が響き渡った。彼はクライヴの胸ぐらを掴み、無理やり立たせる。「お前一人の問題だぁ?ふざけんじゃねえ!俺たちは仲間だろうが!」。その金色の瞳が、怒りに燃えている。「お前の罪は、俺たちの罪でもあるんだよ!そうやって一人で抱え込むのは、俺たちを信じてねえってことだ!」
ガルドの言葉が、クライヴの胸に突き刺さる。信じていない?違う。逆だ。信じているからこそ、これ以上彼らを自分の罪に巻き込みたくなかったのだ。「だがな、クライヴ。下を向いてるだけで、何が変わるんだ?」。ガルドは拳を握りしめた。「お前のその手は、武器を生み出すだけの手じゃねえはずだ。俺たちと共に、未来を切り拓くための手だろうが!」
ガルドが去った後、リリアーナが再びクライヴの隣に座った。「ガルドも心配してるのよ。口は悪いけど、誰よりも仲間思いだから」。彼女は静かに語りかける。「クライヴが苦しんでたら、私たちも苦しい。クライヴが痛むなら、私たちも痛いの。仲間って、そういうものでしょ?だから、一人で背負わないで」
その優しい言葉が、頑なだったクライヴの心の氷をゆっくりと溶かしていく。そうだ。俺は、いつの間にかまた一人で戦おうとしていた。仲間がいることを、忘れていた。一人で罪を背負うことは、贖罪などではない。それはただの自己満足であり、仲間に対する裏切りですらあったのだ。
翌朝、クライヴは仲間たちの前に立ち、深く頭を下げた。「……すまなかった。俺は、間違っていた」。彼の瞳には、もう迷いはなかった。「この罪が消えることはない。俺は、一生これを背負って生きていく。だが、もう一人では背負わない。お前たちと共に、この罪と向き合っていくと決めた」
「ハッ、ようやく分かったみてえだな」。ガルドがニヤリと笑い、クライヴの背中を力強く叩いた。「当たり前じゃない!」。リリアーナが花のような笑顔を見せる。痛みを知り、それを仲間と分かち合うことで、クライヴはまた一つ、本当の強さを手に入れた。朝日が昇る中、三人の絆はより一層固く結ばれ、彼らは決意を新たに前へと進み始めた。
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