酔ってるんじゃねーよ、お前は悲劇の主人公じゃない。
大井埠頭に俺はいる。相手は三つのチームの連合の何たらとかいう暴走族。1300人いるらしい。
こいつらは、人に迷惑をかける。いや、かけている。こいつらを壊せば、誰かを守ることになる。俺がやられたとしても、俺が傷付ける人達を守ることになる。
正直、少し疲れたのかもしれないな。
親父よ、お袋よ、俺は誰かを守りたいんだ。許してくれよ。
俺は1人で煌びやかな騒がしい騒音の中に飛び込んで行った。
100か200かそれぐらいは壊しただろうか。だがもう身体が動かない。
いよいよだなと俺は思った。俺が壊れる事で誰かは守れるだろう…そうして俺は目を閉じた。
??⁈う…ん?さっきまで絶え間なく叩きつけられてきた衝撃が消えた。そして、真っ白な衣装の集団が1000人に突っ込み蹴散らしていく。真っ黒な衣装の男が1人、決して大きくないその男は、2mある俺の身体を軽々持ち上げて、バイクに跨る。そして、耳元で俺に囁く「悲劇の主人公気取ってんのか?だが、気に入った、俺の仲間に入れてやる。」是も非もなく、俺は意識を失っていく。初めて抱く、いや遠い昔に抱いた感情、「安心」をしながら目からは涙が流れていた。




