うるさい奴らだね…「だっちゃ」とでもいわせてーのかこら。
優しい歌が好きです…か。じゃあ、歌を聴くんじゃねー、歌えよ。
そこに立っていたのは、目つきが異常なまでに鋭いというかなんというか圧のあることを除けば、眼鏡をかけ、学生服を着た優等生っぽい学生だった。
「うるさい奴らだった…だっちゃとでもいわせーのか…全く。お前もうるさいのか?」
ブツブツと独りごちて、なお飄々とした口調でその男は俺に問いかける。
「てめぇ、誰だよ、なんなんだよてめぇは、つまんねーことブツブツと…」俺はまだあちこち痛む体をねじらせながら相手に返す。
「やれやれ、日本語が通じないのか?こちらが聞いているんだよ。お前もうるさいのか?と聞いているんだよ。…つまらないは許さないがな。」相変わらず掴みどころのない様子だ。
「てめぇ、俺を助けたのか?」
「Are you noizy,too? Anche tu sei rumoroso? Bist du auch laut? ]
「何を言ってやがるんだ?なめやがって?」
「ふむ、どうやら日本人のようだな。まあいいさ、俺はな下校時の静かな時間を台無しにした輩どもをぶっ飛ばしただけだ。結果、お前が助かったのかもしれないがな。だから礼ならいらないぜ。」
真面目そうな容貌だが、口の利き方は荒っぽく、だがその口調というか雰囲気というかなんとも聞いていると安心してしまう。
「お前、なかなか強いな。一対一ならどれぐらい強いのか試してみたい。やれるか?」
「上等だよ、今すぐ泣きっ面かかせてやるよ。」
「ふふふ、面白い。ちなみに泣きっ面ではなく、吠え面をかかせるの間違いじゃないのか?」
「うっるせー、おらぁ、おらぁ、おらぁ!!!!」
「ふ…ん、悪くはない。悪くはないが、発展途上だ。それっ!」
殴りかかった俺の腕を器用にひねって、俺は空中に投げ飛ばされた。
「落ち込むことはないぜ。お前が強いから、その分強く投げ飛ばされただけ。まぁ合格かな。」
「…?合格、何言っていやがる?」
「だから、俺の仲間にしてやるよってことだよ、馬鹿だね。」
「ば…馬鹿だとてっっめぇ!!!」
「違うのか?」
「うっ!!」言い返せない。確かに俺は馬鹿だ。でもここで認めるのは癪だ。
「もういい。とにかく金髪ツンツン頭のお前、名前を聞かせろ。俺の名前は世古だ、世古公士だ。」
「……相馬………瞳…だ」
「おお、Hit me! いい名前だな。気に入ったぜ。」
俺はこの名前を嫌っていた、女の名前みたいだっていつもからかわれてきた。初めて「いい名前」だって言ってもらったことで、なぜこんなに嬉しいのだろうか。




