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あの日の詳細⑧全滅

Extremely evil――通称イービル。


 


その全滅の報は、瞬く間にこの界隈を駆け巡った。


 


 


騒ぎにならないはずがない。


 


 


あいつらは、ただの暴走族じゃない。

“好きに走るだけの集団”だったこの世界に、暴力という常識を持ち込んだ張本人だ。


 


 


走りから、支配へ。


 


 


その転換点にいたのが、Extremely evil。


 


 


ある意味、名門。

いや――原点にして頂点だった。


 


 


 


そのExtremely evilが、全滅した。


 


 


 


信じられるか?


 


 


 


名だたる喧嘩師。

単車の名手。

一人一人が、化け物みたいな連中だ。


 


 


普通なら、あり得ない。


 


 


 


だが現実は違った。


 


 


総長、副長、幹部――


 


 


全員が壊された。


 


 


半殺しどころじゃない。

“九十九殺し”。


 


 


今、生きているのが不思議な状態で、病院に転がり込んだらしい。


 


 


 


当然、警察は動いた。

メディアも騒いだ。


 


 


だが、


 


 


一番の問題はそこじゃない。


 


 


 


「どこがやったか」


 


 


 


……分かってる。


 


 


みんな分かってる。


 


 


 


偶然じゃない。

事故でもない。

たまたま強敵に当たった――そんな話じゃ済まない。


 


 


 


Extremely evilは、


 


 


そんな柔なチームじゃない。


 


 


 


あの黒帝でさえ、一目置く部分があった。


 


 


 


源田や藤原みたいな化け物が、何人もいるような組織だったはずだ。


 


 


 


関東で最強か?


 


 


と問われれば、


 


 


俺は迷う。


 


 


 


黒帝か、


 


Extremely evilか。


 


 


 


それくらいの存在だった。


 


 


 


 


それが、


 


 


消えた。


 


 


 


 


――意味は一つだ。


 


 


 


関東の均衡が、崩れた。


 


 


 


 


これまで、


 


 


関東の暴走族は守られていた。


 


 


 


Extremely evilという、


 


 


“蓋”に。


 


 


 


 


他地域の猛者たちも、


 


 


簡単には手を出せなかった。


 


 


 


だがその蓋が、


 


 


壊れた。


 


 


 


 


群雄割拠。


 


 


 


戦国時代の始まりだ。


 


 


 


 


関東で唯一、


 


 


全国に繋がりを持つのは「亡霊」だけ。


 


 


 


北海道から沖縄まで。


 


 


全てに支部を持つ、異常なチーム。


 


 


 


だが――


 


 


全国に広がっているだけで、


 


 


“頂点”ではない。


 


 


 


単独でNo.1を取ったことはない。


 


 


 


亡霊、化け猫、風林火山。


 


 


連合を組んで、


 


 


ようやく関東上位。


 


 


 


つまり、


 


 


 


“空いた”んだ。


 


 


 


頂点が。


 


 


 


 


Extremely evilの崩壊は、


 


 


一つの終わりじゃない。


 


 


 


 


始まりだ。


 


 


 


 


……そして、


 


 


 


もう一つの影がある。


 


 


 


 


道化師。


 


 


 


 


あいつらは、


 


 


何をしている?


 


 


 


暴走族同士を潰し合わせて、


 


 


上に立つ気か。


 


 


 


 


それとも――


 


 


 


 


もっと別の、


 


 


 


何かか。


 


 


 


 


 


「……はぁ」


 


 


 


 


息が漏れる。


 


 


 


 


「やれやれ、煮詰まったな」


 


 


 


 


 


こういう時は、


 


 


決まってる。


 


 


 


 


床屋だ。


 


 


 


 


 


ハサミの音。


 


 


 


整っていく感覚。


 


 


 


 


 


あの時間だけは、


 


 


頭が静かになる。


 


 


 


 


 


 


……さて。


 


 


 


 


今回は、


 


 


 


どんな音がするかな。






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