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終章: 君と奏でる夜想曲
「ふふっ」
メイの笑い声が、そっと空気を揺らした。
微かな響き。けれど、それは確かに、この世界に刻まれる音。
——あの日、僕の人生は、静寂から解き放たれた。
メイの声が、最初の一音となり、
僕の世界にメロディが生まれた。
ああ、愛しい。
僕はようやく、生きている。
冷え切った体に血が通い、
失われていた鼓動が、確かなリズムを刻んでいく。
メイの鼓動、ささやき、呼吸。
そのすべてが、僕の生を確かにする。
不完全だった僕は、君と交わり、ひとつの音楽になった。
——愛している。
君を、決して離さない。
このメロディが終わることはない。
オルゴールは、決して止まらない。
この箱庭に響く旋律は、永遠に続いていく。