表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【感謝!3万PV達成!】虹の聖樹 『大聖女・ハルカ』と夫君達との異世界ライフ♫  作者: 天の樹
第五章 ハルカ『異世界で出産』する★
92/95

ハルカ 異世界で『出産』する 2

「異世界で『出産』する 」のお話を二つ(二話目)にまとめて少し加筆しました。

 『妊娠している』とわかってから、日記のようなものをつけることにした。といっても『観察記録』に近いもの。おそらくこれも『公文書』として記録され残されるということを考えてのことだ。

 日々の日常のあれこれも『妊娠』や『出産』に関するものは『お約束』通り映像や音声、おそらく夫君達からの『報告書』で記録され、保存されている。

 でも、まあ当事者の『私』の感覚的なものは『私個人』でしか表現の仕様もないわけで… 『私』からみた『子供の核』の成長や『出産後』は『おくるみ』の中の『光の玉』の状態、つまりは『成長観察記録』だ。


 『私』の個人的な記録はあえて残さないようにしていたので夫君達に子供に関する『日記』をつけたいと話した時ちょっと驚かれた。とはいっても書くのは『日本語』だ。あえて『翻訳』しない。『私の死後』に『渡り人』の誰かが『翻訳』しちゃうかもしれないけれど、その時はその時で、その時には『私』は存在しないから気にしないことにしている。

 だから個人的な感情云々は書かないことにしている。書いたとしてもちょこっとだ。メモ書き程度? かな。

 夫君達は『日記』用のノートも筆記用具も色鉛筆も用意してくれた。最初は『子供の核』に関することがメインだったけれど、いつの間にか夫君達に関することも書き綴ることが増えている。色々だ。アレクサンダーとの例のちょっとしたケンカみたいなのも書いてるし、それに対して他の夫達の反応もメモ書きのように書いてる。

 彼等が『父親』として『子供』にどう接していたか、それをいつか子供や孫が知って欲しいなと思ったし、『渡り人』の一人として『地球』とは全然異なる環境で戸惑いながらも『妊娠』『出産』『子育て』していったのかというのも知って欲しいと思ったからだ。そして、それは現在進行中で書き綴られている。

 たまに『夫君達』が『日記』を覗き込んでるけれど、『読めない』とぶつぶついってる。そんな彼等をみて不謹慎だけど笑ってしまった。


 そんな風に穏やかに日常が過ぎていた。

 ちなみに『おくるみ』も『抱っこ紐』も『マナ眼鏡』で見るとそれぞれ『夫君達』の『マナ』でできているのがわかる。つまり『父親』の『マナ』に常に『子供』は守られているということだ。それはそれで随分と『地球』とは違うんだなって驚いた。

 彼等は本当に愛情深い。『私』よりも『母性』が強い気がする。

 もちろんそうやって『子供』を守らなければ『マナの塊』の状態の『彼等』は消えてしまうからだ。ただそうやって『子供』を大事に慈しんでくれているのを見ると嬉しくなるのだから不思議なことだと思う。


 こうやって『地球』なら『出産』に関わることはある意味神聖で奇跡で、それこそ『宗教』と深く関わるものなのだろう。ところがこの星の場合はとても神秘的ではあるけれどそこに一切の宗教要素が加味されないのだ。それこそ言葉は悪いけれど『果実』も『子供』も『同じ』なのだ。確かに『マナ』によって維持されているというのであればそうかもしれないけれど……


 母体であるはずの『私』ですらも『妊娠』や『出産』を『地球』のように体験できていないし、現時点での『マナの塊』のような『子供』が全く物質化されていないので『子育て』にこれって入っているのか否なのか、いまいちピンとこないというのが本音なのだ。おそらく 『光の玉』が物質化して『人』になって自分の腕に抱かれるまでは実感できないんじゃないだろうか。

 しかもその段階ではすでに『マナの自己生成』ができてしまうのだというのだからつまり『授乳』とか必要ないってことなんだろう。実際私も今現在『母乳』とか全く出ないのだ。う〜ん、これってどうなんだ?


 『地球式』の『彩乃さん』は違うんだろうか? 普通に『地球』のように『子供』として『出産』するっていってたし『子育て』もそうなんだろうか?


 触れることもできない『光の玉』が夫君達のように『人間』にどうやって変化するのだろうか。

 全てが未知すぎてちょっと怖い。『妊娠や出産』が楽すぎて怖いというのは贅沢だって言われちゃうかもしれないけれど……


 最近までバスケットボールくらいだった『光の玉』はそれより若干大きくなって両手で抱えるサイズのビーチボールくらいになっている。大きいな。

 

 『マナ』の色味も濃くなってきているし、おそらくものすごく大量の『マナ』を供給しているんだろう夫君達は『私』との食事を除いてほとんどがベッドの上で『おくるみ』を抱き抱えるようにして眠っていることが多くなった。

 夫君達の見た目年齢も『出産時』は二十代後半から三十代前半に見えていたのに現時点では二十代そこそこにしか見えない。アレクサンダーに至っては二十代半ばだ。『出産直後』は私と夫君達とは少しばかり歳が離れている感じだったのが一気に縮まった感だ。

 『母体』からも『マナ』をごっそり持っていくのと同じくらい『父親』からも『マナ』を供給されるのか。とんでもないくらいの量を必要とするんだな。

 この星の女性もある意味命懸けだけど、男性もということなんだろう。

 この星の女性は子供の数は一人か二人だそうだ。父親が『魔力やマナ』が多ければそれ以上も可能ではあるけれど王家に準じたものでなければそれも難しい。

 国王を除いては王弟が持てるのは妻三人までだ。

 今回のアレクサンダーは例外中の例外だ。

 彼にはすでに三人の妻がいたし、彼女との間にそれぞれ子供も成していた。『渡り人』である『私』による逆指名によって今回の婚姻がなされたわけだ。おそらく今回の『出産』で『子供』を育てるためにアレクサンダーの『マナ』はかなり消費してしてしまったんだろう。一気に若返るということは彼の寿命もそれだけ使われたということになる。

 そうなってくると国王というのは『魔力とマナの量』がとんでもないんだろうなと気付かされる。

 十人の妻とその間に子供を成す。つまりは少なくとも十人の『子供』達へ『マナ』の供給がなされたということ。おそらくその父親である前国王も同様で、レオンハルトとルイスは双子だったし、異母から生まれたクリストフも同じ歳ということは、そこで三人の『子供』達に同時期に『マナ』の供給をしていなければ三人はここにいなかったわけだ。それこそ命懸けだったんじゃないかな。どうやって『供給』していたんだろうか? 今の私達みたいに一つのベッドで交代しながら? なんかちょっと想像しづらい。

 そんなことを思いながら『おくるみ』を抱きかかえている夫君達の寝顔を見ていた。


※※※



 その日は突然やってきた。前日から『光の玉』の色が急にオレンジぽくなってるなあと気がついていたのだけれど、『マナ眼鏡』でみても少しだけ『父親色』が強くなっているぐらいで特別な変化はなかった。

 もちろん視覚で捉えられる、もしくは微妙に熱を発しているくらいの感覚的なものはそう大きく変わらなかった。 

 『光の玉』に触れることもできないのも相変わらずだった。

 夫君達はさらに大量に『マナ』の供給をしているのかレオンハルトやルイス、クリストフは成人男性というよりは青少年、高校生くらい? アレクサンダーにしても大学生くらいにまでわずか一日で見た目が若返ってしまった。

 私はといえば、ちょうどお水を飲むためにキッチンにいて、夫君達の様子をただただ見ているだけだったのだけれど、突然夫君達が『おくるみ』をベッドの上に置いて身体を起こした。

 どうしたんだろう? と様子を見ているとルイスにベッドに呼び寄せられる。


 夫君達はそれぞれ『おくるみ』からオレンジ色に光る『光の玉』を取り出しベッドの上に置いた。

 夫君達はそれに触ることができるらしい。その様子は『おくるみ』を通してしか触れられない私としては正直ちょっと羨ましい。


 ベッドの上に四つのオレンジ色のビーチボール大の

『光る玉』。


「ハルカ、『この子』達に触れてみて」

 

 ルイスが何かに期待したような顔をして私に促す。

 触れてって触れられないじゃん。と思いながら人差し指で『光の玉』にタッチした。

 あれ? 触れられる? と思った次の瞬間『光の玉』が風船が弾け裂けるのと同じようにパンと弾けた。え? 弾けた? 驚いていると目の前に『子供』? 『地球』的には生後3ヶ月くらいの『乳幼児』が突然現れた。

 え? え? え〜〜〜!

 驚愕している私にアレクサンダーとレオンハルト、クリストフも同じように『光の玉』に触れるように促してきた。動揺しつつも『光の玉』に触れる。パン。パン。パンと同じように『光の玉』が弾けると同じくらいの『乳幼児』が現れた。


 ………… ちょっと異次元すぎてついてけないんだけど…… 唖然としている私。夫君達はすぐに『おくるみ』に『子供』達を包み抱き抱える。


 いや、もう想定外すぎる。え? いきなり『乳幼児』? 結構大きいけど。この星って、これが普通なんだろか? まじか? いきなり『人』化したで? 


 え? あれなんかな、『かぐや姫』の竹が光ってるみたいなもの? 桃太郎の『桃』みたいなものなの?

 ちょっと脳内処理追いつかないんやけど、ちょっと待ってほしい。

 いきなりすぎるだろ。いきなり『乳幼児』?

 あの大きさまで育てるためにものすごい量の『マナ』の供給が必要だったんだろうなってことは夫君達の見た目若返りを見れば『理解』はできるけれど… 

 『マナの塊』からいきなり『人』化。『出産』の時以上にビビってしまっているよ。


 この後改めて『ご対面』だよね。深呼吸、深呼吸、深呼吸。すーはー、すーはー、すーは呼吸を整え、気持ちを落ち着かせた。 

 



いつもお読みいただきありがとうございます。

現在の更新は不定期です。

もし続きが読みたい、面白いと思ってくださった方は、ブックマーク・いいね等よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ