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【感謝!3万PV達成!】虹の聖樹 『大聖女・ハルカ』と夫君達との異世界ライフ♫  作者: 天の樹
第五章 ハルカ『異世界で出産』する★
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ハルカ 『光合成』中?

「『光合成』中?」のお話を一つにまとめて少し加筆しました。

実は、三話公開中に、なんと3万PV達成していました。

皆様ありがとうございます。体調次第になりますが、ゆるゆる描き続けていこうと思いますので、今後ともよろしく願いします。

 ん、気持ちいい。やっぱ、外の空気はいいな。

 太陽が二つも出ているのに、その日差しは柔らかで日本的には『小春日和』という言葉が当てはまるかな。


 両腕を思いっきり伸ばし背伸びをする。


 目の前のヨーロッパの古城風の大庭園は相変わらず綺麗に管理されている。

 そこに白い大きめのベンチが置かれていて、いつの間にか夫君達が座りやすいようにクッションが置かれている。

 「日光浴」というよりは「光合成」を意識するように久々の『屋外』を満喫する。


 それにしても美しい『庭園』だな。誰が管理しているんだろうって以前ルイスに訊ねてみたら、『魔法』で管理しているって答えてくれた。目の前であっという間に色々なタイプの『庭園』が一瞬で切り替わっていくのは圧巻だった。『日本庭園』もあった。それも御所風から侘び寂びとさまざまだ。一体どこからそんなアレンジがと不思議に思っている私にルイスは「レシピから」と教えてくれた。


 レシピ? レシピか。食材やその料理法も味付けさえも…… 『衣食住』全部が『レシピ』から最も簡単に『地球』風に出来上がってしまう。


 なぜ? どうやって再現できるの? 『レシピ』に関する疑問もここに来た当初は不思議に思いながらも目の前で展開される『魔法』に圧倒されて有耶無耶にされてしまっていたのだけれど…… 『始まりの記憶』を知ってしまった時、『地球由来』だと思っていたものは実はそれ以前の過去の『星の記憶』なのだと、そのアレンジに過ぎないのだと気が付いてしまったのだ。


 『無』から『有』は生まれない。


 『地球の文明』そのものが『人類』が作り出したと勘違いしていたとすら思わされてしまう。

 『アイデア』は先にあるけれど、それをいかに形にするかの手法が『地球』という『物質化』された星の中ではあくまで『特殊』なやり方でしか『実現』できなかっただけだ。

 

 この星にしてもこの星の人たちのいう『白い星』にしても『魔法』という地球人にすれば『非現実的』な手法で『マナ眼鏡』のようなものでしか『見ること』ができない『マナ』という『無』から、『レシピ』という『アイデア』から様々なものが形作られていくのだ。

 『レシピ』を以前見せてもらった時、あれは確かそれはこの屋敷に夫君達が様々な部屋を増築していた時だったっけ。まるで一見紙の『カタログ』のようなものから『レシピ』を選び、『カタログ』自体は役目を果たすと一瞬で跡形もなく消えてしまい、彼らは選んだ『レシピ』をさらに思い思いの形に『お好み』に変化させていくのだ。一度選んだ『レシピ』はすぐ引き出されるようになっているらしい。というか、彼らの記憶の中から物質化?する『魔法』として引き出されるのだとか。

 『地球人』的には『原材料は?」とか『加工方法は?』みたいなものを全部すっ飛ばしてしまうのだ。正直、ちょっとついていけなかったのだけれど…… 色々な『記憶』を覗いてしまったからだろうか、おかしな話だけれど、そういう『非地球的な』ものも、『有』かもとすら最近は思えてしまうのだ。


 まあ、こうやって私の好きな『梨』一つも目の前に広がるほぼ完璧な『地球』のどこかでみた庭園も一瞬で彼ら自身の『マナ』を『魔力化』して作り上げてしまうのだ。本当に大した物だ。


 ちなみに完璧に見える庭園の一区画は『菜園』というか、畑というか、果樹園というか…… 『子供』の為に『マナ』を均一に取るために作られた結構広めの『農園』がある。

 お腹の中にいる時もだけれど、出産後ある程度育つまでは『均一化されたマナ』を取れるようにするのだとか。

 とはいえ『自己生成』できるので量自体はそれほど必要はないらしい。どちらかといえば子供のうちから『レシピ』を引き出す『引き出し』みたいなものを訓練するのだとか。

 『均一化』したものに慣れさせると『レシピ』の『均一化』も簡単にできるようになるのだそうだ。

 夫君達もそうやって『レシピ』の幅を増やしていったのだと『農園』を作りながら教えてくれた。

 なので『農園』を除いた『庭園』はレオンハルトがいうにはこれからほぼ日替わり(私が散歩するときに合わせて)でアレンジされるのだとか。

 

 彼ら曰くお腹の中にいる『子供』にとっても必要なのだそうだ。

 体内からの『マナ』の吸収だけではなく『母体』を通しながらも様々なものを取り込んでくのだとか。

 この星ならではの『胎教』のようなものか? と思いつつ、夫君達のいう通りにしていく。だって『子供』は『地球』ではなくこの星の『子供』だからだ。


 『渡り人』の体質が変化しないと『子供』を作ることはできない。つまり『地球』でいう『卵子』や『精子』が変化するか、消えて『マナ化』しなければ『子供』は生まれないという事だ。それが意味するのは『子供』は『遺伝子』ではなく『マナの結合』によって生まれるということだと最近思ってる。

 でなければ女性の『子宮』はともかく男性の『精巣』が『子宮』のように体内にあるというのもどうなんだって事だ。確か温度が高いとダメなんじゃなかったっけ。

 そもそも『子宮』にしても『精巣』にしても『地球語』に『翻訳』されるからなだけで、おそらくそこが彼らにとって『マナ』を生成する『器官』なのではないだろうか。『マナ』の『貯蔵庫』だからこそ『子供のマナの核』が作られるのだろう。

 でなければ『閉経』し『卵子』も作られない『私』が『子供』を持てるはずがないのだ。


 ルイスはそれを知っていた、ううん、この星にきてすぐ『診察』された時も『閉経』には驚かれたけれど、この星の誰も『子供』は持てないとは断言していなかった。どんなに見た目が若返ったとしても『生理』になることがなかったから作れないと思い込んでいたのは『私』だけだったのか。

 夫君達にとって『子供』が無理だと思っていたのは『マナ欠乏症』で『マナ』の放出が状態化していた為に『子供』を作れるだけの『マナ』の貯蔵ができない為だったのだろう。

 奇跡的に『マナ欠乏症』が改善されて見た目も体質も一気に『変化』したことで『マナ』を貯蔵することが出来たことで、眠り続けた三年の間、夫君達が『マナの供給』をし続けたある段階で夫君達と私の『マナの結合』によって「子供の核』が生成されたのかもしれない。


 そんなことを思いながら、目の前に広がる美しい『庭園』を見ながらゆっくりと自分の下腹を撫でた。

 

 

 お庭でお散歩と『光合成』、ときには夫君達の奏でるミュージックを聴きながら、ゆるゆると時間は過ぎていく。


 気がつくと一月が過ぎていた。


 お腹はぺったんこだ。これで四ツ子? ほんまに? この星的には臨月に差し掛かっているらしい。大丈夫なんだろうか? 

 『マナ眼鏡』をかけてみると、確かに成長している。それを通して見るとソフトボールくらいかな。人型(胎児)ではなく球形? 一瞬『卵』? って思ったけれど、柔らかく微妙に変形可能みたいだ。

 『マナ眼鏡』をかけたままお腹をなでたり、軽く押したりするとそれに対応するかのように形が変化していく。お腹は柔らかいままだし、地球的によく聞く『あ、今、お腹蹴った』とかいうのもない。悪阻もなかったし、実際のところ妊娠という兆候がなさすぎて夫君達から告知されなけれぼ自分が『妊婦』だという自覚もないのだ。

 

 『マナ眼鏡』と通して見る『子供達』はおそらく『マナの塊』なんだろう。夫君達の『マナ』とよく似た『マナ』の小さな塊が四つ。見た目ぺったんこなお腹の中に『ソフトボール』大の四つの『マナ』の塊が重なり合うようにひしめき合っているのはある意味『シュール』だ。


 お腹に手を当てるとぽわ〜んと『子供達』が柔らかな光を放つ。それと共に内側がじ〜んと温かかくなる。夫君達がしても同じだけれど、『父親』に反応するのか『父親』に似た『マナ』の色を持つ『マナの塊』が放つ光が若干強まるみたいだ。

 四つの『マナの塊』の大きさは同じ。つまり供給される『マナ』の量は等しいということだ。


 これってすごいよね。『核』の成長が安定するまでの夫君達のケア、つまり他の夫君の子供の『核』も自分の子供の『核』と同じ様に『成長』させたし、『安定期』に入っても自分の子供だけに偏らずそれぞれが常に配慮していなければ『同じ』大きさには『成長』できていないと思うからだ。『マナ眼鏡』が無ければ見れなかった『事実』だ。


 もし自分の子供の『核』を持たなかったらどうするのか? とルイスに聞いてみたことがある。

 その時は『父親』が優先されるのだとか。『マナの供給』も『父親』だけになるのだと。『安定期』に入るまでは他の夫君の『供給』はしない。そうしないと子供の『核』が消えてしまう可能性があるからだとか。

 もっとも『一妻多夫』は『渡り人』ぐらいなので、それらはあくまで『文献』に記されたものなのだそうだ。

 そういう意味で私の『妊娠』も『出産』も『公的記録』として記録され残されることになる。


 現在、私の他に『彩乃』さんも『妊娠』しているそうだ。『彼女』は私と違って『地球式』に近いらしい。

 彼女も今回は『記録』されているのだとか。


 はてさて『この星』式っていうのはどんなものなんだろうか。そんなことを思いながら、今日もゆっくりとお腹を撫でながら『光合成』している私だった。




 『光合成』を開始して二ヶ月経つ。ルイス的にはこの星式の『出産』まで後一ヶ月らしい。

 地球的には『臨月』という事なんだろうけれど、相変わらず私のお腹はぺったんこだ。


 う〜ん、こんなので大丈夫なのか? 『マナ眼鏡』で見ても大きさはあまり変化していない。少しだけ『マナ』の色が濃くなった気がする。それすらも錯覚かと思ってしまうくらいの些細な変化だ。


 夫君達も『全く問題ない』と笑顔で返してくれる。それどころか「ハルカに気にかけてもらえて『子供達』は幸せだ」なんてことまで言っている。


 あんまり気にしすぎるのもよくないのだろうけれど、自分が今まで見聞きした『妊婦さん』とあまりにも勝手がちがうのだから気になってしまうのは仕方がないだろう。

 そんな私を見かねてか、アレクサンダーとクリストフがルイスから渡された小さな魔石を手に『音楽』を奏で始めた。


 ここの『音楽』は楽器を使わず、魔力によって指先でタクトを振る様に『音』を紡いでいくのだ。


 『光合成』を始めてからよく彼らはそうやって『音楽』を奏でてくれていた。なんとなく『地球』のクラッシックの様な曲もあって、彼らはそれを『青の古曲』と読んでいた。いわゆる『青の嵐』の時代の『青(地球』の記憶』を持つ人達によって奏でられてきた『古曲』なのだそうだ。


 今日もそれかな? そう思いながらアレクサンダーとクリストフを見ると彼らが奏で始めたのはあの『少年』が歌っていた曲だった。

 驚いているとルイスが『彼』が持っていた機器をデーターと共に『再現』した魔道具から『あの曲』を見つけたのだという。


 ああ、なるほど…… 多分『彼』はスマホに曲をダウンロードしていたんだろう。それを丸ごと『再現』したということなのか。

 確か私のスマホも『彩乃さん』のスマホも『再現』しデーターも『公的記録』されたと聞いていた。

 

 『渡り人』と共に落ちてきた『遺物』は『公的記録』として『保存』され『管理』されている。


 金髪の『少年』が綺麗なボーイソプラノで歌っていたあの『曲』があの歌声を彷彿させる様な『音』を紡ぎながらアレクサンダーとクリストフによって奏で挙げられていく。


 あの時日本だけではなく世界的にも注目されていた『彼』の曲の中でも好きだった一曲だ。ボカロで有名だったけれど、どちらかといえばアナログ調の『彼』本来の歌声を生かした曲だった。まあ、『おばちゃん』世代にとってはそっちの方が馴染みやすかったのもあったのだけれど……

 

 そんなことを思いながら奏でられる『曲』にシンクロさせる様にいつの間にか口ずさんでいた。





 ルイスが自室にこもって何やらしているな〜と思っていた翌日、


「ハルカ、ちょっと目を閉じて手を出して?」


 ん? なんかめちゃめちゃご機嫌な笑顔だな〜って思いながら、言われた通り目を閉じて右手を前に出す。掌に小さな何かが置かれた。


「もういいよ」


 ルイスの声に目を開ける。小さな乳白色の丸いものが乗せられている。直径が五センチくらい。表面はツルツル、一見プラスチックの様な素材でできている。


「何? これ」


「んとね、」


 そう言いながらルイスはポンと空中に黒いキューブの様なものを三つ放り投げる。それは落下しないで空中にとどまっている。それを確認すると、ルイスは私の掌にある白いものを人差し指で一回クリックした。


「あっ」


 空中に浮かんだ黒いキューブから『音楽』が流れてきた。

 それはまさしく『地球』の曲。


「映像も再生できればよかったんだけど…… とりあえずは音声だけ」


「ありがとう、ルイス。すごく嬉しい」


 三つの黒いキューブによって、地球的には『サラウンド』効果でかなりいい感じになっている。


「ハルカの『スマホ』? から抜いたものだから、ハルカが好きな『音』だと思って」


「ありがとう。ほんと懐かしい」


 オリジナルデーターを保存して『復元』したものから抽出したものらしい。

 アレクサンダーやクリストフが演奏に使っている魔石はこの音源から『楽譜』の様なものに書き出したもので、それによって『音楽』を奏でてくれていたのだと説明を受けた。

 魔石を握りながら魔力で演奏すると『楽曲』が再現できるのだとか。一種の『レシピ』なのだそうだ。


 でも今流れているのは『地球』で聞いていたダウンロードしたアーティストの音源そのものだ。

 懐かしさと色々なものが込み上げてしまい、ポロポロと大粒の涙がこぼれてしまって、それを見たルイスにぎゅっとだきしめられてしまった。


 ルイスに「なぜ『地球の音楽』が解禁されたのか」と訊ねると


「実は様子を見ながらかな? 僕たちの仮説ではおそらくあの時はハルカの『マナ』が影響したのはあの子の『歌声』だ。あの子は『歌声』で『浄化』しちゃうタイプの『渡り人』みたいなんだよね。それも『青の古曲』、特にハルカ達と同じ『言語』? の時に強い反応を示すみたいだ。だから、あの時、ハルカはその『歌声』に『共鳴』してしまったんだろう。因みにこうやってハルカに『青の古曲』を再現して聴かせる時も『マナ』に変化が起きているかいないかも確認しているからね。今のところは大丈夫だし、ハルカのストレス解消もできてリラックスできている様だからね」


 と、笑顔で答えてくれた。


 そういうものなのか。確かにあの子の『歌声』を思い出すだけでソワソワと落ち着かなくなる。『歌声』で『浄化』ってすごいな。と自分の時と比べてみる。あの強烈な匂いの中で『歌う』? いや〜 絶対無理だな。私には無理だ。思わず苦笑いをしてしまった。


 それから『出産』まで、『日替わり庭園』で、用意されたリクライニングチェアに座りながら懐かしい『地球の曲』を聴きながら『光合成』をするのが日課になった。





いつもお読みいただきありがとうございます。

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