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【感謝!3万PV達成!】虹の聖樹 『大聖女・ハルカ』と夫君達との異世界ライフ♫  作者: 天の樹
第四部 『星の核』と『渡り人』の秘密★
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『始まりの記憶』5

 

 『地球』が私の知っている『地球』になるまでは様々な要因によって出来上がったんだなと描かれた『絵』による『映像』で見ることになった。

 本当の意味での『原初の地球』は『白い星』やこの星に近いものだった。

 ただし、この星や私の知っている『地球』と違うのは『白い星』と同様に生命は『マナ』の集合体の様なもので、いわゆる三次元的な物質化はされていなかった。

 不思議なことに『白い星』の記憶も技術も共有されていたし、この星と同じ様に『自己完結』型だった。

 本来はもしかしたらそのままの『進化』を遂げていたかも知れなかった『地球』が大きく激変したのは『月』が『地球』の『衛星』になった時からだった。


 そもそも『原初の地球』には私の記憶している『月』がなかった。『月』は何らかの原因で軌道を変えて『地球』に接近した後、『地球』の軌道に捕まってしまった。それによる影響で『地球』の生命そのものが劇的変化してしまった。つまりは物質化だ。『地球』と『月』の磁場が相互に影響しあった結果、『地球』の生物全て物質化することでその磁場の影響から生き残ることができた。その代わり『マナ』の自己生成をすることができなくなったらしい。それによって『他』の『マナ』を『捕食』することで『地球』の生物は生きることができる様になった。


 様々な『生物』による文明が生まれ消えていっても、生物の『仕組み(他者依存)』そのものは『変化』することはなかった。


 私の知っている知識上では文明を築ける『生物』は『人間』型だけだと思っていたけれど、ちょっと想像を超える様なものも見せられた。

 例えば知性がなかったと思われている『恐竜』による文明もあったのだ。

 『恐竜』による文明…… かなり長い間彼らは地球上の『覇者』だった。家畜を飼う様に、毛もなく皮膚も柔らかい、爪も牙も持たない『人型』に近い『巨人』も彼らは生み出し、それを食していた。中には異種交配をして労働力として使役もさせていた。


 私の知っている『地球』にあった巨石による遺物は彼ら『恐竜』にとって『積み木』の様なものだったようだ。


 但し、そんな彼らも『隕石』が大量に降り注いだために絶滅し、その結果、一度地球上から『生物』が消えることになった。


 『隕石』によって運ばれたものから『生命』が再び『地球』に芽生え始めた。『地球』の磁場にも変化があったのか遺伝子そのものが変化したのか『生物』は小型化した。


 まるで『地球』は何らかの『意志』を持つ実験場の様に…… 『生命』が生まれては、何らかの外的要因で死滅していった。ただ、それを繰り返す内に生き残る種が生まれ、やがて、私の知る『地球』に近くなっていく。

 

 『地球』における『生物』は『月』の影響を受けて以来、同時多発的に赤道付近から湧き出していた。それは『人間』も同様だった。ある日、突然、まるで条件を満たしたかのように『発生』するのだ。

 昔、よく言われていた『アフリカ大陸』という特定な地域ではなく、赤道を境に南北へと『生物』は移動していった。


 いずれにせよ気の遠くなる様な長い年月をかけた後、『人間』は文明を手にすることができた。そう…… 母なる『地球』を内側から粉々にしてしまうくらいに。




 『恐竜』の文明? そんなものありえないと『地球』にいた頃なら一笑していただろう。

 でも『絵』に描かれた『恐竜』は『地球』にいた頃の自分が知っていたものとは全く違うものだった。


 『恐竜』って大型爬虫類だったんじゃないの? 『絵』の中の彼らは『哺乳類』の動物の様に毛が生えている。『翼竜系』も羽が色とりどりで覆われている。皆モフモフだ。

 違うのは大きくて鋭い爪や牙。それと基本四足だけれど、二足歩行も可能だし、両手? も器用に使いこなしていた。

 知能も高いのか意思疎通もしている様だった。彼ら独自のルールもあったようだ。そして一番の驚きは、彼らは何らかの形でものを加工できていた。それこそ『魔力』を使いこなすかのように。


 見た目は『恐竜』だけれど、『他』から『食料マナ』を得なければ生きていけないけれど、それ以外は『マナ』を使いこなせていたんじゃないだろうか? 彼らの体は巨大だ。つまりそれを維持するためには大量の『マナ』が当然必要だったろう。その量は『人間』とは比べようがないくらいの規模だ。

 

 私は『始まりの記憶』を見続けていく中で『マナ』とは『星の遺伝子』そのものだと感じた。『マナ』の塊から『黒い海』を抜け出て作られた星は『破壊』と『再生』を繰り返しながら、そこに『生物』を作り出していく。『生物』に関しても最初は『マナ』によって形作られていたものが、その姿形に多様性が生まれた。いわゆる『人型』も『白い星』の様に何らかの皮膜の内側に『マナ』が覆われたものだった。その姿はルイスによって見せられた『マナの可視化』メガネで見た世界だ。

 

 『原初の地球』に住む『生物』も『月』の影響を受けるまでは『白い星』とよく似た状態だった。そして、それらは全て『マナ』へと帰した。

 ところが『月』という外的要因の影響で『地球』の『生物』は全て物質化した。その結果、『マナの自己生成』もできなくなり、エネルギーを他に依存することになった……

 そうやって『死と再生』を繰り返す内に、個体が小型化することで個々の持つ『マナ』の量そのものが激減した。それによって『マナの魔力化』の能力も失ってしまったんじゃないだろうか。


 『絵』の中の『恐竜』の方が現生人と言われた記憶の中の私達より遥かに『マナの魔力化』ができていた様に思えた。

  


 『絵』の中の『恐竜』達の『文明』は色とりどりで想定以上に『文明』らしい『文明』だった。



 『人間』と『恐竜』の差は、まさしく『宗教』だった。『恐竜』は超越的なものに対して『畏怖』という感情は持っていたけれど、それを利用することはなかった。

 『人間』は身近な『生死』も含めて個を集団化、統率化していくために、それを積極的に活用していった。

 もしかしたら『マナ』を集団化することを無意識に行なっていたかもしれない。集団化することで『マナ』に敏感なものが神格化されていく。

 やがて『宗教』が生まれ、政治に利用されていった。

 『宗教』の名の下に戦争を繰り返し『他者』から奪い続けることで『人間』は『地球』の『覇者』になり変わった。


 一部にとって都合のいい『神』が生まれ、『異端』は排除されていく。

 

 互いにとって不利益な『異端』を排除するための大掛かりな戦争が繰り返されていった。


 その結果、『人間』は自ら『地球』を壊してしまったのか……


 『恐竜』の文明なら『地球』は壊されることはなかったんだろう。彼らにとって全ては『自然の理』だったのだから。


 スクリーンに映し出されていく『人間』の『殺戮の歴史』はおそらく『地球』を殺してしまう未来へと直結しているように感じてしまって、気持ちが悪くなって途中で中断してもらって席を離れた。



 

 もう限界だ。共有ラウンジのソファーに身体を投げ出す。『地球』にいた頃の常識とあまりにも違いすぎる。

 宇宙の成り立ちも、『地球』の歴史も、何だよ、あれは。

 『人間』の存在があまりにも歪すぎる。


 『自己完結』ができなくなったからだろうか? いや、だったら『恐竜』は?

 彼らの『文明』は野生の動物のようだ。人間のような無駄な『殺戮』はしなかった。

 『人間』が生き残れたのは『奪う』ことを極めたからだ。

 英雄だろうが聖人だろうが個を神格化する『宗教』によって血族以外とも組織化できた。土地を奪い、物や人を奪うことで国が成立した。


 『全面核戦争』によってどれだけの人間が生き残れたのかはわからないけれど、おそらく文明は崩壊しただろうし、『小惑星』の軌道を変える技術も失われただろう。『地球』の周辺を周回する人工衛星も宇宙ステーションも制御できなくて落ちてきたのかもしれない。色んなものが制御不能になってその結果『何らか』の要因で『地球』そのものが壊れてしまったのかもしれない。いずれにせよ、それは『人災』だ。『地球人』自らが『地球』を壊したのだ。


 あの時、止めれたかもしれない戦争を他人事のようにやり過ごした自分を含めた『地球人』が『地球』を壊したのだ。何もできなかったのではない。何もしなかったのだ。ただの『傍観者』が全てを壊した。

 『核ボタン』を押した人間も、それを許した『傍観者』だった私達も結果的に『地球』を壊した『破壊者』なのだ。

 

 耐えきれず抑えようとしても漏れ出る嗚咽に身を任せる内に意識が落ちていった。


いつもお読みいただきありがとうございます。

現在の更新は不定期。

もし続きが読みたい、面白いと思ってくださった方は、ブックマーク・いいね等よろしくお願いします。

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