表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【感謝!3万PV達成!】虹の聖樹 『大聖女・ハルカ』と夫君達との異世界ライフ♫  作者: 天の樹
第三部 ハルカ『異世界の浦島』になる★
77/95

ハルカ 西大公国の『花祭り』2 

いつも読んでいただいてありがとうございます。今回で第三部が完結になります。

次回から第四部に突入します。

『次元の間』と『渡り人と地球』の謎、新たな『渡り人』? 様々な要因が展開していく予定です。


 この星の音楽は様々だ。いや、本当に様々だ。

 『地球』ぽいものもあれば、『マナ』を奏でるというのもある。

 つまり『マナによる魔力』を音にするのだ。

 おそらく『マナの可視化』メガネがなければ、手で空を操りながら音を操り音楽を奏でているように見えるだけだろう。

 何もない空間から楽器もなく音によって音楽が作り出されるのだ。


『マナの可視化』メガネをつけていると演奏者の手や指から青、赤、緑、黄色、白、それぞれが微妙に調和しながら音だけではなく『マナ』で美しい絵画を描かれているいくのが見えるのだ。

 それは『地球』でいう、クラッシックの名曲をオーケストラで演奏するかのように幾つもの音が重なり合い紡ぎ出されていく。


 もしかしたら『地球』の音楽の愛し子と言われる名作曲家達は『マナ』が見えてたんじゃないだろうか? そんなことをふと思ってしまうくらい不思議な音楽だった。

 すっかりその音楽に魅了されて、聴き込んでいると

「アレク叔父上も著名な演奏者ですよ」


 クリストフの言葉に丁度後ろに立っていたアレクサンダーの方を振り返ると


「まあ、嗜み程度だが」

「え? 聴きたい。今度聴かせてね」

「ああ」


 アレクサンダーは少し照れたように笑みを浮かべる。

 奏者が演奏が終わると、再び人の流れが起こる。次の演奏までに時間がかかるらしい。人の流れに乗ったまま、次の舞台へと移動をする。

 間で、屋台先に用意された簡易の座席で飲食をする。結構こまめに色々な屋台先で休憩をするのはクリストフの領主チェックのためだろう。

 レオンハルトやルイス、アレクサンダーもメニューがレシピ通りに作られているのかを鑑定しているらしい。会話の端端でクリストフに報告している。この辺はさすが皆領主目線だ。かなり厳しい。


 とはいえ犯罪自体は『大浄化』の後激減したのだそうだ。

 『瘴気』というものは厄介なもので人の精神状態にも悪影響を及ぼすのだそうだ。凶悪な犯罪というほどではないが、そこそこのものがグッと増える。ちょっとした諍いも起こりやすくなっていたらしい。

 それが『大浄化』後は一気に減った。とはいえ、大規模な祭りの際には気持ちも高揚してしまう。

 その為各公国の聖騎士団が現在は治安維持として機能しているとのこと。クリストフは自分が気づいたりしたことや夫君達からの情報をこまめに西大公国の所属の聖騎士団へと報告をしていた。


 そんな感じで、ゆるゆるとこまめに休憩をとりながら移動していく。今日はこのままここで過ごし、明日も花祭りを楽しもうということになった。

 夫君的には塞ぎがちな私の気晴らしをしたいらしい。

 久しぶりに色々な音楽に包まれて、気持ち的にも心地よい空間に身を投じるのはとても気持ちが良かった。


 ゆっくりと二つ目の太陽が沈んでいく。するとかつての地球のように夕焼けから夜へと夜空のグラデーションと共に短い夜の時間がやってくる。


 満点の夜空に三つの月が浮かんでいる。日が落ちると魔法による灯火があちらこちらに浮かんでいる。それも『マナ』的にはオレンジ色の輝きに見えるのだから不思議だ。

 暖かい色合いの灯りに包まれて街全体がとても幻想的。


 ……… ピアノ?

 あれ? この曲、知ってる。『地球』にいたとき好きだったアーティストの楽曲が流れてきた。


 え? なんで? こんなところで?

 身体が勝手に動き出していた。懐かしいメロディーを辿るように、人混みを躱しながら一目散にそこへと走っていた。


 広い広場の中心で、小さな竪琴のようなものを爪引きながら、少年が簡易な椅子に腰掛けて、その曲を弾き語るように歌っていた。


 金髪? え? でも『日本語』で歌ってる。


 おそらく日本語を聞き取れる人は一部なのだろう。ただ、彼の紡ぐ音楽と歌声に魅せられ、圧倒されている。


 でも、この子、すごい。

 まだ、声変わりしていないのだろう。ボーイソプラノだ。でも凄い声量でめちゃくちゃ上手い。


 『マナ』の放出も桁違いで、しかも、金と銀のゴージャスな『マナ』だ。

 

 演奏している楽曲もかなりエモーショナルな曲なので、どういえばいいんだろう、魂が持っていかれそうな、そんな演奏だ。


 これ、今、どういう状態? 


 懐かしい音楽と歌に圧倒されながらも、懐かしすぎて、サビの部分でつい口ずさむ。


 すると、目が合った。少年も驚いたように私を見ている。でも演奏は止まらない。


 お互いが目と目で合図するように合唱をした。『日本語』で歌うなんて何年ぶりだろう。歌いながら気持ちが高揚していく。


 ああ、気持ちいい。少年の『マナ』と私の『マナ』が音楽を通して共鳴していく。

 ものすごいエネルギーが重なり、放出されていく……

 そう、少年の『マナ』に包まれて溶けていくのが、とても心地いい……


 自分の意識を手放しかけた瞬間、レオンハルトとルイス、クリストフとアレクサンダーの『私』を呼ぶ絶叫が聞こえた……




いつもお読みいただきありがとうございます。

少し体調を崩しています。体調が戻り次第投稿させていただきます。

せっかく読みに来ていただいたのに申し訳ありません。

もし続きが読みたい、面白いと思ってくださった方は、ブックマーク・いいね等よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ