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【感謝!3万PV達成!】虹の聖樹 『大聖女・ハルカ』と夫君達との異世界ライフ♫  作者: 天の樹
第三部 ハルカ『異世界の浦島』になる★
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ハルカ 「次元の間」のお話7  

 アルフレッド少年の聞き取りは続く。返答の内容からすると『高瀬春香』の身体的特徴だろうか? 

 真剣交際って事はそういうこともしていたんだろう、周囲の夫君達が強く反応している。

 盲腸の傷もだが、実は私には生まれつき母斑がある。赤アザと言われるものだ。場所的には尾骨のすぐ上部。蒙古斑とは別物だ。それほど大きなものではないけれど、位置的に家族以外はそのことを知る人はいない。

 そう、その身体的特徴(痣の形状も含めて)を少年は語るのだ。

 しかもその痣が古い星の夫とも共通しているのだとも彼は話している。

 つまりその痣を持つ者がこの星でも生まれているはずだと。

 『彼女』(私?)を探して欲しいと。


 これは怖いな…… 正直少年の話に驚きと共にビビってしまった自分がいた。


 こういうのってなんていうんだっけ、因縁? 悪縁? 結構ヤバめだ。

 近寄っちゃいけない関係だ。


 『次元の間』の彼はここまでではなかったような気がするけど。二千年の時間が彼を変化させたのか…… 画面に映る少年を見ながらそんなことを考える。


 仮に『彼』の世界の私が見つかったとしてもそれが『聖樹』の印を持っているとは限らないんじゃないだろうか? その時はどうするつもりなんだろう。


 しかもこのアルフレッド少年は大魔法士になり『渡り人』の夫君になるのだから、それも可能性として否定もできないだろうし。ルイスから彼。アルフレッド王子にも『マナの可視化』ができたと記録されているという話も聞いていた。その辺はどうなるんだろう。


 いろんな要素を考えていけばいくほど混迷状態になっていくな。


 思いを巡らせているうちに映像の中のアルフレッド少年の話が段々変な方向に進んでいた。


 え? 少年、(『彼』の記憶の中の)私の性癖や、それ関連の弱点喋ってる?

 他人(私のじゃないけど)のペラペラ喋ってんじゃないよ。

 っていうか、私が未成年になんかしたように聞こえるんですが(怒)


 映像見ながら怒りと羞恥で真っ赤になっている私とは対照的に前後左右、夫君たちから放たれる冷気? で部屋の中は一気に氷河期状態になっていた。


 もうやめて〜〜! って叫びそうになった瞬間、画面が切り替わる。恐らく、陛下が映像カットしたんだろう。ちょっと遅かったけど、グッジョブ、陛下! 心の中で親指立ててしまった。

 一応、本人確認もできたし、『青の星』の記憶と私の実体験との齟齬も明らかになったし…… 後は……

 

 再び画面に文字が映し出された。

 「建国二〇一五年 『渡り人・リン様』・第一夫君『大魔法士・レオナルド』成婚の儀の報告」


 文字が翻訳される。あ、お願いしていた別件も用意していただけたんだな。


 再び清掃をした男女が映像の中に映し出された。『渡り人・リン様』と呼ばれた女性は先ほどの『アイコ様』より体格がかっちりしているけれど、どう言えばいい? 少なくとも私よりは女性らしい美女が映し出されていた。

 声は確認できないから、映像だけ見ると完全に女性のようにも見える。

 元男性かどうかはすぐに判断は出来ないけれど、ただその容貌は『次元の間』にあった『あれ』と同じものだ。

 

 う〜〜ん、なんというか、なんというか……


 『大魔法士・レオナルド』という青年とは相手が違ってるってことか、やっぱり『アイコ様』たちの言っていたことが事実なら、目の前に映し出されたこの青年の犯行だということになるのか。


 映し出された『大魔法士・レオナルド』青年と『リン様』は幸せそうに見えた。

  

 

 それを見ながら、とても複雑な気持ちになった。一体彼らに何があったのか、それは『彼ら』の話だけでしか、もはや知る事はできないだろう。

 やがて映像は途切れ、スクリーンのみ白く映し出されている。

 沈黙の後、私が大きく息を吐くのを待ったかのように、ルイスが席を立ち部屋の明かりを調整する。

 再び画面に国王フリードリッヒが映し出される。私は立ち上がり、映像を用意していただいたことへの感謝を述べ深くお辞儀をした。

 

「真実を明らかにして欲しい」

 

 国王フリードリッヒは画面の向こうで立ち上がり、画面のこちら側にいる私達に頭を下げた。


「最善を尽くします」


 私はそう言うと再び画面に向かって頭を下げた。

 いつの間にか席を立っていた夫君達もそれに倣うかのように画面に向かって頭を下げていた。



 通信用に用意された部屋を出た私達はそのまま共有ラウンジへと移動をした。

 あの部屋は引き続き、王宮との連絡用に使用するらしい。


 今度はルイスがそれぞれに珈琲を淹れてくれた。


「夕食も近いから」


 クリストフがデザートは後でと言う。私は少し甘みのあるカフェオレを口にしながら先ほどの映像で確認できたことを夫君達と情報共有した。それから、自分の中で新たに生まれた仮説を確認するために、アレクサンダーに『彩乃さん』に対していくつかの質問項目を紙に書いて渡してもらうことにした。


 あくまで仮説だ。三人の『渡り人』と『青の星(地球?)』の記憶を持つ『彼』がいる、今しか検証できないことだ。


 まずは『彩乃さん』と私の検証から。





 



いつもお読みいただきありがとうございます。

次の更新は金曜日の正午になります。

もし続きが読みたい、面白いと思ってくださった方は、ブックマーク・いいね等よろしくお願いします。

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