ハルカ 『土魔法』で土地を耕してみる。
今日は土魔法。
そこでルイスに鉢植えとか煉瓦とかも作れるのか? って聞いたら、まあ、できなくはないけど無理しない程度にやっていこうって言われた。
小さなことだけど、土魔法を使って「耕す」というところから始まった。いわゆるモコモコ状態にするってことだ。最初は小さな範囲から始めて広範囲の土地を耕していこう。ルイスにそう言われてゴーグルを身につける。
訓練用に用意してくれた小さな仕切られた土地がある。そこで魔法を使って野菜や果物、薬草を育てるらしい。
おお、自給自足ができるってことか。そう考えるとやる気も出てくる。
用意された土地は硬くて全く農地になるのか? って思うくらい不向きなものだった。そう、荒地だ。草も生えていない。栄養もなさそうなくらいの。これを使える土地に再生していくのか。かなり地道な作業になった。まあ、訓練だもんな。
ゴーグル越しに指先に黄色の光線を集めていく。それを小さな小さなエリアに焦点を当てていくと穴が掘れた。小さいけれどそれは変化をもたらした。さらにイメージを土地を耕す、そうスコップかシャベルで掘っていくイメージをしてみた。
おっと子供用のスコップで掘り起こすくらいのほんのわずかな範囲だけれどできた。指先だからかな、もっと大きな範囲をしたい。両掌を広げ、それぞれの五本の指に黄色の光線を溜めて、両掌全体に黄色の光線を溜まるとそれで掌全体から黄色い大金光の塊を放って、耕してみた。先ほどよりはかなり大きい範囲の、畳半畳くらいの土地が耕かされた。
ルイスから、ほうっと驚嘆の声があがった。耕かされた土地の土をルイスが手で確認をする。
「今日のところはここまでにしておこう。数日、このまま様子を見てみよう。急に無理をすると疲れちゃうから」
ルイスはそういうと耕した土地のところに赤い目印の旗を立てた。一気に耕すのかと聞いてみたら、様々なパターンの検証を兼ねているから。という返事が返ってきた。それから家に戻ったあと、今日の土魔法をどういう風に使ったのかを質問形式を取りながら説明をさせられた。これらも公的記録として王宮の方に報告されるらしい。
今日は結構『マナ』を消費したのか『マナの源泉』入りのお風呂に入った後、寝落ちしてしまっていた。
夕食を夫君達と食べている時、
「あくまで魔法の訓練だから、無理をしなくていい」
と、クリストフに言われた。
「本当に土地を再生するなら『浄化』を使えばいいから」
とも。まあ、心配してくれているからというのは彼の表情から見て取れる。確かにそうかもしれないけれど、少しずつ異なる魔法を使いこなしてモノを作ってみたいと思うからこその訓練なのだ。
恐らくルイスにしても私に農耕をさせるということは考えてはないのはわかる。畳半畳の土地を耕すだけでくたくたなのだ。
『マナの自己生成』と『魔力』があるなら訓練で鍛えるということも可能なのだろうけれど、私の場合は条件が悪すぎる。
ただの…… 可能性の検証をしているに過ぎないからだ。『マナ欠乏症』を悪化させない範疇での訓練。
それでも、自分でできることが増えていくのは楽しいものなのだ。指先から掌全体にマナから変換したマナを放った時は気持ちよかった。そんなことを思いながら夕食をガッツリ食べた。
その日の夜はクリストフに「たくさん補充してあげますから」と抱き潰されてしまった。
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