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【感謝!3万PV達成!】虹の聖樹 『大聖女・ハルカ』と夫君達との異世界ライフ♫  作者: 天の樹
第二部 ハルカ『異世界で余生ライフ』が始まる♬
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ハルカ 夫君達と気持ちの『再確認』と「お披露目会の準備」

本日二話目の投稿です。


 二人が王宮から戻ってきて、ことの次第をきいて大騒動になった。

 まさかのお披露目会参戦だ。

 ほぼほぼ王命に近い国王フリードリッヒの申し出を一蹴することもできない。


 だがしかし、いきなり明日はないだろう。まあ、時間を置けばおくほど状況は悪くなるもんだ。国王的にはその判断も間違ってはいないだろう。

 まさかの『傾国の美女』ならぬ『傾国の渡り人』だ。この瞬間自分と彼女は、その意思に関わらずこの国の伝説になった気がした。


 とはいえ、彼女の主張はあながち間違っているとは思えない。おそらく直系王族を除いた元王族の中では夫君三名は最優良物件だ。(他の王族系の人にあったことないから言い切れないけれど)

 マナや魔力の保有量、多岐にわたる属性魔法。性格良し、仕事もできる。高身長で見た目も抜群。なんといっても飛び抜けて美形だ。見た目は若者だけれど、中身は熟しきった経験値豊富なダンディーなおじさまだ。その三人を独占しているのに、この遺伝子を残せない。確かにそれは国にとっても損失だと言えるんじゃないだろうか。

 彼女の出現以降、私の心の中で燻っていたこの思いを、夫君達に伝えてみた。三人は驚いたように私の顔を見た。

 レオンハルトが最初に口を開いた。


「ハルカ、僕が貴女に夫君候補立候補した時の事を覚えていますか?

貴女はあの時すでに貴女の状況を私達に説明をしてくれていました。その上で国に保護を求めました。僕はそんな誠実な貴女に好感を持ちました。僕達はそれまで受け入れてもらえるような女性と出会うことはできませんでしたし、正直そのまま生を終える覚悟もしていました。でもあの時貴女と出会って、とても幸運に思いました。貴女と一生を共にしたい。そう強く願うようになりました。僕にとって貴女の代わりなどいないのですよ『ハルカ』」


 ルイスが引き継ぐように言葉を続ける。


「僕はね、ハルカ。君に会ってから『運命の出会い』というものを初めて知ったんだよ。最初に、成婚の儀の時に僕は僕の上に降りてきて欲しかったっていったのを思えているかい?双子のレオンハルトにさえ、今でも嫉妬し続けてしまうほど、僕は君を求めてしまうんだ。そんな君以外の誰かなんて僕には不要だ。ハルカ、君がいればいいんだ。君以外は愛することはない」


 クリストフが私の正面に立って片膝をつく。


「ハルカ。僕の中で貴女の存在は奇跡に等しい。あまりにも貴女の存在が大きくなりすぎてしまったのです。

生きていく上で貴女という存在が絶対不可欠になってしまったほどに。

子供のことなど、些細なこと。そんなことより、貴女が僕のそばで生きてくれることの方が一番重要なことなんです。貴女を失うくらいなら、僕は……。ハルカ、『渡り人・ユナ』様の残された手紙のを読んだ時の事を覚えていますか? 僕は貴女に言いましたよね?

『ハルカ。私には彼女の気持ちが痛いほどわかります。貴女がある日突然消えてしまったら? おそらく僕は地の果て、世界の果て、否、時空間に触れる禁忌を犯してでも貴女を探すでしょう』

あの言葉に嘘はありません。僕の中で貴女は特別なのです。どうかその愛を奪わないでください」


 曇りの無いグリーンサファイヤの瞳で私を真っ直ぐ見つめ、そうはっきり言うと私の手を取りその掌に口付けを落とす。


 三人のあまりにも真剣な瞳に圧倒されてそれ以上は何もいえなくなってしまった。大きく息を吐く。仕方がない、これが彼らの意志なのだ。それを否定することなどできない。

 

「そっか。ありがとう。ごめんね」


 何に対してのごめんなんだろう? 子供が産めないこと? 彼らの愛を軽んじていたこと? どこかで、自分ではなくてもいいんじゃないかって疑っていたこと? ううん、色々全部だ。

 彼らに逃げ道を与えるふりして自分の逃げ場所を確保しようとしたこともだ。

 そんなこと、おそらく全部彼らにはお見通しだったんだろう。全方向から退路を絶たれた、そんな気がした。そうなると前に進むしかできない。


 仕方がない、腹を括ろう。この人生が終わりを迎えるその日まで、彼らと共に生きていこう。どんなこと言われても、彼らの手を離さず、彼らを守ろう。気持ちを切り替えることにした。


 それから後は、明日のお披露目会用の準備で大童(おおわらわ)になった。




 お披露目会に出席をするということは正装をするってことになる。夫達は三人で夜遅くまで私の為にドレスを作ってくれていたらしい。

 朝目覚めると三人とも共用スペースの巨大ベッドの上で寝ていた。


 今日のお披露目会は昼三つ(地球時間の午後六時)から始まるそうだ。身につける装飾品は成婚の儀に夫君達から贈られたものだ。

 レオンハルトの首飾り、ルイスの耳飾り、クリストフの腕飾り。そして指輪。ドレスの準備と共に履いていく靴も作ってくれた。流石にピンヒールは無理だ。それでもドレスにあった上品で可愛らしい、履きやすくフィットしたハイヒールに靴ずれと疲労防止の付加を付けてくれた。

 ドレスは素晴らしく清楚でゴージャスだ。なんていうか、一見相反する要素を見事に組み入れた絶妙の仕上がりなのだ。

 基本はマーメードドレス。だけど体のラインが見えすぎないように工夫されている。襟元は最初は大きくセクシーだったのにいつの間にか総レースで肌の露出が一気に減らされていた。つまり、他の元候補者を刺激するなということらしい。

 気持ちは着せ替え人形だ。着たままの状態で、夫君達がデザイン変更をしているのだ。色味は、よく『ハルカ』のマナの色だといっている、一見乳白色に仄かな虹色の光沢のある上質の色合いだ。間で食事をとりながら、最終チェックを済ませると、風呂に入れられた。

 夫君達によって磨きに磨かれるというのは心が砕けてしまうくらい衝撃も大きかった。ルイスは特殊なポーションを使って最後に全身マッサージをしてくれた。すると肌の艶も髪の艶も一気に良くなった。ここには女手がいないというか家族四人しか住んでいないので、当然、全部夫達がやってくれる。むしろ手出しもさせてくれない。

 君たち元王子なのに、何でそんなことまでできちゃうのレベルなのだ。

 髪のアレンジもそれに伴う髪飾りのデザインと作成もあっという間にこなしてしまうのだ。ドレスの着付けも。『夫君教育』、驚きのハイスペだ。


 化粧の前に軽食をとレオンハルトがサンドウィッチを用意してくれた。それをもぐもぐ美味しく頂く。一度歯を磨き、ルイスがクリストフと一緒になって一気に化粧を仕上げてくれた。私はただただなされるがまま。私の準備が終わると三人の夫達はそれぞれ自室に戻り自分達の準備に入った。


 お披露目会かあ。私の時も用意はされていたらしいけど『マナ欠乏症』で急遽取りやめになったんだよね。そういう意味でおそらく初めての公式のパーティーなんだろうけれど。ダンスとか踊れないよ。大丈夫なんだろうか。鏡に映るばっちり正装された自分の姿を見て緊張し始めた。正装した三人の美しすぎる夫君達も一緒に鏡に映る。


「ハルカ、何を心配しているの?」


 ルイスに声をかけられる。


「ダンスとか踊れないけど、大丈夫なのかな?」

「そんなもの踊らなくてもいいですよ。第一『ハルカ』のお披露目は一瞬です。そんなに他の男に見せる必要はありません」


 クリストフはその美しい尊顔とはかけ離れたようにズバッという。


「ああ、こんなに美しい貴女を他の男に見せなきゃいけないなんて」


 レオンハルトまでおかしいんだけど。

 そうこうしているうちに時間が来たので転移陣で王宮へと移動をした。

 本来は王宮内での魔法は使用できない。ただし今回は特例として私たちだけが転移陣でお披露目会場に直行できるようにフリードリッヒ国王が差配してくれたそうだ。全員、それぞれに『媚薬フェロモン拡散防止の結界』が張られている。


 お披露目会場はものすごい人だかりになっていた。なぜか? そりゃあ、完全に秘密のベールに包まれていた『渡り人・ハルカ』様を一目見るためだ。五十五歳という年齢にも関わらず、あれだけ大規模な『浄化』と『恩恵』を与えた、三人の美丈夫を虜にした伝説の美魔女。お披露目会場は殆ど男達で埋め尽くされ、今か今かと『渡り人・ハルカ』の登場を固唾を飲んで待っていた。

 その中には艶やかな咲き誇る妖艶な色香を放っている一人の女性がいた。

 二人目の『渡り人・アヤノ」、その人だ。


 彼女は未来の夫になる三人の男の登場を待っていた。五十五歳の子供も産めないおばさんの『ハルカ』には彼らは勿体無い。周囲の『ハルカ』の情報を収集した時、そう決めた。私が彼らを頂くと。

 元聖騎士団団長、元魔法師団団長、元宰相。あんなに若く美しい男達を独占するなんて。自分の方が若く魅力的なはずだ。五十五歳の彼女に満足できるわけがない。姿を見せないのは容姿に自信がないからだ。


 『渡り人・アヤノ』は完全に戦闘モードに入っていた。



いつもお読みいただきありがとうございます。

次の更新は金曜日の正午になります。

もし続きが読みたい、面白いと思ってくださった方は、ブックマーク・いいね等よろしくお願いします。

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