ハルカ 異世界の暦と夫君達の誕生日 ★
夫君達に贈る『虹色の魔石』をちびちびと『マナ』の『魔力化』によって作っている時、そういえば誕生日とか聞いてなかった。と思って、その日の夕食、夫君達と一緒に団欒していた時にその話をしてみた。
この星の暦のサイクルは地球に近い。
一日は時間配分の差があれ、一日が二十四時間。一ヶ月が三十一日。十二ヶ月で一年。
時計もあるし、暦もある。
一応時計の時と同じで四季で振り分けられている。とはいえ、この星は一年通して温暖で、真冬も真夏もない。
若干わずかな気温差はあるそうだけれど、何せ太陽が二つある。両方沈むのは一日のうちの六時間。
それでも暦があるのはもしかしたら『青と白の星の記憶』の名残りかもしれないなとふと思う。
一年の始まりは地球でいう一月。
一月から三月が『冬』。
四月から六月が『春』。
七月から九月が『夏』。
十月から十二月が『秋』だそうだ。
地球的には若干ズレてる気がするけど、その辺は郷に従えだろう。
それに従った暦を手に取りながら、三人の夫君に誕生日を教えてもらった。
レオンハルトとルイスは双子なので誕生日も同じ。春二つ目の月の三つ目の日だそうだ。地球的には五月三日ってことか。
クリストフは彼らより数ヶ月後に産まれたと聞いているけど……
夏の三つ目の月の二十九の日だそうだ。地球的には九月二十九日。
へ〜〜、地球的には牡牛座と天秤座か。ここで星占い引っ張り出すのもなんだけど、なんとなく傾向があっている気がするよ。
そんなことを考えていると、ハルカは? とルイスに訊かれた。
「暦的には、一月三十一日あるからズレちゃうけど、それを考慮しなければ
冬二月目の二十七日目かな」
地球暦二月二十七日だからあってるよね。暦を見ながら確かめる。
レオンハルトが暦に私の誕生日に大きな赤丸を入れた。
「『北の収穫祭』の後ですね。もうすぐです。お祝いしましょう」
クリストフが極上の笑顔でそう言ってくれた。
今は暦の上では秋二つ目の二十日目の日。つまり十一月二十日ということだ。
一年は十二月三十一日で終わる。
ちょうどこの日は日本でいう大晦日、翌日は元旦ということでここでも年始のお祭りが大陸全土で行われるそうだ。
今年は『大浄化』が終わったので、各領地で収穫物がどんと増え、そのお祝いもあって大規模な祭りになるらしい。
「長時間は難しいけれど、少しだけならどこかの領地に行ってお祝いしましょう
とクリストフが言ってくれた。
私は夫君達に贈る『虹色の魔石』を元旦の贈り物にしようと決めた。
誕生日には間に合わなかったけど…… 日頃の感謝と愛を込めて贈ろう。
そう考えると、魔石に込める地道な作業も楽しみになってきた。
私は私用に渡されている暦に彼らの誕生日に大きく赤で花丸印を書いた。