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【感謝!3万PV達成!】虹の聖樹 『大聖女・ハルカ』と夫君達との異世界ライフ♫  作者: 天の樹
第二部 ハルカ『異世界で余生ライフ』が始まる♬
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ハルカ 『青と白の星の記憶の記録』と『楽園』

物語の流れ的に「ハルカ 『白の星』と『楽園』」と一つにまとめました。


 何か楽しみがあると元気になるという結構お気楽な性格でもある私はルイスが作ってくれる食事とクリストフの作ってくれる極上デザートでかなり早く回復をした。

 まあ、どう足掻いても所詮私如きが地球の滅亡なんてどうにかできるわけがない。時間軸がどうなっているのかすらわからない。ぐっちゃぐちゃカオスなんだから。


 レオンハルトとルイスは遺物の複写のためにここのところ毎日のように王宮に行っている。クリストフとの結構穏やかな時間を過ごしている。

 レオンハルトはルイスやクリストフとは明らかに違うことがある。それはおそらく『青い星(地球?)』に関することだ。レオンハルトは先日の『星の始まり』という絵本を手渡してくれた時もだが、何か地球に関することに接した時に、必要以上に過保護になる。

 まるで『マナ』の暴走を警戒するかのように。『マナ』の暴走は『マナ欠乏症』に罹患した人間にとっては致命的だ。一瞬で命が途切れてしまうからだ。

 

 一体彼は何をそんなに恐れているんだろう?

 気にはなるけど、そこに触れるにはまだ時期尚早な気もする。

 

「ハルカ、どうしましたか?」

「えっと、クリスに質問があるんだけどね」

「なんですか?」

「この前レオンから渡された『星の始まり』っていう絵本のことなんだけど」

「ええ、いいですよ。アレは王族なら誰もが知っている絵本ですから」

「王族? 王族だけ?」

「そうですね」

「そうなんだ…… まあ、いいか。でね、その中に『青の嵐』とか『聖樹』の話とかあったんだけど……」

「ええ。そうですね」

「それって何? どういうことなのかなって思って」

「『青の嵐』というのは古代から四千年前までほぼ五十年ごとに三度に渡って吹き荒れる特別な嵐だと記録されています」

「特別な嵐?」

「はい。その嵐が起こると人々の中に青色の聖樹、白色の聖樹の刻印を持つ者が現れたそうです」

「つまり、私たちが成婚の儀の時に刻まれた刻印のようなもの?」

「ええそうです。色が異なっていたそうです」

「私達の場合は……?」

「私達の場合は白ですね。『渡り人』様との成婚の儀で刻印される聖樹は全て白だと記録に残されています」

「先に聖樹の刻印が現れると対になる相手を探さなきゃいけないことになるの?」

「そういうことでしょうね」

「青の嵐は三度、五年ごとに起こったそうです。そしてどのタイミングで対になる相手が現れるのかはわからなかったそうです」

「つまりその間に相手を探すってことなんだ。それはかなり厳しいね」

「はい。その為、記録所というのが設けられて、青と白の色ごとの聖樹のリストを作ったそうです。そのリストに基づいて相手を探すということでした。その記録所が現在の王宮にあたります。王宮の地下に全ての記録が残されていると先王である父から聞かされました。その記録庫は特別な物で、第一、第二王位継承者しか入ることが許されていません。現時点では、南大公国のアレク公。そして陛下とレオン。王太子と第二王子のみになります」

「つまり単なる伝承ではなく、実際にあったことなんだね」

「そういうことでしょうね。その『青と白の星の記憶の記録』を保持するために王家が存在すると父王には教えられましたから」

「その聖樹の刻印が現れると記憶も思い出されるってことなの?」

「そうだったらしいです。青の聖樹は『青の星』の記憶を。白の聖樹は『白の星』の記憶を思い出すそうです。不思議なことに対になる相手はかつての伴侶だったり、恋人だったりしたそうです」

「成程。興味深いね」

「もし期限内に自分の相手を見つけることができなければどうなったの?」

「女性の場合はハルカのように『マナ欠乏症』のようなものを発症してしまって、マナの供給もできないまま亡くなったそうです」

「男性も?」

「男性の場合は、女性ほどではありませんが寿命は短かったそうです。特に青の聖樹の場合は。それに聖樹の刻印が現れると他の人とは成婚できませんから」

「それは…… 大変だ」

「ええ。なので聖樹の色別に対になった者とそうでない者とを分けて簡易の村のようなものを作り相手を探せるようにしていたと記録されています」

「それで間違いとかなかったりしないの?」

「それはなかったそうです。そもそも対の聖樹を持っていなければ成婚の儀はできませんし、性行為自体できませんから」


 びっくり爆弾発言だ。驚いたようにクリストフの顔を見上げると


「ハルカ、私達もですよ。成婚の儀を行ったパートナー以外とは情を交わすことはできません。他の女性とは役立たずになるんです」


 Oh! My God!!! 思わず横文字が出てしまうよ。

 マジか⁉︎ 成婚の儀、やばすぎる。

 あんぐりとクリストフの顔をまじまじ見てしまう。


「魔力やマナの量だけの問題じゃないんだ」

「確かにそれも大きな要素です」

「成婚の儀を行うまではフリーなの?」

「それって、どういう意味ですか?」

「お試しとか、恋人とか」

「王族以外なら自由ですね。成婚の儀が終わるまでは」

「王族ね。かなり制約されるんだね」

「ええ。私達のような魔力量といった特殊な理由がない場合は、王族も割と相手は見つかるんです。なので早い段階で成婚の儀を終えて、子作りをします。仮に『渡り人』様の夫君に選ばれたとしても大丈夫なように」

「確か『渡り人』の夫君に選ばれると『渡り人』以外とはできなくなるって言ってたよね」

「はい。なので夫君に立候補するか否かは個々の判断に委ねられます」

「自分たちの領地に『恩恵』をもたらすために立候補するってことなんだろうね」

「そうでしょうね。今までは。ただ、今回、ハルカが頑張ってくれたおかげで他領地でも『恩恵』を与える選択肢が増えました。今後は変わってくると思います」


 そういうとクリストフは私に一礼をする。そう言ってくれると少しは気が晴れる。脱線しかけた話を元に戻す。


「つまり、青も白も対になる伴侶を見つけるとそれぞれのコミュニティーに属したってことなんだよね?」

「ええ、『白の聖樹』は現在の王都へ『青の聖樹』は現在の東西宮公国周辺にコミュニティーを築いたそうです」

「でもこうやって『渡り人』に現れるのは『白の聖樹』のみってことは地球は『青の星』ではないってことなんだろうか?」

「『白の星の記憶の記録』によると、元々は白の星の欠片が青の星に降り注いで、生命が誕生したそうです。ただ、その魂というものは交わることはなく、『白の星』の記憶を持ったまま、『青の星』に転生をし続けたそうです」


 出た。転生。まあ、記憶を呼び起こされるっていうところから、転生ものなんだろうなとは思ったけれど……  言葉にされると違和感がある。


「つまり、あくまで仮定だけれど…… 地球に転生し続けた『白い星』の魂を持つのが『渡り人』ってことなの⁇」


 う〜〜ん。そういうの、自分としては信じ難いな。


「そういう仮説も成り立つと思います。『青の星』の魂はそのままではここに辿り着けなかったということでしょう」

「どういうこと?」

「『渡り人』様の特殊な『マナ』だからこそ肉体を持ったまま移動ができたということです。『渡り人』様の『マナ』はアレほど大規模な『浄化』を成し遂げられるのですから」




「『地球』、『青の星』由来では無理だということ?」


 私の問いに諳んじるかのようにクリストフは返答する。


「『白い星の記憶』の記録によるとそこではこの星のように『魔力や魔法」が『マナ』によって使え、食べ物も全て自らの『マナ』によって作られていたそうです」

「まるで『楽園』のような星」


 思わず口にしてしまった。

 ああ、そうだ、なんで気が付かなかったんだろう…… 確か聖書で人間が追い出される前にいたのは『楽園』だ。あれは『白い星』のことだったんじゃないのか?

 『渡り人』は記憶はないけれど『白い星』属性なんだろう。確かに自分が行った『浄化』はものすごかった。『恩恵』の威力は凄まじいものだ。でも魔力はないし魔法も使えない。つまりはこの肉体は地球由来だからだろう。

 王族は『白の星』の記憶を持つ者だったそうだ。『青と白の星の記憶の記録』を保持する事がそもそもの役割だった為、その記録を保護する強力な魔法や結界を使いこなす大魔法士が記録所、つまり現在の王宮の守護者となった。

 「渡り人・さくら」の伴侶となった「ルーファス」はこの役割を担っていた。これが現王家の始まりになる。同じ白い星の属性だから子供が作れたって事なんだろうか?



*****



 自室に戻ってこれまで得た情報を自分なりに整理してみた。

 地球時代の自分はともかく…… ここに落ちてきた自分は、自覚はないけど大規模な『浄化』活動ができたということはクリストフが指摘したように『白い星』由来なんだろう。

 でも、でもよ、そもそも『白い星』って何? どこにあったの?

 基本的に自分は生命は宇宙飛来説派だ。隕石とかが落ちてきてそこに付随していただだろうアミノ酸かそういう類のものから発生したという説だ。なのでこの星の始まり説はシンプルに納得できた。それが地球の欠片云々とかは別にして。

 でも記憶の継承なんて異星間で起こりうるんだろうか? そもそも宗教は否定しているのに魂とか矛盾してると思うんだけど。ああ、でも自動翻訳で一番理解しやすい言葉に置き直された可能性もあるのか。


 もし仮にかつての地球でも『渡り人』のような存在がいたならどうなんだろう。地球の人たちは魔力もない魔法も使えない。多分『マナ』は生命力だろう。でも魔力がないから魔法も使えず食べ物も作り出せない。つまり有限なものを奪い合うことになる。


 『白の星』の人たちは魔力もあって魔法も使える。そんな自分では作り出せない魔法を使える『渡り人』が落ちてきたら?

 人成らざる者は畏怖の対象になる。すなわち『神』だ。そこに宗教が生まれるきっかけになった。というのも一つの可能性かもしれない。


 ルイスは『渡り人』は決して『特別な存在』ではないといった。何故ならこの星の人たちも力の差はあれ『浄化』もできるし『結界』も張れる。奪い合うことなく自ら全てを作り出せるからだ。だから『宗教』が生まれる事がないんだろう。


 確か都市伝説の話とかでピラミッドは宇宙人が云々とか言ってたけど、あれだって『宇宙人=渡り人(白い星からの)』だったのならは、魔法を使ってあっという間に作り上げるっていうのは可能だろう。

 何故なら、今自分の目の前で夫君達がまさにそれと同じことを特別なことでもなく難なくこなしているのだから。馬鹿馬鹿しいと一笑すらできないでいる自分がいた。

 

 『白の星』のこともだけれど『青の星』の記憶を持った人たちはどうなったんだろうか? どれくらいの規模の人たちがここに転生したんだろうか。

 そして、それら星の記憶の記録の核というのは一体どんなものなんだろう。いずれにしてもここにそれが存在しているってことは『地球』にもそれがあったんじゃないんだろうか。

 『白い星』にしたって、もしかしたら他の星の欠片や記憶を持っていたかもしれない。『地球』にしても『白い星』の欠片だけでできたとは考えられないんじゃないだろうか。あれこれ悶々と考えているうちに短い夜が明けていた。


 寝不足を気付かれてルイスに叱られた。クリストフには呆れられ、レオンハルトには心配された。


 まあ、こんな時もあるよ。


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