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【感謝!3万PV達成!】虹の聖樹 『大聖女・ハルカ』と夫君達との異世界ライフ♫  作者: 天の樹
第一部 ハルカ『異世界ライフ』が始まる♬
19/95

異世界での『浄化』を終える

いつも読んでいただいてありがとうございます。今回で第1部が完結になります。

『浄化』活動も無事終えることができ、ハルカと夫君達との異世界生活は次のステージに入ります。

 昨日に引き続き南大公国の森の『浄化』。ということで『浄化の重ねがけ』を途中休憩を何度か挟み、スタミナ (食事)供給をしながら『浄化』作業に明け暮れる。

 南大公国の森は大陸の沿岸部に沿ってあるため、大公国のかなりの広範囲を占めている。いわゆる自然のバリケードのようなものだ。

 瘴気はなぜか海から生じているらしい。他の大公国も同様だそうだ。なぜ海から、海に何があるのかはリスクが高すぎて調査できないとルイスが説明してくれた。この大陸は四方を海に囲まれているが、瘴気がひどく人々は海に近づかないそうだ。そこに生命はいない。とルイスは言う。


 生命の起源でもある海に生命がいない…… そこから瘴気が湧き起こる……

 う~~ん、そこをなんとかしないと駄目なんじゃないのかな…… ルイスの話を聞きながらなんとなくそう思った。

 まあ、それは『浄化』が終えてからのことだろう…… 今は陸地の『浄化』だ。その日の『浄化』作業は昼二つ(午後五時)で終了した。帰りはルイスと一緒に帰宅した。レオンハルトとクリストフは引き続き仕事をしているらしい。そういえば、昨日もルイスやレオンハルトの帰宅は遅かった。

 そんなことを考えているのを見越してか


「明日以降の『浄化』作業のための下準備をしているからね」


 そういいながらルイスが淹れてくれた珈琲の良い香りに包まれる。


「一息つけたら、湯浴みして着替えておいで。食事の用意をしておくから」


 ルイスの言葉に甘えて自室で湯浴みをしてルイスが用意してくれた部屋着に着替えた。チュニックワンピース。白を主体に水色(ルイス色)の刺繍で飾られている。着替えてキッチンに行くとルイスがスカイブルーの瞳を細める。


「よく似合ってる」


 ルイスはやっぱりワンピースが好きで…… 用意してくれるのも乙女っぽい可愛らしいものが多い。中身おばちゃん的にはかなり抵抗があるけれど…… ちょっとぐらいは妥協しようと用意されている中からシンプルなものなら選ぶこともある。三人の夫君が選ぶものはふんわかした優しい綺麗な色使いが多い。どうしてそう言う色使いを選ぶのかと聞いてみたら……


「ハルカの色だから」


 との答えに少しドキッとした。

 こういうイメージってことなのか…… ふわふわ綿菓子みたいな感じ⁇ 夫君達の自分に対するイメージと自分自身との乖離が結構大きいなと感じるんだよね…… まあ流石にドレスやセクシー系は無くなったけれど…… あれこれ考えていると今日の夕飯がテーブルに並ぶ。

 ルイスの『丼物』シリーズだ! 今日は「照り焼きチキン丼」と「豆腐と玉ねぎとじゃがいもの味噌汁」それといつものルイスの三種類のサラダ。手を合わせて『いただきます』と挨拶してから美味しくいただく。

 和物・丼物はルイス。すごく美味しい。ルイスもクリストフのデザートのように材料以外は自分で味付け、料理をしている。

 野菜も果物も薬草もルイスの温室で育てている。魔法で四季折々のものが手に入るようにはしているらしい…… 動物性タンパク質はマナから作り出しているみたいだけれど…… それ以外はルイスの温室で育てたものを使っているそうだ。

 でもこれも全て私のためなんだよね。彼らはそれほど「食」っていうこだわりはないのだから…… 内在するマナだけで生きていられる。生きるために何かの命を奪う必要もない。魔法ってなんでもできるんだなって驚くことばかりだ。

 もし地球人がこの星の人たちのように自分のマナを、魔力を使って魔法を使えていたら、食物や資源の奪い合いもなく戦争という言葉すらなかったんじゃないだろうか。彼らからみたら地球人てどんな存在なんだろう。戦争で自分たちの文明を滅ぼしてしまう…… 自らの欲望を追求する過激な存在なのかな……


 『性玩具』や性的嗜好を記録に残した『渡り人』はある意味地球人らしいのかもしれない。性欲を極めるというのも地球人ならではとも言える。そもそも自分にしても地球人とはとか偉そうな講釈を垂れる事ができるほど地球人を極めているわけではないんだし…… あれこれ考えても仕方がないと割り切ることしかできない。自分は自分だし、こんな人間もいるんだよくらいしか記録に残せられないだろうから……


「ハルカ、ほっとハチミツレモンだよ」


 いつの間にか湯浴みを済ませてきたのかルイスが寝衣姿でマグカップを目の前に置いてくれる。一口飲んでみる。温かい。レモンのすっきりさと蜂蜜の甘さが気持ちを落ち着かせてくれる。


「今日はお疲れ様。かなり広範囲の『浄化』ができてよかったよ」

「ん、そうだね。でも本当は三回以上重ねた方がいいんじゃないのかな」

「?」


 ルイスが伺うように私をみる。


「前にルイスの領地で『恩恵』後をみた時は、もっと効果が凄まじかった気がするんだよね」


 ルイスが見せてくれた『恩恵』の光景を思い出す。


「ああ、まあ…… 『恩恵』は『渡り人』の祝福そのものなんだよ。気持ちがいいっていう状態に齎せられるものだからね。通常の『浄化』とは流石にレベルが違いすぎるんだよ。ただ、そうだね…… 確かに…… 南大公国の『浄化』が全域終了した時点で沿岸部の森を強化のために三度目の重ねがけをした方がいいとは思う。レオンとクリスとも相談して決めておくよ。色々考えてくれてありがとう、ハルカ」


 そういうとルイスは私に向けて微笑ながら私の頭を撫でた後キスをした。


 すっかり飲み切ったマグカップを私の手から奪うと洗浄魔法であっという間に全ての洗い物を片してしまう。それから、私をさっとお姫様抱っこをするとスタスタとルイスの部屋へと入っていった。


 翌朝目が覚めるとそのまま自分の部屋に戻り現場に行く用の服装に着替える。勿論ルイスが作ってくれたローブは手放せない。着替えて部屋を出ると、ルイスはキッチンでブランチと作業の合間のエネルギー補給の為のお弁当の用意をしてくれていた。お弁当は昨日の『照り焼きチキン』を使ったサンド。

 レオンハルトとクリストフは既に現場で作業中らしい。今日のブランチは野菜いっぱいのポトフ。それとだし巻き卵と山菜と鮭フレークのおにぎり。それと三種のサラダ。おにぎりもこれから作業があるからということで大きめだ。

 結構ガッツリと頂いてから、ルイスと一緒に現場に転移する。揺らぎの後着いたのはレオンハルトが『浄化』をしている現場だった。


 三人の夫君達との『夫婦の営み』において『マナ欠乏症』によるフェロモンの影響は少しずつ深刻になってきている感じがする。そこでレオンハルトにそのことを思い切って話してみることにした。

というのも彼も少なからず影響を受けているのではないかと危機感を持ったからだ。


「僕は大丈夫だ。僕は王位継承第二位だったからね。というのも、僕は他の夫君教育とはまた違う教育や儀式を受けている。

それは『渡り人』様を最後まで守り抜くためのものだ。そしてそれは『渡り人』様との成婚の儀と共に発動することになっている。つまりあなたが僕を夫君の一人として選び、成婚の儀を経たことで僕はフェロモンの影響をそれほど受けることはなくなっている。影響を受ければあなたを最後まで守ることができないからね」


 フェロモンの影響を受けていたわけではないのか。そうなんだ…… 最後までということは…… 最期を看取るってことか。

 『渡り人』の『マナ欠乏症』特有の媚薬フェロモンに影響を受けないということは不思議なことに安心感を私にもたらした。

 自分の所為で誰かの正気を奪うというのはかなり危険だと思うからだ。好きも愛しているもその言葉も好意も、本当はフェロモンに毒されているからということもあるし…… 初夜のクリストフのように最初は検証のつもりでもフェロモンの影響を受けて箍が外れてしまった結果…… 「隔離・監視」状態になるということもある。

 悪用すれば他者を意のままにできるのだ。魔力やマナの多い夫君達ですら影響を受ける。影響を受ければ魔力が多い分懸念も大きくなる。


※※※※


 『浄化』作業に時間はかけられないなと、ルイスやクリストフの状況を見て私は決断をした。結果的には悔しいけれど先に彼らが提示したことだ……


「レオン、テリトリー外での『恩恵』をすることにした。でもこれは南大公国だけではなくて、残っている他の領地でもすることにする。だから、許可をとって欲しい『浄化』に時間をかけない方が貴方達を守ることになる。あ、でも複数は駄目だよ」


 決断すればことは早く進むものだ。

 南大公国ではすでに『浄化』を終えている箇所もあるのでそれを除いて二十日ほど、東西南北の四つの中公国は十日ほどかけて『恩恵』式の『浄化』を行い、ほぼ二ヶ月強で南大公国と全中公国の全て『浄化』を終えることになった。

 通常の『浄化』であれば、おそらく一年以上は軽く時間がかかったかもしれない広範囲の『浄化』。それでも思いの外、時間をかけたのは、夫君達にフェロモンの影響を受けないように休みを入れながら一日にする行為の回数を一週間に分散させたからだった。


 私の決断に当初夫達は驚いたけれど、おそらく『浄化活動』を終えた後の『夫婦の営み』は私の身体に負荷がかかりやすく、その結果夫達にフェロモンの影響を強く受けさせている、負荷を与えているのではないか? と言うことを考えた上での決断だと言うと、結果的に夫達はそれに同意してくれた。その結果、分散をして時間はかかったけれど『浄化』活動そのものはうまくを得ることができたのだった。


 全大陸の全てを『浄化』と『結界』壁の構築が終了したのは開始からほぼ半年を終えた頃だった。




いつもお読みいただきありがとうございます。

次回より第二部になります。更新は日曜日(7月9日)の正午になります。

引き続き第二部もよろしくお願いします。

もし続きが読みたい、面白いと思ってくださった方は、ブックマーク・いいね等よろしくお願いします。

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