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【感謝!3万PV達成!】虹の聖樹 『大聖女・ハルカ』と夫君達との異世界ライフ♫  作者: 天の樹
第一部 ハルカ『異世界ライフ』が始まる♬
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ハルカ 異世界で団欒する



 新しいお家にお引越し!


 ちょっと浮かれていたのは私だけで、実際のところ夫君達には『浄化』作業準備の他に、領主としてのお仕事があるので、それぞれの領地の屋敷にある執務室から転移魔法陣で移動するという方式をとっているらしいので、彼らは忙しい。


 クリストフにしても宰相の職は辞しても魔法師団に所属して『結界』壁を構築する作業や西の公国の領主としての仕事はある。夫君達の領地内で何かがあればすぐ対応できるようにしているらしい。それでも私が在宅時には夫の誰かは必ず在宅するということになっている。

 いずれにしても新しい自分の部屋を持つことができたことは、私のメンタル的にもかなり良かったみたいで、いつでも誰の目も気にせず寝られる環境ということで不眠症になりかけていたのが少し解消された。ずっと一人で寝ていたのに、常に誰かの腕の中で眠るというのはやはりストレスがかかるもんだなって正直思っていたからだ。

 まあ、こんな考えだから『おひとり様』だったんだろうけれど…… 

 食事時になったら夫君達はお家で皆で食べるようになった。

 団欒という、そういう意味では両親のいた子供の頃のように、懐かしくもあり、ましてやこんな知り合い一人もいない異世界で、一人でなくて良かったなと思う瞬間でもある。

 料理は、夫君達は自分でしていた。カタログで選ぶかのようにできたものを並べていたのかと思ってたら、レシピをもとに材料はマナで調達をして、自分たちで魔法を駆使をしながら料理をしていた。洗濯物や洗い物は『洗浄魔法』を使って一瞬で終わらせている。こうやって一緒になって暮らしていると、彼らのいろんな顔を見ることができる。


 マナで何かを作るのも一緒にいれば見ることができる。イメージ的には3Dプリンターのような感じで作り上げていく。服装にしてもカタログのようなものを見ながら、どちらかといえば、服装のカタログに載っている服のレシピの魔法陣を使って作り上げていた。

 様々なレシピはいったいどこから来るのかと訊けば答えは『星の核』の記憶の記録と答えられる。『星の核』の記憶の記録って…… 地球人的には『アカシックレコード』とかいうものなのかな。

 いや、ちょっと違うか…… そういうのよりかは…… それ以上考えると心の中がざわつく。これ以上考えてはいけないような気がする。

 しかし、目の前で自由自在に魔法と使いこなす夫君達を見るとすごく楽しそうだなって思う。エネルギー問題なんてここには存在しない。自分のマナが全てを作り上げるのだから。


 お肉や魚でさえ、レシピをもとに服と同じように作り出す。それが特上霜降り和牛肉であったとしても……

 まあ…… 肉や魚はすでに捌かれ済みなのが笑えたけど。(部位指定できるらしい)レシピ最強と思ってしまった。お魚も鮮度バッチリだったし…… 野菜も果物も…… レシピもすごいけど『マナ』を具象化できるってすごいことなんだなあって具体的に見せられてそう思った。


 仮にマナで食物を作ったとしても、それを体内に取り込めば回収できるわけだ。体内でマナを生成できるとも言っていたっけ。成長期だけかと思っていたら、死を迎えるまでずっとマナの生成はできるそうだ。

 寿命は、魔力やマナの保有量によって違うらしい。六十歳~百五十歳。男女差はあまりない。(女性の方が出産の分、マナを消費するので短いらしいけれど)同じ人型(内臓の作りは違うけれど)なのに一見似てるようで全然違う。

 その魔力やマナが飛び抜けて多い三人の夫君達がそろえば何でも揃えられるなあ、作り出せるなあって一緒に暮らし始めてそう感じてしまった。

 三人の夫達は(同腹・異腹)兄弟だし、同じ歳だったせいか子供の時から仲が良かったらしく…… 一緒に暮らしていてもストレスを感じないそうだ。


「まあ…… ハルカの取り合いにならないようにしてるけどね。本当は毎日ハルカに触れていたいんだけど、そうなると…… ハルカの気持ちを優先するから。無理強いはしない。だから心配しないでね」


 ルイスがなんか聞き捨てできないこと言ってる。怖い、怖い…… 聞き流しちゃえ。



※※※※



 『浄化』作業が再開して、あっという間に三ヶ半月が過ぎた。

 『家』と『自分の部屋』を持つことで、ずいぶん回復度も良くなって、仕事の効率も良くなった。すでに『浄化』を終えている『王宮ドーム』を除く王都全体に渡る『浄化』は途中中断も含めて結局一ヶ月かかった。さらに王都から一つ目の外円内(東宮公国・西宮公国)部分が二ヶ月強で何とか終了できた。次からは二つ目の外円内(東中公国・西中公国・南中公国・北中公国)の『浄化』が始まる。このエリアの領地総面積は二つ目の外円より三倍。時間がかかりそうだ。


 ただ、屋敷の中では見えないものもたくさん見ることができた。『結界』壁は瘴気(瘴気に冒された生物)を阻むためのものだが、汚染されていなければ人や物の往来等は自由にできる。

 『浄化』された気(光のエネルギー)自体も不思議なことだが『結界』壁によって透過されない。が、当然『浄化』済みの全ての往来は問題なく可能だ。壁とはいってもほぼ透明で特別なにか物理的な手応えがあるという物でもない。残念ながら移動が転移ゲートを使ってブロック毎にすぐ飛んでしまうので街中を歩きまわるということはほとんどない。

 ただ『浄化』作業中のブロック内の住民は私が『浄化』作業をする際は、建物の窓や戸を開けて、中にいるという状態になっていて、そこをそのままの状態で『浄化』をする。そうすることで建物内や人や動植物、つまり生物や水や土地、空気等全ての物質そのもの『浄化』されることになる。

 ちなみに私以外の『浄化』、たとえばレオンハルト達聖騎士団による『浄化』の場合、全部吹き飛んでしまうらしい。いわゆる更地状態。魔獣や魔物相手だと描く以外全て吹き飛んでしまうとのこと。そっちの方がすごいけれど、ただ『恩恵』はついてこないので荒地のまま放置ということもあるらしい。


 私の場合は『瘴気』そのものを『浄化』し、状態を本来の元に戻す。『瘴気』の影響を受けて魔物や魔獣になったものも『浄化』によって清められ、マナへとあるべき姿に戻っていく。『恩恵』が加わるとたとえば体調が不調であれば回復するし、水や空気はもちろん、土地も豊かになる。荒地に植物が芽吹き、木々は生い茂り、その恵みも鈴なりになる。

 なので、ブロック内で聖騎士団が準備のために『浄化』をするときは必ず物や人のいない場所をピンポイントでしているらしい。私はそのピンポイントである点と点を結びブロック全体を『浄化』するという作業を続けているわけなのだけれど、当然人と人との接触自体はフェロモンの関係で最小限にされている。

 だけれども、『浄化』中の地域は住民が普通に生活を営んでいるし、全くの『無人』ではない。担当エリアブロック以外の風景自体は視覚的にも全く遮断されていないので、『浄化』と『浄化』の間のエネルギー補充のための休憩時間はサンドウィッチ等を片手に街並み見学をすることもできる。なので休憩時間は街の人たちの生活を眺めているということも多くなった。人の往来を見ていて気づくことがある。


 中世というより、二十一世紀の欧州⁇ 日本人が欧州に旅行に行った時に見るような光景に近い。普通にジーンズ履いてるし、膝上のスカート着ている若いお嬢さんもいる。

 え? 何で夫君達は中世風⁇ 元王子だから⁇ 仕事着が騎士服だから⁇ 王宮の中も女性陣がドレスやコルセットつけてる状態だったから、てっきりそういう世界観だと思っていたけど……


なんか違うような気がする。自分もだけどジーンズぽいの女性も履いてるし…… 街中の方が普通で、王族はコスプレ? う〜〜ん…… 


 飲食店や市場、いろいろなもののやり取りがされている。マナで自分で作れるのに? 王族とは違って一般庶民は魔力やマナはそれほど強くはない。そこで既製品を売買し合うのだそうだ。 

 通貨は、魔石。魔石は魔物や魔獣を狩ったあと出てくるものは少なくて実質それほど市場に流通しないそうだ。

(聖騎士団が処理した場合は魔石は回収され国庫に納めされるそうだ)


 ここは魔石といっても個々の得意とする属性の魔力を規定の石に注入するという方式をとっている。その石を購入時に査定機によって査定され、それを通貨として使用されているということになるらしい。

 なので値札には青(水魔法)十とか二十五だとか店側が欲しい魔石の色の指定をしている。ちなみに赤(火魔法)、黄(土魔法)、緑(風魔法)となっているそうだ。


 自分の魔力で売買してるってこと⁇ 足りないものを物々交換してるってことになるのか。ってことは魔力もない『渡り人』には住めない世界とも言える。これは簡単には自立もできないのか。


 魔石ねえ…… そういえば夫君候補の皆さん、マナで装飾品作ってたなあ。あれに使われていた宝石も魔石なのかもしれない。いずれにしても魔力も持たず魔法も使えなければ……


 この世界にとっての『渡り人』という存在は異物感がすごい。


 夫君達との会話の中で知ったのは、仮に王族によって保護されて結婚をし、子供を成したとしても、その子孫へ地球人としての遺伝子を残すことはできず(子孫は全て伴侶側の遺伝子のみを受け継ぐ)、この星に遺伝子的には全く関与できないという事実。ただし魔力の多い子供が生まれるそうだ。

 そもそも地球人の考える子種や卵子という意識そのものがない。マナという観点から見れば、子を持つことは可能だけれど、だからといってそれらが遺伝子として残せるわけではない。この星に対応した身体を持てなければ生き残れないからだ。マナを自らの体内で生成し、魔力を持たなければ生き抜くことはできない。

 つまり地球人としての遺伝子を残すことは不可能なのだ。

 それは『渡り人』が男であっても女であっても同じこと。彼らの伴侶は『渡り人』の『恩恵』によってマナの影響を受け彼ら本来のマナが変化し魔力に影響を及ぼされる。

 『渡り人』の子供はこの伴侶の『渡り人』の『恩恵』の影響を受けた遺伝子がそれが子や子孫に受け継がれていくのだそうだ。この為魔力の多い子孫が生まれるとされている。

 

『渡り人』の存在は、厳しく取捨選択されながらもこの星の文化的なものに色濃く影響を与えている。そういう風な感じを強く受けてしまった。


 確か直系王族(大魔法士)を伴侶としたのは初代『渡り人』だけだといわれている……

 先代の『渡り人・光様』の娘と直系王族が婚姻を結んだとか聞いてはいたけれど…… 夫君達の麗しすぎる尊顔を見ていると、とてもじゃないけど日本人の遺伝子が入っているようには絶対思えない。


 おそらく残せなかったんだろうね。子宮内で地球人の子種もマナに変換されるらしいから。DNAとしては残せないのかもしれない。これも淘汰の法則ゆえか。


 あれこれ考えながら予定通りに作業は終了した。来週から『浄化』作業が本格的に再開する。


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