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【感謝!3万PV達成!】虹の聖樹 『大聖女・ハルカ』と夫君達との異世界ライフ♫  作者: 天の樹
第一部 ハルカ『異世界ライフ』が始まる♬
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異世界で『浄化』活動の開始と『家持ち』になる


 『浄化』作業に入る前に、さらに説明を受ける。

 『浄化』作業計画図上割り振られた『王宮ドーム』を中心に描かれた王都の最初の一周目の外円は四つのブロックに仕切られていて、それぞれに移動用のゲートが仮設しているそうだ。

 『結界』壁もほぼ透明で、『瘴気』や影響されたものは移動できない何らかの制限を持たせた作りになっているので、そこで生活する人や生物には殆ど不自由がないものになっているらしい。

 ここの魔法って生きているように微調整可能だから、不思議だなと思った。


 一つ目のブロックに移動する。

 遥か遠くにレオンハルトと同じマントをつけた人が立っていて、手を振っている。親指位にしか見えない。う~~ん、かなり遠い。広範囲のように見える。レオンハルトが、一ブロックの大きさの規模がわかりやすいように人を配置しているらしい。つまり、そこを上限とした『浄化』を行うということだ。


 昨日ルイスから教わったように『浄化』を試してみる。どうだろう、これくらいでいいか、かなり手加減した。それでも想定より相当強かったみたいで指定されたブロック内は『浄化』たった一回で終了し、次のブロックへと移動する。次のブロックに入った時、レオンハルトからもう少し規模を小さめにイメージをするようにと言われた。今度は最初より二割カットの八割程度の力加減にする。やはりまだ強いらしい。もう少し加減するように、レオンハルトに指示される。さらに三割程度弱めてみる。まだ、強い? 思い切ってさらに四割カット…… でOKがやっと出た。


 それでも『浄化』という作業は思いの外エネルギーを消耗するらしい。四ブロック終了した時には空腹で倒れそうになった。レオンハルトが慌てて回復ポーションとランチボックスを持ってきた。

 おお、気がきく! 開けてみるとヒレカツサンドや卵サンド、ポテトサラダサンド…… ハンバーグサンドもあった。ガッツリ系だけど、すごくありがたい。こうなることは見越されていたようで、食べれるだけ食べなさいとレオンハルトはポットに入っている珈琲を温め直してくれた。


 ぶっ倒れるかと思った。これは調整しっかりしないと一日持たないな。実質わずかな時間の『浄化』作業で一気にエネルギー消耗してしまって、自分でも驚いてしまった。レオンハルトは何度でも食事タイムを摂ってもいい。こまめに取れるように準備はしているからと明るい笑顔で言う。ガッツリ食べてエネルギー補充できたら、作業図上の二番目の外円へと向かう、今度はさらに八ブロックに分けられていた。ちょうど先ほどの規模の『浄化』をすると、レオンハルトから、合格! と言ってくれた。地味に嬉しい。途中休憩を挟んで、再びレオンハルトが用意してくれたガッツリ系のランチをぺろりと頂く。


 結局初日はこの二周目の外円で終了。時間にして(移動時間や休憩時間)も含め二時間半で終えた。『浄化』は一瞬。殆ど食事休憩時間のほうが長いから。働いたうちには入らないんじゃないかな。

 レロレロ状態でレオンハルトに横抱きにされて、そのままレオンハルトの領地にある屋敷に転移ゲートで移動したらしい。私は、そのまま夕食で起こされるまで寝込んでしまった。レオンハルトは私の周辺に結界を張り巡らせ、現場に戻り、『浄化』作業を続けたそうだ。思った以上にスタミナがないことを痛感した初日だった。


 それでもレオンハルトに言わせると、わずか二時間半(休憩を取らず)で十二ブロックを『浄化』するのは聖騎士二十人がかりでも無理な規模だという。ただ『マナ欠乏症』を悪化させないためにはもう少し配分調整が必要で、しばらく初日ペースで進めた方が負担にならずにいいだろうということになった。その夜はレオンハルトの館に泊まったけれど、色めいた事にはならず、『浄化』作業中はとにかく体力温存に努めるようにすると言われた。


 翌日は三周目、ブロック数は二十…… 全部は無理で十六ブロック。もう少し、体力つけないと。


 『浄化』作業は三日おきに休日を取ることになった。初めての休暇は、ひたすら食っちゃ寝るでエネルギーを溜め込むことに専念した。すると翌日は二十ブロックまで『浄化』作業ができた。大陸の地図に『浄化』済みの印が入っていく。


 この大陸は大きい。大陸が分かれていない。その形は随分と昔にチラッと見たことのある地球の『パンゲア大陸』をグッと圧縮をかけて少しより円形にした感じだ。


 その中心に王都がある。

 王都を除く大陸は十の領地に分割されている。普通は地形とかに左右されるように思うけれど、ここはそれを全く無視をしている。初代国王(最初の『渡り人』と婚姻を結んだ大魔法士)が王太子を除く十人の子供達が臣籍に下る時、その魔力やマナの量に合わせて治める領地を割り振ったそうだ。

 一番強い王太子(次期国王)が王都を治め、一番弱いものから王都よりに。王太子に次ぐ魔力やマナがあるものが一番外(三番目)の外、いわゆる辺境にある領地が割り振られる。内(王宮)と外(辺境)から大陸全体を守るということらしい。簡単に言えば王都を中心に外円を三つ描き、王都から一つ目の外円を二分割。二番目、三番目の外円をそれぞれ四分割している。


 王都から一つ目の外円(東宮公国・西宮公国)

 二番目の外円(東中公国・西中公国・南中公国・北中公国)

 三番目の外円(東大公国・西大公国・南大公国・北大公国)


 面積比は一つ目を一とすると一対三対四。

 

 一番外側の領地面積が広く、この辺境地域は『瘴気』や魔物の影響を受けやすく被害も大きい為、それを守るためは常に歴代『魔力やマナの多いもの』が領地を治めることになる。この為世襲制ではない。レオンハルトは東の大公国やルイスは北の大公国、クリストフは西の大公国という一番外側外円(辺境)の領地を治めている。

 ちなみに南の大公国は先代の王弟(彼らにとっての叔父)であるアレク(アレクサンダー・ユータリア)公が現在も領主をされているそうだ。そして、これらの領地は世襲制ではなく、常に次世代の王族の直系が親戚に下る際に魔力やマナの量に応じて新たな領主に任ぜられるらしい。


 『浄化』作業のための地図を眺めながら、まだまだ『浄化』が全て終わるには先は長そうだとため息が出る。

こうやってみると夫婦の営みによる『恩恵』の方が負担はかからないんだろうなとは思う。

 十人の夫…… まあ、自分は無理だけど。その時くらい我慢すればいいって考えるのは甘い。『渡り人』の伴侶になると他の女性と性交渉できなくなるらしい…… フェロモンの影響かどうかは検証できていないらしいけれど…… そういう記録が残っているとクリストフに教えてもらった。つまり、作業云々以外でも夫婦生活を営むという責任も生じるということを考えると…… これ以上は増やせないと私自身は思うので……

 いずれにせよ、こうやって詳細データーを残すというのも次の『渡り人』としてくる人にとっては必要だと思う。

 それにしても初日の『ハルカ・ロード』(小っ恥ずかしいけれど、これも公式名称らしい)や『王宮ドーム』を『浄化』しただけで身長三センチ、体重二十キロが一瞬で減ったことを考えれば『浄化』という作業は確かに高エネルギーを要するものだということは理解できた。

 普段なら考えられないくらいの相当な高カロリーを食べ続けてもあっという間に消耗してしまうのだから。

 まさしく、『ゲップ』(満腹)から『きゅるる』(空腹)まで一瞬き。

 私自身のマナを消費しないように…… ずっと食べ続けている。レオンハルトだけではなく、ルイスやクリストフからの差し入れも多くなってきた。こまめに食事としてマナを摂り続けている。(おそらく夫君達のマナを)


 う~~~ん、胃が大きくなっちゃうとか、ないよねえ。普通の考えれば『浄化』を終えた後の反動かなあと差し入れされる超高カロリー食をハムハムしながら最近思うようになってきた。





 『浄化』作業を始めて一週間後、再び熱を出して寝込んでしまった。


 原因は『時差』。

 この星は二つの太陽のある連星というやつだ。月も三つもあるし…… おそらく生物に与える影響も少なくないんだろう。

 前に聞いたルイスの説明によると一日が二十四時間。一ヶ月が三十一日。十二ヶ月で一年。地球とあんまり変わらないじゃないかと安心していたのだけれど……太陽が二つあるということで夜の時間が平均六時間。だいたい地球でいう夜の零時から夜が始まる。

 うん、まあそれくらい大丈夫だろうって甘く見ていた。ところが体内時計というものは案外厄介なものらしい。この星に来てから一ヶ月近く…… その影響は思いの外強かったのか、『浄化』による疲労もあったのか、再び寝込んでしまった。

 『浄化』の為に無理に食事を取らなければいけないというのも原因だったのだろう。突然食べれなくなってしまった。そのくせ睡眠もあまり取れなくなり、変だなと思ったら倒れて、熱を出してしまったというわけだ。

 地球にいる時だと睡眠時間三、四時間でも平気だったはずなのに…… ああ、でも日が暮れる数時間の夜の時間差というのは地球人にとって案外大事なことなのかもしれないと思った。


 この星の人はとてもパワフルだ。昼夜の制約などないように見える。寝る必要なんてないんじゃないのかなって思うほど。そのペースで合わせるとかなり厳しいんだろう。こういうところにも実年齢を感じてしまう。おそらく本当に若ければ、すぐに慣れたはずだろうから。


 ああ、でも暦の差で気がついたことがある。一年で大体七日差があるなら…… この星の暦だと五十年で一歳若くなるんじゃなかろうか…… 塵も積もれば……? 些細なこととはいえ、気がついて何気に気持ちが少しだけ浮上した(笑)ただ、この時差問題、対策がとりようがない。ここで暮らす以上は慣れないと…… 一人で寝れたらいいんだけれど…… と希望を出すと、即却下された。


 因みにこの星の夏と冬は短い。そして気温差もほとんどない。雪も降らず、猛暑もない……緩やかに時間が過ぎていくということらしい。北の公国の領主であるルイスですら、雪を見たことがないそうだ。

雨季も乾季も特にないそうだ。

 ああ、そうか、この星ではわざわざ食べるために自然の影響を受けることはないからか。全て自分たちのマナで完結してしまうからだろう。季節の影響を受けない。だから、気にしないんだろう……


 それはそれで過ごしやすくてありがたいと開き直れば良いだけだろうけれど……季節の移り変わりすら愛しい思い出になってしまったと寂しく思ってしまった。

 身体的適応力のなさはやっぱり年か~~ 結局…… 二度も倒れた結果、一週間体調を整えるために休養に専念することになった。もちろん夫君たちとの夜の営みもお休みである。と同時に夫君たちの領地を行き来するのはやめて、移動可能な(?)家を持つことになった。


 最初は移動可能って、レッカー車でも繋ぐのかと思っていたら、家ごと転移できるように魔法陣を展開するという、私にとってはまるで理解できないものだった。

 百聞は一見に如かず…… ということで、まずは家を購入。これもカタログ販売だ。地球的なよくチラシとかで見る不動産情報を立体的な映像で見て選べる。VRみたいなもの?

 しかもお好みにメンテナンスもできる。部屋の増築も自分達のマナで可能。家までマナだよ。魔法だよ。もはや驚かなくなっている。今後夫たちと住む家だ。何故か五人は軽く寝れるだろう巨大なベッドの置かれている夫婦の寝室を中心に各自の部屋が放射線状につながっている。

 なんでこんなに大きいベッドが…… 言葉を失って呆然としている私に対して三人の夫達は口をそろえて『治療のため』と宣った。もちろんそこにはリビング・ラウンジ等共有スペースもある。


 う~~ん…… 治療と関係ないやん…… 突っ込みたくなる。


 各自の部屋には寝室(それぞれの領主館で使用していた夫婦用の寝室を再現)、バスルームや書斎等、個々の部屋もかなりのスペースを持っている。ルイスなんか魔道具の開発のための実験室まで作ってるし……各々自由自在にお家改造している。

 治安(護衛)の問題もあるので誰かが常に私と共にいるという状況は今までとは変わらない。

 長く使えるように趣味や温室、庭など敷地面積も相当広い物件だ。その敷地全体を覆うように常に『結界』魔法を展開しているらしい。


 これを全て移動できるようにしているそうで、まずはそれがどんなものなのかを見せてくれる、ということで実際に家を瞬間的に移動してくれた。

 ルイスが魔法陣を展開してすぐ家が丘(A地点)から、少し離れた丘(B地点)へと瞬間移動した。

 へ~~~ 魔法ってすごい‼︎ ただただ驚嘆の声。好きなところ、おすすめのところへ移動できるらしい。とはいってもあくまで夫君の領地内のみ。

 そりゃ、そうだ…… 許可なく他領地に移動したら大変なことになる。私もここで初めて私個人の部屋も持たせてくれた。天蓋付きのベットも用意してくれた。カーテンも遮光性のもので、ここの人にしてみては早い時間でも休養できるようにしてくれた。(実はこの部屋を確保するために家を持つことをクリストフが提案をしてくれた)


 自分に与えられた部屋もかなり大きい。書斎もある。テラスもある。バスルームもある。自分の好みに色々アレンジもできる。そう考えるとかなり嬉しい。初めて自分の空間(居場所)が持てた。

 ようやく地が足についたかなって感じがするのはなんだか不思議。


※※※※


 ハルカが渡ってきたユータリア国(ユータリア大陸)の地図です。



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