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EgoiStars:RⅡ‐3380‐  作者: EgoiStars
帝国暦 3380年 <帝国標準日時 12月22日>
13/35

第11話『逅』

【星間連合帝国 ヴェーエス星宙域 人工監視衛星インドラ】


<AM04:44>


 切迫した声が響き渡る。ホログラムとして浮かび上がるミヤビ、彼女の後ろに立つエルディンとメアリーはその声に見合う険しい表情を浮かべていた。


『現在、フマーオス星のクジャ・ホワイトとローズマリー共和国のミランダ・ハリトーノフが戦闘中よーどうするー?』


ミヤビの説明を聞いていたカンムは煙草の煙を吐き出す。現場で緊張の面持ちを持つ彼らと違い、カンムは至って冷静だった。当然である。彼は今回の任務に関して既に勝利を確信していたからだ。その勝利を確信させる要素は彼の望む状況ではなかったが……

 そんな彼は足を組みなおしてからようやく口を開いた。


「アークとリオは?」


『リッちゃんが今迎えに行ってるわー』


「丸腰でか?」


『船の下腹部に設置していた予備のブラスターライフルを持って行った筈だ』


『ばってン、アッちょんば現在地が分からんけン。ここにいつ戻ってくるか分からんのじャ』


船の外で起きているクジャとミランダの戦闘は激しいのだろう。その証拠に三人の姿が小さく揺れ動き僅かにノイズが走っている。

 そんな彼らを尻目にカンムは隣で別の誰かと話すレオナルドに視線を投げる。その視線に気づいたレオナルドはカンムの方に目をやると小さく頷き、カンムは再び視線を三人に戻した。


「状況は理解した。今はメアリーのコピーした研究所内のデータ捕獲を優先する。お前たちは一先ず三人でこのインドラまで帰還しろ」


その指示にミヤビ以外の二人の目の色が変わった。


『的確な指示とは思えないね。何よりまだオリジナルフレームとやらがまだ確保できていない』


『そうじャ。目の前に同じモン狙っちょる連中が来ちょるんにみすみす見逃す手はないじゃロ』


二人の言葉を聞き流しながらカンムは二本目のタバコに火を点ける。二人はオリジナルフレームの事などなんとも思っていない。アークとリオを残して行くことに納得していないのだ。

 カンムはタバコの煙を吐き出しながら意見する二人に小さく微笑んだ。


「ヒヨコが囀るな。無様を通り越して滑稽だ。……お前たちが案ずる必要はない」


その一言でホログラム越しながらその言葉にエルディンとメアリーは口を噤む。自分たちの思慮などカンムが理解できていないはずなどない。そんな単純な事を忘れるほどに彼らも同様していたのだろう。そんな教え子とも部下とも言える子らに小さく微笑みながらカンムは普段通りの様子で口を開いた。


「アークとリオは無事に帰還させる。そしてオリジナルフレームが連中の手に渡ることは無い。メアリー、お前は回収しきれなかった研究所内に残るデータに厳重なプロテクトを掛けておけ」


『分かったばイ』


「エルディン、貴様の事だ。複数パターンの起爆プログラムを設置しているだろう。適切に起爆しろ」


『全てお見通しか』


『ボスー。さっき言った防衛プログラムはどうするー?』


ミヤビの問いにカンムは一瞬考えた。

 防衛プログラムというのは恐らく自律型起動兵器だろう。その存在はかつてこの星に訪れた時に知っていた。複数の脚を持つ禍々しさと美しさを兼ねた破壊兵器である。その戦力は帝国の一個小隊に匹敵する。しかしその戦力値は彼にとってやはり想定内だった。


「問題ない。アークだけならまだしもリオと一緒なら何とかなる。お前たちがやるべきは眼前で起きている戦闘の隙を作って脱出することだ。では帰還を待っているぞ」


カンムがそう告げると三人は思い思いの表情で頷く。そんな彼らの表情を見送りながらカンムは通信を切った。

 想定外の事は起きている。フマーオス星とローズマリー共和国が動くのは想定内だったが、狂人クジャ・ホワイトと女傑軍のトップエース、ミランダ・ハリトーノフが来るのは想定外だった。しかし、この世界にいるどんな戦力がやって来ようと今回の任務に支障はない。先だって彼が想定しているように、今回の任務の戦闘という意味での勝利はもう確定したようなものだったからだ。


 「イキのいい部下たちですね」


隣で通信を終えたレオナルドは微笑みながらティーカップを差し出してくる。カンムはそれを受け取ると小さく鼻を鳴らした。


「まだまだひよっ子どもだ。特に研究所に残す一人は他三人と違って才覚がない」


「才覚が無いか……ダンジョウさんと同じですね」


レオナルドはまるで懐かしむように微笑むとカンムは苦笑した。


「フッ……陛下と比べるなどおこがましい。……そんな事より」


カンムはレオナルドの方に振り返ると彼は先程同様に小さく頷いた。


「カンムさんの部下たちは運がいいですね。本日は海陽フレアもなく特殊な磁場嵐や小惑星帯などの接近も見られません。こちらにいらっしゃる運航に支障は全く無いでしょうね」


「いつ頃到着なさる?」


「予定通り午後には」


自身と同様に勝利の確信、そしてどこか退屈そうなレオナルドの表情を見てカンムはまた小さく微笑む。カンムと同じ戦略性を持つレオナルドも、全く同じ気持ちなのだろう。

 カンムは微笑を浮かべながらレオナルドが淹れてくれたティーカップに口を付ける。しかし、その瞬間に朗らかな表情が険しく歪んだ。


「……不味い」


「あ、やっぱりですか? ジュリアンさんのようにはいきませんね」



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


【星間連合帝国 ヴェーエス星 デセンブル研究所敷地内】


<AM04:50>


 地上で戦闘が起きているのだろう。おかげで振動が地下にも伝わってくる。その状況にアークは一旦捜索を中止し、足りない頭を使ってこれからの行動について考えていた。とはいっても“前に進むか”“戻るか”の二択しか無いのだが、彼からすればそれは大問題でもあったのだ。


「んー……何となく戻った方がいい気がするんだけどなー……でもメー子はヤバくなったらリオを迎えに行かせるって言ってたし……」


考えに考えてアークは「ぃよし!」と決意した。直感を信じるのがいつもの彼のやり方なのだ。


「勝手に予定変更したらまーた怒られるかもしんねーし」


本音を見せながらアークは再び捜索を進める。

 メアリーが開けてくれた扉の先にあったのは勾配のある下り坂だった。彼はずっとその勾配を下りていたのだが、どうも構造が螺旋状になっているらしく、更に周囲には扉も無いのでまるで地下迷宮へ繋がる道の様だった。

そんな勾配も終わりに差し掛かり、辿り着いたのは先が見えない程の一本道となる通路だった。しかし、これまでと違うのは両サイドの壁には等間隔に扉が付いている事だろう。


「えぇー……これ全部開けんの?」


アークはBEの姿のままガックリと項垂れる。しかし彼のその不満は杞憂に終わった。先程と違う地鳴りがBE越しに彼の感覚を揺らしたからだ。


「え? なになに!?」


腰の引けたアークは辺りを見回す。すると一際大きな扉が破裂音をあげて弾け飛んだ!

 扉の破片が土煙をあげて床に散らばる。それは明らかに中から何かが飛び出した衝撃によるものだった。


「……何この子」


目の前に現れた存在にアークは眉を顰める。そこに居たのはBEよりも一回り大きな十本足の起動兵器だった。


「あれ? その、あの、お、襲ってきちゃう感じ?」


『……』


この研究所は長い間無人だった。そう考えれば起動兵器に人は乗っていないだろう。となれば当然返事が返ってくるはずもなかった。何より、その起動兵器は機械でありながらまるで野生動物のように体制を低くして臨戦態勢に入っていた。


「もぉ……こちとら本当は平和主義者だってのに」


アークは右腰のホルスターに銃のように収まっている柄を握り締めた。

 直感的に感じ取っていた。この巨大な起動兵器に自分一人では勝てない。艦隊のような的が大きい部隊と違い、一個戦力としての実力差は彼なりに理解は出来たのだ。


「やっぱ引き返しときゃ良かったね」


アークは自らの判断を悔やみながら右腰の柄を引き抜くと同時に起動兵器に向かって突貫する! するとBEサイズの液体金属として収まっていたククリ刀が姿を現した!


「くらえぃ! 鬼クソ強ボス直伝! 虎殺流……廻閃!」


背部スラスターを起動させてアークは腰を回転させる! それと同時に体を回しながら遠心力を利用してククリ刀を真横に薙ぎ払った!

 その一閃は空気を切り裂くように真横に光が走る!


「んー……ボスのようにはいかない……」


一閃は「バリッ!」という音を立てて起動兵器の前足を断つことなく受け止められた。BEの中でボヤくアークだったがそんな余裕はなかった。

起動兵器の後部から生える尻尾のような遠隔武器がアークの眼前に迫ってきたからだ!


「ぅおうっ!」


寸でのところでアークは状態を仰け反らせて尻尾を躱す。それと同時に後方へバク転して距離を取ろうとするが、起動兵器はその間合いを許しはしなかった。

 一気に間合いを詰めてきた起動兵器は前足を振りかざす! その振り上げられた前足からは爪が飛び出し、振り下ろされると同時にアークの左太腿を貫いた!


「あばばばば! 痛くないけど痛い気がするぅぅぅ!!!!」


大げさに声上げながらアークは切断された左脚を抑えながら地面を転がり廻る。起動兵器は当然そんな瞬間を逃してくれる訳もなく、さらに踏み込んできながら再び前足を振りかざした!


――バシュ!


紫色の閃光が起動兵器の前足を貫く! その閃光が飛んできた場所にアークは視線を投げると、生身のリオがブラスターライフルを構えていた。


「おぉ! リオ! 格好いい! 今日の抱いて欲しい人ランキング一位よ!」


『口じゃなくて体を動かせメガボケ!』


文句を言いながらリオは更に引き金を引く! 彼女の放つ紫色の光は的確に起動兵器の四肢や動力部に向かっていく! しかし起動兵器は僅かに急所をズラしながら攻撃を受け取めると、リオに向かって突進していった!

 そんな起動兵器の後姿を睨みつけながらアークは片足で跳びあがった! 


「どりゃぁッ! 鬼クソ強ボス直伝! 虎殺流……堕突!」


アークはククリ刀を突きたてながら起動兵器に向かって落下する! そして起動兵器の背中にククリ刀を突き刺した!


「フッ……俺の太腿(リオ)に手を出すなんざ百年早いぜ」


『誰がアンタのだ! ……ちゅうか太腿と書いて私の名前を呼ぶな!!』


アークはBEの中でニヤリと微笑みながら突き刺したククリ刀を捻り刺すと、刺し口からミシミシという機械が擦り切れる音が響いて火花が飛び散る。起動兵器はアークを振り払おうと胴体を振り回すが、それも徐々に収まり機械特有の動きで地面に突っ伏していった。


 身体が……いやBEが上手く動かせない。いや、どちらにせよ左脚が動かない以上、戦闘は無理だろう。そう判断したアークは起動兵器の上で起動を止めると、着脱モードに入ってBEの背中から這い出した。


「いやぁーヤバかった! さすがの俺も死んじゃったかと思ったね」


首を鳴らしながらアークはBEと破壊した起動兵器から飛び降りる。するとライフルを肩に抱えたリオが歩み寄ってきた。


「派手にやられたね。まぁ相手が一体だけで良かったわ」


「ホントに。んで? コイツ何?」


アークの問いにリオは起動兵器に向かって顎をクイッと向けた。


「研究所内の防衛兵器だって。攻撃を受けると起動するようにシステムされてたみたい」


「ふーん。んで? その起動兵器が動いてリオが来たって事は」


その言葉にリオは小さく頷いた。


「上でドンパチやっててヤバい状況。さっさと脱出しよ」


「あれ? オリジナルフレームはいいの?」


「忘れてない? このチームは皇女直轄護衛騎士団の依頼受けてんの。皇女様の最優先命令は全員生きて帰還するって事」


「あそ。んじゃ、ちゃっちゃと帰って飯食って風呂入って一緒に寝よ」


「そーね……って一緒に寝ないわメガボケ!」


リオが憤慨すると同時に天井……地上から大きな振動が響き渡った。


 今までにない大きな振動にアークとリオはフラ付きながら互いに身体を支え合う。すると二人が立つ扉の向こうから妙な声が耳に届いた。


「グべッ!」


妙な声にアークとリオは互いの声ではないと察しながら顔を見合わせた。


「……聞こえたよね?」


「うん。人の声。俺の見立てでは結構カワイイ子ちゃんと見たね」


そんなアークの言葉にリオは顔を青褪めさせながらゴクリと生唾を飲み込んだ。


「何で人の声すんの? ここずっと無人だったんだよ?」


「え? と、ということは」


この研究所は長年無人だった。いや、それ云々の前に星自体が人の住めない環境にあったのだ。そんな場所から人の声がする。

アークとリオはどこかオカルト的恐怖心を抱きながら二人で身体を寄せ合いながらドアノブに手を掛けた。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


【星間連合帝国 ヴェーエス星 デセンブル研究所 上空】


<AM05:03>


 クジャとミランダの戦闘は思いの外メチャクチャなものだった。暴れまわるミランダのBEとまるで遊ぶように動き回るクジャ……その対照的な動きのパターンは読みづらく、隙を見つけられなかったからだ。それでもこうして研究所から脱出できたのは、エルディンが一部箇所を爆破し二人の視線を向け、その隙にメアリーが防護壁を閉じて壁を作り、ミヤビがその隙間を切り抜けたのだった。


「よう抜け出せたねミヤちゃン。あげん操縦上手いとは知らんかったワ」


「むかーし私の旦那様に色目を使う女から教わったの」


「どーもミヤちゃんはジャネットの姉さんば勘違いしちょるみたいじャ。ねぇエっちょン?」


メアリーはエルディンの方に振り返ると、彼は爆薬の起動スイッチが並ぶボードを膝に置きながら窓から研究所を見下ろしていた。メ

 アリーは彼の肩に顔を乗せながら一緒に研究所を見下ろした。フマーオス軍も女傑軍も集まって来ている。もはや研究所は両軍に包囲されていると言っても過言ではなかった。


「おー派手にやっちょるネ」


「……そろそろ、頃合いか」


心配気な表情を浮かべるエルディンはどこかボーっとした様子だった。現に彼は起爆スイッチを押すのを躊躇っているのだ。

 メアリーはエルディンの肩に顔を乗せたまま「エっちょン?」「おーイ」と問いかける。しかしエルディンは反応を見せずにジッと研究所を見下ろしていた。そんな美しいエルディンの頬にメアリーは「ブチュッ」と下品な音を立ててキスをした。


「どぎゃんしてン?」


「アークやリオちゃんが心配なだけさ」


ようやく意識が戻って来たのかエルディンは頬に着いたキスマークをそっと拭う。そんな彼にメアリーは悪戯っぽく微笑んだ。


「相変わらずエっちょんば嘘が下手じゃネ。女傑軍にカワイイ子でもおったン?」


「僕が一人の女性に執着を持つとでも? 愚考だね」


「ぬふふフ! エっちょんば興味持つ女の子ばどぎゃん子じゃろうねェ~?」


「起爆する。ちゃんと座っていないと舌を噛むかもしれないよ」


エルディンはそう告げるとメアリーが着席する前に起爆スイッチを起動する。

次の瞬間、研究所の周囲を覆っていた部隊が光に包まれ爆風が船を揺らす。そしてエルディンの言葉通り、メアリーは舌を噛んでいた。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


【星間連合帝国 ヴェーエス星 デセンブル研究所敷地内】


<AM05:10>


 扉の中にあったのは病室のような簡素な部屋だった。地上で起きた振動の影響か電源が点滅している。その点滅がアークとリオが抱いていた恐怖心を更に煽った。


「リリリリリオちゃん。離れないでね? 俺こう言うのホント無理なの!」


「腕を掴むな! 私だってギガ苦手だっていうのに! あと立ち位置逆じゃない!?」


勇気を振り絞って胸を張るリオとは対照的に腕を掴みながら震えるアークに彼女は苦言を呈した。

 振動が徐々に収まると同時に点滅も徐々に収まっていく。すると室内の状況が明らかになっていく。そこに広がっていた光景に二人は絶叫した!


「「ぎぃやぁぁぁぁぁあああああああああッッ!!!!!!」」


簡素な鉄製ベット……その横には透き通るような淡い青の髪をした少女がうつ伏せに倒れ込んでいたのだ!


「ああああああ! ししし死んでるぅっ! ごめんなさい! もう寝てるリオの太腿舐めたりしません! 階段上る時にスカートの中を覗きません! 前歩かせてコッソリ首筋の匂い嗅ぎません! この前無くなったリオのパンツは引き出し二段目の奥にあります!」


「おおおおおお落ち着きなさい!! こういう時は深呼吸! そして歌うの! ホラあの歌! オバケだって寂しがりぃ~♪ 仲良くなれるお友達ぃ~♪ ……待て! そんな事してたのか!!」


「あ、いや、その、出来心というか、魔が差したというか、癖というか、習慣的にやってて、その、というかアレだけやって起きないリオもリオと言いますか……」


「あのショーツはメガお気に入りだったのにィィィィッ! 絶対返してよねッ!!!!」


「ウゴォッ! 履いて、くれんの? それは、それで、最ッ、高ッ!」


リオは両手でアークの胸ぐらを掴んで上半身をグラグラと振り回す! そんな二人を他所に倒れていた少女が小さく呻き声をあげた。


「ん~」


うつ伏せからゆっくりと仰向けになる。淡い青の長髪のおかげでその顔は隠れたままであるが、その声から生きていることが確認できた。

 リオは掴んでいた胸ぐらを持ち上げてアークを背負い投げする。彼は地面に叩きつけられると「グヘッ!」と呻き声をあげるが、リオは気にする事なく少女に走り寄ると上体を起こし上げた。


「君? 大丈夫?」


「あぐぐ、何? 生きてんの?」


絞められた首と叩きつけられた背中を抑えながらアークが歩み寄る。そんな彼に見向きもせずにリオは少女の脈を確認した。


「うん、心臓は動いている」


「ホントに? 俺も確かめてみよう」


「貴様! こんな小っちゃい子まで射程内かッ!」


明らかに手首ではなく胸に伸びていたアークの腕をリオは捻り上げる。

 「い、痛いのー!」と再び呻き声を上げるアークと締め上げるリオの構図が出来上がるとその騒々しさのせいか、倒れていた少女はゆっくりと目を覚ました。


「……ん?」


「あ」


「起きた」


開いた少女の目を見てリオは思わず「え?」と呟いた。

 この海陽系の星々で生まれた種族にはそれぞれ特徴がある。


紅い瞳と黒髪のラヴァナロス星人

獣耳のレオンドラ星人

角を持つアイゴティヤ星人

青い肌で細身のカルキノス星人

浅黒い肌と銀髪のクリオス星人

その環境で肌が真っ白になったクリオス星人の末裔であるヴェーエス星人

瞼の中が瞳で覆われたジュラヴァナ星人

美形しか存在しないフマーオス星人

翠色の瞳のパルテシャーナ星人


しかし、その少女の瞳はどの色でもない。見たことが無い……虹色というべき神秘的な瞳をしていたのだ。


「あ……」


目を覚ました少女はゆっくりと自力で体を起こし上げる。そしてリオとアークの顔を交互に見回すと、その虹色の瞳輝かせた!


「アナタ達は……人間ですね!?」


突拍子のない声を上げる神秘的な瞳を持つ少女にリオとアークは呆然とせざる得なかった。

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