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第43話 体力×体験

 友達になった宇佐美うさみちゃんが私が通っているジムに興味があると言うので、さっそく連れてきたのはいいんだけど……。


「はふぅ……筋肉がいっぱいだよぉ~!!」

「宇佐美ちゃん……貴女あなたは何をしに来たのよ……」

「ウサミー、完全に筋肉に酔っちゃってるねー」


 お嬢様みたいな可愛いコーデをした女がヨダレをらしそうな顔しながら、汗だくでトレーニングをしている人達を見て興奮している。

 これはちょっと私の紹介でジムに入会させるのはマズいかもしれない……。


「あれ? しーちゃん超久しぶりじゃん。それに兎月さんも……って、どうした?」


 とか思っていたら、この前一緒に食事をした友達であり、このジムのインストラクターでもあるモッチーが私を見つけてやってきてしまった。

 仕方ない、取り敢えず挨拶だけでもしておこう。


「モッチー。こんばんは。ジムでは久しぶりだね」

「えっ。こちらの素敵な筋肉をお持ちのお方って、シーさんのお知り合いなんですか!?」


 うわー、やっぱり反応してしまったかー。

 確かにここに来ている大半の女性はモッチーの美筋肉に見惚れているから、筋肉大好きの宇佐美ちゃんなら反応するとは思ったけど。

 どうしよう、このまま紹介しない訳にはいかないよね……?


「うん、私の担当インストラクターをやってくれている望月もちづきさん。いつもこの人に筋トレ方法とか運動メニューを考えて貰ってるんだー」

「どうも、はじめまして。飯野さんの専属でインストラクターをやっている望月です。もしかして、見学の方ですか?」


 お、久々にモッチーの営業用の顔が見れた。

 ゴリゴリなマッチョじゃないからそんなに威圧感もないし、ちょっと見た目はヤンキーだけど表情筋まで鍛えられた爽やかな笑顔が逆に異性をとりこにさせる……らしい。

 ……なんで私はこんな解説をしているんだろう?


「は、はい!! 私、宇佐美っていいます。うはぁ……すっごい理想的な大臀筋だいでんきん。撫でまわしたい……」

「ちょ、ちょっと宇佐美ちゃん!?」


 いきなり何を言い出すんだこの子っ!?

 初対面の人のお尻を撫でまわしたいなんで言ったら普通は逮捕案件だよ!?

 やっぱりジムじゃなくて警察に入所手続きさせれば良かったよぉ……。


「ははは、ありがとう。割と良く言われるから慣れてるよ。まぁ、たまに男性の方にも撫でられたりするのはちょっと……うん」

「うは。モッチーそんなことされてたの? 大人気じゃん」

「そんな人気は要らねーよ。あぁ、でも。俺はしーちゃんにだったら撫でられてもいいぜ?」

「はいはい。それより、この宇佐美ちゃんを案内したいんだけど」

「是非っ! お願いします!!」


 まったく。筋肉を愛でる為に触るならまだしも、この私がいやらしい目的で触るわけがないじゃない。

 純真な私は、この変態お嬢様とは違うのだよ!!

 あ、でも兎月うづきちゃんの太ももはでていたい。


「な、なんでアンの下半身を見るんです!?」

「ん? 何でもないから大丈夫だよ~」

「全然信用できないよっ!?」

「はぁ~、私も望月さんに専属になってもらいたいです。でもきっと望月さんはシーさんを……」


 それぞれがそれぞれの欲望を垂れ流しながら、受付で宇佐美ちゃんのビジター(体験)の手続きを終わらせた。

 そしていきなりトレーニングルームに突撃しようとする宇佐美ちゃんを、私と兎月ちゃんが引っ張って更衣室へと連行していく。

 


「はぁ……ここに天国はあったんですね」

「宇佐美ちゃん、本当に変なことしないでよね!?」

「……そういう紫愛っちも、アンのことをいっつも触ってくるよねー?」

「「美しいカラダは愛でるものなの!」」

「2人とも通報するよー?」


 そんな冗談を交わしながら、それぞれが自分のトレーニングウェアに着替えていく。

 私と兎月ちゃんは色違いの同じウェアで、レギンス付きのピッタリ目なやつ。

 ……なんだけど、スタイル抜群な兎月ちゃんは出るところは出ているから、女の私でもドキドキするくらいのセクシーさだ。


「ふわぁ……2人とも、すっごいスタイルが良いですね!! 羨ましい……」

「そうかなー? 私は身長が高いだけだと思うけど」

「紫愛っちはモデル体型だもんねー。そういえば大学生時代に読者モデルやったことあったんじゃなかったっけ?」

「あー、大学の女友達にどうしてもって言われて1回だけねー」


 その友達は私の恥ずかしいポーズを決めた写真が掲載された雑誌を大量に買って、あちこちに布教しようとして大変だった。

 なんかちょっと百合っぽい子だったけど、今は元気にしているだろうか……。


 そんな会話をしつつ着替えも終わり、更衣室からトレーニングルームに向かう。

 すると、出てすぐのところでモッチーが壁に寄りかかりながら待ってくれていた。


「お待たせ、モッチー」

「おう、気にすんな。……ジムに来なくても体型を保っているのは流石だな。ただ、過剰なトレーニングで負担が掛かり過ぎないように、今日は体力測定からやろう」


 たしかにいろんな事があった所為せいで、前回ジムに来たのはもう1ヶ月前ぐらいだったしなぁ。

 仕事中も病棟と薬剤部の行き来で結構ハードな階段の上り下りをしているけれど、使わない筋肉は落ちちゃっているかもしれない。


 モッチーは私の体力や体調を考慮して運動のメニューを考えてくれるので、こういう時はすごい頼りになるんだよね。

 宇佐美ちゃんも本格的なコーチングに感心したみたいで、私が始めたランニングを熱心に見学しているみたい。


「ふへっ。立っている時の広背筋こうはいきんも素敵……」

「ちょっ……ふぅっ、はぁっ、そっちィ!?」

「はい、しーちゃん集中してー。前よりもペース落ちてんぞ」

「あぁっ、私もドSなインストラクターさんに指導されたいですっ」


 ――この変態はいったい何を見学しているのっ!?








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