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青き炎のヴァリアント  作者: シベリウスP
39/70

38 魔竜の覚醒

『貪食のグーラ』と激闘を続けるロザリア。そのころ、王都を無血で制圧したティムールは、ホルンの女王即位を宣言する。その知らせに激怒したザッハークは、王国最優秀の将軍を出撃させた。

ロザリアとグーラの決着は? そして戦いの行方は?

『七つの枝の聖騎士団』編、ヒートアップ!

【主な登場人物】


 ♡ホルン・ファランドール…『死の槍』と『アルベドの剣』を持ち、辺境で名を上げた女槍遣い。前国王の娘で王国の現状に改革を志す。翠の瞳と銀の髪を持つ。26歳。


 ♧コドラン…シュバルツドラゴンのこどもで、生き別れになった母を探すためにホルンとともに旅をしていた。小さいが気が利く、ホルンの良き仲間である。15歳程度。


 ♤ザール・ジュエル…“東方の藩屏”トルクスタン侯国の世子で『白髪のザール』の異名を持つ。ホルンとともに王国の改革を志す。白髪に緋色の瞳を持つ。23歳。


 ♡リディア・カルディナーレ…ザールの幼馴染でジーク・オーガの王女。接近戦では無双の強さを誇る。額に角を持ち、茶色の髪に茶色の瞳をしている。21歳。


 ♤ジュチ・ボルジギン…ザールの幼馴染で『この世で最も高貴な一族』であるハイエルフの首領の息子。頭脳明晰で魔力に長けるがチャラい。金髪碧眼の美青年。23歳。


 ♡ロザリア・ロンバルディア…ザールに一目ぼれして仲間に加わった魔族の女性。冷静冷血で魔術に長けている。黒髪と黒曜石のような瞳を持つ。21歳。


 ♧ガイ・フォルクス…26年前にスケルトン軍団から国を滅ぼされたアクアロイドの王族。頭脳明晰で冷酷非情だが仇討に協力したホルンに恩義を感じている。29歳。


★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★


「私はもう魔族のロザリアではない。ドラゴニュート氏族のロザリアじゃ」


 グーラは、さらに空気が加速してロザリアの周辺で渦を巻くのを見た。そしてロザリアの紫紺の瞳と目が合うと、驚愕したようにのけぞってつぶやく。


「り、竜眼……」


 ロザリアの左目は竜眼と化していた。そして、右は黒髪、左は白髪と真ん中から綺麗にツートンカラーになった長い髪は、収束する風にあおられてふわりと広がっていた。


「そなたの力が私を圧倒するよりも、私の血が覚醒する方が早かったようじゃの」


 ロザリアは薄く笑ってそうつぶやくと、ゆっくりと両手を広げていった。


「くそっ、負けるものか」


 グーラはそう言うと、左手をロザリアに向けて『次元の幻影』を解き放とうとしたが、


 バシュンッ!

「おうっ!」


 ロザリアの『魔女の槌(ウィッチストライク)』によってその左手は爆散した。


「無駄じゃ、静かにせい。『魔竜の監獄(ドラゴンプリズン)』!」

「あっ!」


 グーラは、自らの身体を無数の固い鱗が覆い、自由を奪われてたじろいだ。

 そしてロザリアは、左目の竜眼で立ちすくんでしまった執事人形を睨むと、そちらに右手を向けて魔力を開放した。


「グーラ、そなたの依り代たる『エランドールのグーラミ』は消滅させてもらうぞ、『破壊の深淵(シュバルツシルド)』!」


 すると、執事人形はビクンと身体を震わせると、ゆっくりと右手を上げてグーラの方に歩み寄りながら、


「イヤ、ワタシハマダヤルコトガアルノ……」


 そう、妙にエコーがかかった声で言う。その身体はまるで崩れ落ちる宮殿のように、ゆっくりと胴体の中心に向かって歪みながら潰れていく。


「セバスちゃん!」


 グーラが髪の毛を無数の毒蛇へと変化させて叫ぶ。それらは鎌首を上げてロザリアを威嚇しているが、いかんせん本体が動けない。


「ワタシハミンナヲ助けなければいけないのに……」


 中心に向かって潰れていく身体を引きずるようにして歩いていた執事人形は、その赤いガラスのような目玉が外れ、それとともに本来の少女グーラの姿に戻って言う。


「わたしの能力ちからを信じてくださった方のために……」


 少女グーラの身体はもうほとんどが歪みと共に漆黒の空間に潰れて落ちてしまっている。けれど、少女グーラは最後の力を振り絞って言った。


「メ、女神アルベド様ノ御名ノモトニ……」

「セバスちゃん!」


 そして、少女グーラは一瞬にして目に見えぬほどの『事象の地平面』に引きずり込まれ、その姿を永遠に消した。

 その一部始終を茫然と眺めていたグーラに、ロザリアは冷え冷えとした声で言う。


「そなたの依り代……というより本体は消滅した。そなたも捕らわれた存在を解き放ち、プロトバハムート様のもとに戻ったらどうじゃ?」

「くっくっくっ……」


 しかし、グーラは顔を伏せて、肩を小刻みに震わせて笑っていたが、やがて大声で笑いだした。


「あーっはっはっはっ!」


 ロザリアは、冷えた目でそんなグーラを眺めていたが、グーラの身体から最初とは比較にならないほどの『魔力の揺らぎ』が噴き出ていることを見て取ると、静かにつぶやいた。


「ふむ、なかなかに手の焼ける存在になりそうじゃのう……」


 そしてロザリアは、両手を胸の前で組んで、グーラを目を細めて見つめる。視線の先ではグーラが哄笑するたび、彼女を縛り付けている『竜の鱗』が剥がれ落ちていく。どうやらグーラもその持てる力を全開まで持って行くらしい。


「ふん、ドラゴニュート氏族の血が何だい? そんなもの、わたしが滅ぼしてやる!」

 ズドドン!


 グーラは、地獄の業火のような炎を上げて、火山の爆発のような爆炎を上げた。物凄い轟音とともに、高温の爆風が辺りを薙ぎ払う。

 しかし、ロザリアはその爆風の中でも瞬き一つせず、グーラの変貌を眺めていた。


「わたしは、すべてを滅ぼす! 女神アルベド様の御名のもとに!」


 ロザリアの前には、身長50ヤードにも及ぶ巨大なサラマンダーが、炎を上げながら立ち上がっていた。


「……女神アルベドの血を飲んだ魔族のなれの果てか……もともとそなたの心は憎悪と恐怖と、そして復讐が支配していたようじゃな」


 ロザリアは身じろぎもせず、静かにそう言った。


   ★ ★ ★ ★ ★


「見て、ジュチ。奴らが!」


 『半実体』のインヴィディア、スーペヴィア、アヴァリティアに囲まれていた中で、リディアが突然そう言って指さす。一緒にいたジュチとガイが視線を動かすと、ゆらゆらと陽炎のように消えて行くインヴィディアたちの姿が見えた。


「……消えたな」


 ガイが言うと、リディアもうなずいて


「消えちゃったね。どういうことだろう?」


 そう言ってジュチを見る。

 ジュチは、細い顎を形のいい指でつまみながら何かを考えていたが、やがて碧眼をリディアとガイに向けて言った。


「考えられることは三つある。一つは、ロザリアがグーラを倒したというパターン、二つ目はロザリアがグーラに倒されたというパターンだ」

「残りの一つは?」


 ガイが訊くと、ジュチは首を振って答えた。


「一番厄介なパターンだが、ロザリアの勝敗はともかくとして、グーラの魔力が暴走し始めたというパターンだ」

「ふむ……」


 ガイはそれを聞くと、目を閉じて身体中のヒレを広げた。彼のヒレは戦闘時の武器としてや水中での方向保持に役立つだけではない。空間のわずかな振動や歪みを敏感に感じ取ることができるのだ。


「……ロザリアの『魔力の揺らぎ』がかすかに感じられる。どうやらグーラと共に別次元の空間で戦っているらしいな」


 ガイは、深い海の色をした瞳を持つ切れ長の目を細めて言う。


「では、グーラの魔力が暴走しているのだな。ロザリアがいる空間が『23次元空間』でなければ、ボクたちも吹っ飛ばされていたかもしれないな」


 ジュチも金の前髪を人差し指でいじりながら言う。


「なんでロザリアがいるのが『23次元空間』って分かるのさ? あれはジュチにしかできない空間操作じゃないの?」


 リディアが驚いて言うと、ジュチは肩をすくめて答える。


「買いかぶっていただいて恐縮だが、ボクたち高貴で有能なハイエルフの他にも、たまにいるんだよ。特別に神に愛されし者がね? ロザリアとグーラの『魔力の揺らぎ』を見ていると、その揺らぎの屈折の度合いが『11次元空間』とは違うからね」


 そして、リディアに聞こえないように心の中で思った。


――ふむ、ロザリアに『空間術式М』を授けたのは、おそらくゾフィーとか言うあの魔族の女に違いない。けれど、あの女性はただの魔族ではない。ドラゴニュート氏族の血も混じっていないようだし、何者だろうか?


「とにかく、別次元で戦っているのなら私たちにできることはないということか?」


 ガイが静かな闘志を湛えて訊いてくる。

 ジュチは静かに笑って言った。


「まあ、必要な時には加勢ができないこともないからね。それまでゆっくりと体を休めながら、今後の方途を考えておかねばならないだろうね」



「ヤズドの町にいる敵の5千は動かないようですね」


 ナーイードの町にティムールが到着すると、ガルムはそう言ってニヤリと笑う。ティムールはその笑顔の言わんとするところを読み取って笑った。


「イスファハーンはわが手にあり、というわけだな?」


 そして、参謀として左右に控える二人に訊く。


「クビライ、スブタイ、イスファハーンの防御態勢はどうなっているかな?」


 それに、クビライが笑って答えた。


「イスファハーンの防衛隊は、『七つの枝の聖騎士団』にその防御を任せて首都を退去しています。人民たちは近くのザッリンシャーやコムシェに避難しているようですし、軍団はグロス山脈の向こう側まで移動しているようです」

「ヤズドの町にいる敵将には、町を動かなければ兵士たちの命は保証するという条件で話し合いが成立しています。剣に基づく誓いですので、敵将も守ることでしょう」


 スブタイもそう言って笑う。それを聞いてティムールは少し考えた後、


「ここの守備はスブタイに任せる。本隊はクーパイまで進出する」


 そう言った後、ガルムを見つめて


「義勇軍は、すまないがイスファハーンのすぐそば、ベヘシュティーまで進出し、王都を守っていただけないかな?」


 そう言うと、ガルムは左目を輝かせてうなずいた。


 ティムールは抜け目がなかった。

 東の入口に当たるナーイードの町をスブタイの5千で守らせると、自らはジェルメ、ポロクル、クビライを率いて3万5千でクーパイに進出した。ここからイスファハーンまではわずか50キロである。


 そして、ガルム率いる義勇軍1万5千を王都を指呼の間に臨むベヘシュティーまで進出させた。ガルムの報告ではクビライの情報どおり、王都には人の姿は見えず、ましてやそこを守っていた第1軍管区の各軍団の姿も全く見ることができないという。


「……ザッハークが遷都したというのはまことじゃったか」


 ティムールはそう言うと、ここで大胆な手を打った。

 彼は、遊撃軍の指揮を臨時に執っている『神聖生誕教団騎士団』の団長、シャロンに、


「シャロン殿、遊撃軍にはイスファハーンに駐屯していただけないか?」


 と話を持ち掛けた。

 シャロンは、副将として座っているヘパイストスと顔を見合わせた。ヘパイストスは遊撃軍参謀としてホルンたちがいない間相談役に任じられたゾフィーやピール、ゴードン、サラーフの顔を見る。ゾフィーがすぐに答えた。


「受けるべきじゃと思うぞ。ティムール殿には何か秘策があるようじゃからのう」


 そこでシャロンはうなずいて言う。


「分かりました。わが遊撃軍は王都に駐屯しましょう」


 それに続いて、ゾフィーがニヤニヤしながら口を挟んだ。


「シャロン殿を影武者にするおつもりじゃろう? 違うかの、ティムール殿」


 するとティムールは石色の瞳を持つ目を細めて言う。


「そのようなことは大声で言われては困るのじゃよ、ゾフィー殿」


 ティムールはゾフィーがどのような女性なのかよく知っていた。もちろん、それは『トリスタン侯国公認筆頭魔導士』と言うことでであったが、彼女の知識や人柄に敬意をもって接していたのは事実である。

 ゾフィーはゾフィーで、ティムールと言う古豪の戦士に対して、それまでの実績や人となりからかなり気に入っていたようである。


「ふふっ、悪いことをしたのう。けれど安心せい、そなたの計画を潰すようなへまはせぬつもりじゃ」


 ゾフィーはそう言うと、きょとんとしているシャロンに笑って言った。


「さて、指揮官代理殿、イスファハーンに参ろうではないか」



 そして、ティムールは遊撃軍が王都イスファハーンに駐屯すると、ザールの名のもとに国の東側に向けて次のような大胆な布告を飛ばした。


『ホルン王女様は、イスファハーンにおいて正統の王位を引き継ぎ、ホルン2世として即位なされた。各州知事、指揮官は女王の名のもと、東方軍司令官たるサーム・ジュエルの指揮下に入れ』


 その布告を見て、シャロンが血相を変えてゾフィーのもとにやって来た。


「ゾフィー殿はいらっしゃいますか?」


 宮殿の周りには、北から右回りにホルン隊、ザール隊、リディア隊、ヘパイストス隊、『神聖生誕教団騎士団』、ロザリア隊、ジュチ隊が布陣していた。けれど、なぜかゾフィーはシャロンに対し、


「シャロン殿はオリザ殿と共に宮殿内に司令部を置かれたがよい」


 と言い、強引にシャロンを宮殿に入れたのである。

 それとともに、オリザとフランソワーズ・マルシャン、ジャンヌ・マルクも宮殿へと居場所を構えることになった。

 シャロンは、最初その狙いが分からなかったのだが、ザール・ジュエルの名で出された布告を見て、ゾフィーの


「シャロン殿を影武者にするおつもりじゃろう?」


 と言う言葉を思い出し、自分がホルンの影武者になったことを知ったのだ。


「おお、シャロン殿、おとなしく宮殿にいてもらわないと困るのじゃが」


 近侍の者の報告を受けたゾフィーがそう言いながら幕舎から出てくる。


「私が王女様の代わりとは、どういうことですか?」


 シャロンは単刀直入に訊く。ゾフィーも簡潔に答えた。


「女王が必要じゃからじゃ。シャロン殿は王女様に似ておるからのう」

「私は一介の司教で、騎士です。女王様の代わりなどとても務まりません」


 シャロンの言葉に、ゾフィーはくくっと笑って言った。


「まあ、宮殿に戻りましょう。委細はそこで話して聞かせる故」



「どういうことか、納得のいく説明をお願いします」


 シャロンは王宮に戻ると、ゾフィーをソファに座らせ、自らもその前に座って言う。

 そのシャロンは『神聖生誕教団騎士団』の指揮官に相応しく、銀の甲冑に赤いマントを着て長剣を腰に佩いている。けれど、この軍装は自分の騎士団とゾフィーの天幕を訪れるために着込んだものであり、宮殿に入れられてからは薄い空色のドレスに長剣を佩くだけの格好をさせられていたのである。

 ゾフィーはニコニコしながら口を開く。


「王都に王女様が率いる軍団が到着したのじゃ。もしここに王女様がおられたならば、まず何をすべきかのう?」

「ザッハークがダマ・シスカスに逃げているのです。急ぎ軍団を再編成して、バビロンを取る作戦を展開すべきなのでは?」


 シャロンが答える。ゾフィーは優しい顔でシャロンを見つめていたが、くっと笑って言った。


「いやすまん、笑ってしもうて。シャロン殿は根っから武人じゃな」


 シャロンは気分を害したように言う。


「どうせ私は魔術と戦いにしか興味はございませんよ」


 そう言うシャロンに、ゾフィーは真剣な顔に戻って言う。


「よいかシャロン殿、イスファハーンはただの都市ではない。このファールス王国の歴代国王が鎮座し、ここから国は生まれたとの神話や歴史に満ちた場所じゃ。我らは単に一つの都市を取り戻したのではない、そのことを考えるべきなのじゃ」


 シャロンはうなずく。


「王都を奪還したということは、単なる軍事的成果だけではない、政治的な成果でもあるのじゃ。それも戦いもなく、無血でわが手に落ちた、このことを政治的に利用しない手はあるまい」

「どういうことでしょう?」


 シャロンが訊くと、ゾフィーは14・5歳にしか見えないその顔をずいっと近づけて、シャロンの碧眼を覗き込むようにして言う。


「分からぬか? 王都は王が住まうべき場所、それを無血で手に入れたということは、ホルン王女にこの国を治めよとの神意があるということになる。また、歴史的・政治的に重要なこの都市を見捨てたザッハークには、もはやこの国を治めよとの神意がないことを同時に主張できるのじゃ。そのことで民衆の王女様への正統性の信ぴょう性と期待は増し、神意だけでなく民意まで味方につけることができる。うまくすればダマ・シスカスまで王国の軍団とは戦わずに済むかもしれないのじゃ」


 ゾフィーの言葉に、シャロンは


「なるほど、確かに人々はそう思うでしょうね」


 と言う。ゾフィーはそんなシャロンに教えるようにさらに続けて言う。


「そんな場所に王女様が入られたのじゃ。女王として即位し、民心を新たにしてザッハークを追い詰めるような政治的パフォーマンスが必要不可欠じゃ。いや、それをしなければ民心は動揺し、今後の戦いの帰趨にも関わってくるのじゃ」

「けれど、王女様は今、『七つの枝の聖騎士団』と戦われている最中ですが……」


 シャロンの言葉を、にっこりと笑ってゾフィーが遮る。


「だからシャロン殿の出番なのじゃ。早く布告をしたがいい。しかし肝心の姫様は敵と交戦中……便々と日を送れば、民衆も疑いだす。だから影武者が必要なのじゃ。なに、民衆に顔をまじまじと観察させてやる必要もない。ただ、『そこに姫様がおるぞ!』と民衆に見せてやればよいのじゃ。さすれば民衆を落ち着かせることができるはずなのじゃ」

「姫様の即位の必要性は分かります。けれど私でなくても……」


 シャロンが言うと、ゾフィーは首を振って言う。


「いや、シャロン殿は年恰好も王女様とよく似て居るし、何より顔が王女様に似ておる。強いて違いを言えば、王女様の瞳は翠色で、髪は銀であるくらいじゃ。そこでティムール殿はさっき申した政治的成果を最大限活用すべく、この布告を出したと思われる」


 そして、ゾフィーはいたずらっぽい目をしてシャロンに言った。


「まあ、シャロン殿は後々アルベドとの戦いで活躍してもらわんといかん。それに対するご褒美と思うとよい。文字どおり『お姫様扱い』されることはそうそうないと思うぞ?」


   ★ ★ ★ ★ ★


「何ッ! 遂に元用心棒風情が国王を称したか!」


 ダマ・シスカスで『女王ホルン2世』の即位を聞いたザッハークは、そう顔を真っ赤にして激怒した。


「まあ、そうお怒りにならないでください陛下。相手はまだイスファハーンに駐屯しており、王国の東半分を完全には手に入れてはいないはずです」


 ザッハークの片腕ともいえる重臣、政策参与のティラノスがそう静かに言うと、冷ややかな声で献策する。


「ホルンと前国王のつながりは証明されたわけではございません。民心がホルンに傾く前に、イスファハーンに向けて大軍を発向するとともに、国の東にいる州知事や軍司令官たちに勅書をお送りいただければ、ホルンたちをグロス山脈の向こう側に閉じ込めておけます。それにとどめを刺すのは『七つの枝の聖騎士団』やパラドキシアの『魔軍団』です」


 怜悧で静かなティラノスの声は、ザッハークの恐怖から来る激情を静めるのに効果的だった。ザッハークはうなずくとティラノスに命令する。


「分かった、そちの思うとおりにせよ」

「はっ!」


 ティラノスはザッハークの命令を受けると、すぐにファールス王国当代随一と言われる驃騎将軍イリオン・マムルークを呼び出した。

 イリオンは召しを受けてすぐに行政府へと出頭する。ティラノスはそんなイリオンに対し、静かな声で話しかけた。


「驃騎将軍、そなたの知るとおり、今我が国は未曽有の国難に陥っている。東では王国の藩屏たるべきサームが、あろうことか女用心棒風情を前国王の娘と称して担ぎ上げ、陛下に反乱を起こした。そのことは耳に入っていよう」


 ティラノスの言葉に、イリオンは若々しい顔を上げて答える。


「参与殿、そのことは私も気になり、いろいろと調べてみました。そして、ホルン・ファランドールという用心棒は先の『王の牙』であるデューン・ファランドールの遺愛の槍を持っていること、……さらに……」


 そこでイリオンはティラノスの目を睨みつけて吐き出すように言った。


「さらに、ホルンは王家の神剣『アルベドの剣』を所持しているということも分かりました。私はホルンにまつわる王家との関係は、噂どおりであると考えています。なぜ、陛下はホルンの存在が分かった時に、ホルンに王位を譲られなかったのでしょうか?」


 ティラノスが答えられないでいると、イリオンは静かな声に戻って言う。


「ホルンにはその武力と慈愛を讃える声はあっても、悪い噂はありません……」


 そして、その目に力を込めて断言する。


「自らの境遇に満足し、辺境の人々の役に立つことを喜びとしていたようです。そのようなホルンに王位を譲ると持ち掛けても、当時なら彼女はそれを断ったかも知れませんし、陛下には世継ぎがおられないので、彼女を世継ぎとして育てると言う手もあったはずです。さすれば陛下を簒奪者として非難する声も鎮まったかも知れません」


 ティラノスは目を閉じて聞いていたが、一つうなずいて言った。


「確かにそなたの言うとおりだ。そのようにしておれば、ことはここまで大きくならなかったかもしれぬ。しかし、我が陛下とホルンとの間には、一つ大きな障壁があるため、陛下はそのような策をお取りにならなかったのだ」

「その障壁とは? 国民に難儀することを甘受せしめるに十分な理由でしょうか?」


 イリオンが訊くと、ティラノスは厳かにうなずく。


「うむ、それはこの国の根幹に関わることなのだ。今その理由はそなたに話すことができないが、ホルン……というよりもトルクスタン候サームと陛下とは、そこで大きく考えが違っている。だからホルンとは宥和的な話し合いができなかったのだ」


 それを聞いて、イリオンは頭を下げて言う。


「……陛下個人のご都合でこの兵乱が起こったのでなければ、私は陛下の将軍ですからいずこへなりとも出陣いたします」


 それを聞いて、ティラノスはホッとしたように命令を下した。


「ホルンたちにグロス山脈を越えさせてはならぬ。兵力は好きなだけ連れて行って良いから、『肥沃な三角地帯』を守り、機を見てトルクスタン候国を叩き潰せ」


 イリオンは顔を上げて訊く。


「私の考えで進めてよいでしょうか?」


 ティラノスは笑って答える。


「命を受けた将は君命に拘らずという。ましてやそなたはこの国では次席の将軍、臨機応変にかかり給え」


 それを聞いて、イリオンはニコリと笑ってうなずくと、


「では、すぐに出陣いたします」


 そう言って宮殿を辞した。



 イリオンは、翌日、第13軍団だけを引き連れてダマ・シスカスを発向した。


「反乱軍は7万という。それにアクアロイドの7万を加えても15万弱。バビロンには第1軍支隊、第6軍、第7軍の計10個軍団20万を配置しており、そしてバスラには第53軍団と第131軍団、そして守備部隊の約5万がいる。バビロンの第15軍団、第16軍団とこの第13軍団はバスラに送り、バスラを5個軍団約11万で、バビロンを8個軍団16万で守る態勢を敵に見せつけよう」


 イリオンの言葉に、幕僚は首をかしげた。


「陛下からは反乱軍をグロス山脈の東側で押さえよとの命令ではないですか? 命令書にもそのように書いてありますが」


 イリオンは笑って答えた。


「グロス山脈は高い山々が連なり、山越えの道も大きくはない。こちらから出かけて行っても得るところは少ない。敵の場合は、反乱の勝利を確実にするためにはぜひともグロス山脈を越えねばならない。相手が険峻な山道を越えて平地に出たところで叩く。『逸を以て労を待つ』作戦で行こうと思っているのだ。そのために政策参与殿からは『閫外こんがいの将は君命を待たず』の確約をいただいて来た」


 しかし、イリオンがバビロンに着くと、想定していなかった出来事により彼の計画は根底から狂うことになった。


「何だ、この道の悪さは。ここの州知事たちは定期的な整備を怠っていたのか?」


 イリオンは、バビロン周辺……いや、『肥沃な三角地帯』全体を網の目のように覆う道路の大部分が、あるいは水没し、あるいは泥まみれになっているのを見てそうつぶやいた。そのため、バビロンに入った彼は最初に州知事をそのことで詰問した。


 しかし、州知事が言うには、昨年は干ばつで各地の道路を整備するための人夫を所要の数の半分も集められず、今年は年頭から大雨や洪水が続いたため、整備不良の道路は天災に痛めつけられてさらにひどい状況になっているとのことだった。


「バビロンとバスラ、バビロンとダマ・シスカスを結ぶ幹線道路はどうにか整備を進めていますが、食料をはじめとした各種資材の運送が滞っているため、他の道路については整備が追い付いていないのです」

「むむ、天災が重なったのであれば致し方ない」


 イリオンはそう言うと、幕僚に『肥沃な三角地帯』の状況を検分させるとともに、アクアロイド艦隊の状況やホルン隊の状況について、その情報収集に力を注いだ。


「バスラとスルタン島には名提督のテゲトフ殿が、バンダ・アッバースには同じくケッペル提督がいる。ホルム海峡を簡単に突破されることはないだろうな」


 イリオンはそう言うと、『肥沃な三角地帯』の状況や道路状況、物資の集積状況から、当初の計画を破棄し、


「バスラの護りは当初のとおり第53軍団と第131軍団、そして守備部隊の約5万に任せよう。バビロンには第15軍団と第16軍団、第6軍、第7軍の計10個軍団20万を配置して、第13軍団には悪いが前進兵団としてアフワーズに駐屯してもらおう」


 そう言って、『反乱軍』への備えを完了させた。


   ★ ★ ★ ★ ★


 ズドドン!


 グーラは、地獄の業火のような炎を上げて、火山の爆発のような爆炎を上げた。物凄い轟音とともに、高温の爆風が辺りを薙ぎ払う。


「ふん、ドラゴニュート氏族の血が何だい? そんなもの、わたしが滅ぼしてやる!」


 そう毒づくグーラに、ロザリアは爆風の中でも瞬き一つせず、グーラが変わっていく様を眺めていた。


「わたしは、すべてを滅ぼす! 女神アルベド様の御名のもとに!」


 ロザリアの前には、身長50ヤードにも及ぶ巨大なサラマンダーが、炎を上げながら立ち上がっていた。


「……女神アルベドの血を飲んだ魔族のなれの果てか……もともとそなたの心は憎悪と恐怖と、そして復讐が支配していたようじゃな」


 ロザリアは身じろぎもせず、静かにそう言った。


「女神アルベド様が造られた最初でかつ最高の自律的魔人形エランドール、グーラミは素晴らしい出来だったのよ。わたしは人形遣いとしてグーラミのような相棒がほしかった。そのために、さまざまな自動人形オートマタを造ったわ。そしてそれらのいくつかは時の国王陛下も興味を持たれたわ」


 グーラは、赤い目を光らせながら言う。ロザリアは記憶の中から思い出したことをうなずいて口にした。


「なるほど、『人形の好事家』と呼ばれたハッサン2世のことじゃな? 今から200年は昔のことじゃが……とするとそなたはもともと、人形魔術師として有名だった魔族のアイリス・エーラーンじゃな?」

「ふふ、そう呼ばれていた時もあったわね。けれど、わたしは自動人形オートマタでは物足りなかった。人形は人間の友であり、伴侶でなければならない。そのためには人形自体が意思を持たねばならない……その方法をわたしは生涯をかけて探し、そして……」


 遠い目をして話していたグーラは、ふっと笑ってロザリアを見て言う。


「遂にわたしは、女神アルベド様から『グーラミ』を授けられたのよ。そしてわたしの命が尽きるとき、女神との約束どおりわたしは自分の魂を『グーラミ』に込めていただいたの、永遠に生きるために」

「それがさっきまでいた執事人形のことじゃな? 魔法や術式の秘密を追い求める気持ちは分からんでもないが、神の持ち物を手に入れることはたとえ魔族でも自らの大事なものを犠牲にすることになる。そなたは神の秘密の代償として、そなた自身の行き場を失くしてしまったのじゃ」


 竜眼を光らせて言うロザリアに、グーラは皮肉そうに言った。


「もう何も話すことはないよ。このサラマンダーがわたし()()の本体さ。あんたの本体もすぐに晒してあげるわよ」


 そしてグーラは、ファイアブレスをロザリアに向けて放った。しかし、ロザリアは


「サラマンダーごときがドラゴンに敵うと思うか? 『守護の翼(ドラゴンケッセル)!』」


 そう言うと、背後から現れた巨大な竜の翼がロザリアをすっぽりと包み込んだ。グーラのファイアブレスは影のような翼に阻まれてロザリアに届かなかった。


「これならどうだい!」


 グーラは、巨大な尾をロザリアに叩きつけた。


 グワンッ!


 激しい音がしたが、その打撃はやはり『守護の翼(ドラゴンケッセル)』の守りを抜くことは出来なかった。ロザリアは影のような翼に護られて、グーラの攻撃を鋭い目で注視している。


「物理攻撃だけではつまらんのう。せっかくそれだけの魔力があるのじゃ、魔法攻撃で攻めて来んか?」


 ロザリアが言うと、グーラは


「では、そうしちゃうね~」


 そう言うと、なんとくりくりとした目とフワフワの髪の毛を持つ140センチくらいの少女が、サラマンダーの『魔力の揺らぎ』から姿を現した。パステルカラーのワンピースも最初着ていた物のままである。


「ふふ、あなたはだんちょーさんみたいに強いし、面白いわ。ぜひともわたしの砂糖菓子にして食べてあげるね?」


 グーラはそう言うとパチンと指を鳴らした。とたんにグーラの姿が何人にも分かれた。


――ふむ、アヴァリティアの姿の時に使った『未観察の幻影(シュレディンガーの猫)』とか言う技じゃな。しかしこれは目くらましだけ、止めをさせるほどの技と併用してこそ意味があるものじゃが?


「じゃあ行くよ~」


 のんびりした声でグーラが言うと、幻影たちはその声とはかけ離れた素早さでロザリアに迫って来た。


「止まれっ!……何ッ⁉」


 ロザリアは『守護の翼(ドラゴンケッセル)』を解くと、間髪入れずに『魔女の雷鳴(クライストップ)』を周囲に放った。その凄まじい『魔力の揺らぎ』は、突進してくるグーラの幻影を一つ残らず消滅させたが、斜め後ろからサラマンダーが大きな口を開けて覆いかぶさってくるのは防げなかった。


「ぐっ!」

「やったぁ!」


 グーラは、ロザリアがサラマンダーの鋭い牙でズタズタにされ、飲み込まれたと思って歓声を上げる。

 しかし、ロザリアの魔力がまだサラマンダーの外にあることを感じたグーラは舌打ちして言った。


「ちっ、止めを刺しきれなかったみたいねェ~」


 その言葉に応えるかのように、ロザリアの術式が炸裂する。


「食らえっ! 『破壊の深淵(シュバルツシルド)』!」


 そうロザリアの声が聞こえたと思うと、


「グエエッ!」


 サラマンダーの腹部がぐにゃりと歪み、その中心に向かって崩壊するように身体が崩壊してゆく。強力な重力場を対象の内部に創り出し、対象を内側から破壊する術式に、巨大なサラマンダーといえどもなすすべもなく消滅した。



「手を変え品を変え攻撃を躱すなんて、つくづく厄介な存在よね、あなたって」


 グーラは、20ヤードほど離れて突っ立っているロザリアに、憎々しげにそう言った。

 ロザリアは、左手をグーラに向けたまま、紫紺の瞳を持つ目を細めている。その白いワンピースの右側は、食いちぎられた右腕の付け根から噴出した血で赤く染まっていた。


「手を変え品を変え蘇ってくるそなたには言われたくない言葉じゃのう」


 ロザリアの言葉に、グーラはくくっと笑って言う。


「まあ、あなたの毒を食らわされたのなら、サラマンダーちゃんも長くはもたなかったかもね? でも、わたしにはその毒、効かないかもよ?」

「そうかもな……『魔竜の監獄(ドラゴンプリズン)』!」


 ロザリアの魔力の開放とともに、グーラにドラゴンの鱗が一斉にまとわりつく。しかし、その鱗たちはグーラのいた場所の足元に転がり落ちた。

 ロザリアは、その結果を見る前に、後ろへと跳んで立ち位置を変える。ロザリアがいた場所に寸分違わず、剣を持った木偶が地面から立ち上がった。


「そんな攻撃は効かないわよぉ~」


 どこからか聞こえるグーラの声に反応したかのように、地面から次々と武器を持った木偶が姿を現す。たちまちロザリアは何十体という木偶に囲まれてしまった。


「やれやれ、最初の立ち合いに逆戻りか。今までは小手調べじゃったというワケじゃな」


 ロザリアが言うと、グーラは何十人という幻影と共に現れて言った。


「そうでもないよ? だってあなたはセバスちゃんやゴーレムくん、それにサラマンダーちゃんを倒しているじゃない?」


 ロザリアの目の前にいるグーラがそう言うと、今度は真後ろにいるグーラが


「でも、誰も倒せなかったセバスちゃんたちを、よく3体とも倒したわねぇ。その点は感心しちゃうわぁ」


 そう言って微笑む。そして次に左側にいるグーラが、憎々しげに顔を歪ませて言った。


「……感心はするけれど、わたしの大事なものを壊したあなたは許せないよ。最初に砂糖菓子を食べられなくしてくれたしね? だから……」


 ロザリアは身構えもせずに目をつぶった。グーラは想像の何倍も強い、そして厄介だ。右腕を失った今の自分でグーラとまともな勝負をするとしたら、それはドラゴンの血の完全覚醒に賭けるしかないと考えたのだ。


「だから、死ねっ! 『手作りお菓子(スピリットリメイク)』」


 右側のグーラがそう叫ぶとともに、木偶たちが一斉に攻撃してきた。


「裂けろっ!」


 ロザリアは『魔女の雷鳴(クライストップ)』を使うと同時に右足で上に跳んだ。ロザリアの足の下では紫色の『魔力の揺らぎ』が木偶たちを薙ぎ払うところだったが、


「やっぱり上に跳んできたね」


 ロザリアは、ニヤニヤ顔のグーラたちに囲まれていた。グーラたちは隣り合った互いの手に光る糸のような『魔力の揺らぎ』を展開してロザリアに迫ってくる。


――くっ、どれかの幻影が本体になる『未観測の幻影(シュレディンガーの猫)』とは違うのか!


 ロザリアはそう思って、空間で左脚を踏み出してさらに上へと加速する。ロザリアの足の下でグーラたちが交錯した。


「がっ⁉」


 ロザリアは左脚に鋭い痛みを感じた。見てみると、左足首から下がグーラたちの『魔力の揺らぎ』によって切断されていた。その左足首は見ているうちに鈍い光に包まれて、粒のようにバラバラになって宙に浮かんでいる。

 グーラは、どこからか紙袋を取り出すと、空間に漂っている光の粒につぶやいた。


「わたしのお菓子、ここに入れ」


 すると、光の粒はグーラの持つ紙袋にひとりでに入って行った。


「くっ、そうやって魔力を砂糖菓子のように変えて、自らの力としていたのか」


 ロザリアは右足で着地すると、無くなった左足首の代わりに紫色の『魔力の揺らぎ』を集めてバランスをとる。

 グーラは、そんなロザリアを横目で見ながら、ニコニコとして紙袋から『砂糖菓子』をつまみ出すと、ポイっと口に含んだ。

 そしてグーラは、にちゃあっとした笑みを浮かべるとロザリアに言う。


「う~ん、あなたの魔力は想像どおり美味しいね。クセになっちゃいそう」


 そして指についた砂糖を舐めとると、紙袋をワンピースのポケットにねじ込み、何十体かに分裂してロザリアを囲み込む。さっきと同じように、隣同士のグーラは『魔力の揺らぎ』による細い糸を握っている。あれに触れたらその部位は切断され、グーラの魔力によって砂糖菓子に変えられてしまう。


「今度はぁ、あなたの全身をお菓子にしてあげるね?」


 ロザリアは自分をぐるりと取り囲んだグーラたちを眺めると、微笑と共に目を閉じた。


――さっきは邪魔されたが、今度は迷わぬ。私のドラゴンの血が目覚めなければ、奴と共に爆散するまで。


 そう考えたのだ。そしてロザリアは呪文を唱え始めた。


「C’est pas triel am jeil’lim L’otel ce combiam, du real Doraconia, doraco. Te’Cel ommbroe sas, trow real ju’lle doraco ist Doraconia……」

「今さら呪文を唱えても遅いよ?」


 グーラは勝ち誇ったように叫ぶと、ロザリアに向けて再び突進を開始した。


「今度は息の根を止めてあげるね、ロザリア・ロンバルディア」


 グーラはそう言いながらぐんぐんとロザリアに迫る。その時、ロザリアの身体から薄紫色の『魔力の揺らぎ』が炎のように立ち込め始めた。


「遅いよ? わたしの『手作りお菓子(スピリットリメイク)』の方が早いよ!」


 その言葉とともに、青く輝き始めたロザリアの身体のあちこちを、グーラの『魔力の糸』が通過した。


   ★ ★ ★ ★ ★


「……おいでなすったようだよ」


 ザールはそう言うと、ゆっくりとモアウから降りて前へと歩き始める。ホルンもモアウから降りてそれに続いた。


「コドラン、もういいわ。降りてきて」


 ホルンは禍々しい『魔力の揺らぎ』を感じ取ると、コドランにそう言った。コドランはおとなしくホルンの肩に止まって、耳元でささやいた。


『今まで感じたことがないくらい強大で、凶悪な魔力だね』


 ホルンは頷いて、


「でも、負けるわけにはいかない」


 そう自分に言い聞かせるように言って、唇をキュッと引き結んだ。


 やがて、陽炎の向こう側に二人の陰が見えた。一人は白髪で身長150センチ足らず、もう一人はそれよりずっと背が高く、赤い髪をしていた。言うまでもない、『怒りのアイラ』と『嘆きのグリーフ』である。


「やあ、時間ぴったりだね。さすがは『白髪の英傑』と『片翼の黒竜』だね」


 アイラはホルンたちを見ると機嫌よくそう言って、チラリとグリーフを見た。グリーフはアイラの視線を受けて笑って言う。


「戦いを始める前に、私たちから提案があるんだけれど、聞いてもらえるかしら?」

「……建設的な提案であれば、聞いてみてもいいわ」


 グリーフはホルンの答えを聞くとニコリと笑い、そしておもむろに真剣な顔になって言った。


「私たちは別に誰が国王であろうと構わない。私たちが望むのは女神アルベド様の復活と降臨であり、女神様の思し召しによる福音を広く世の中に知らしめることだから……」


 グリーフはそこで言葉を切って、アイラの白い秀麗な顔とザールの緋色の瞳を交互に見て続ける。


「ザール殿とアイラが戦えば、どちらかは必ず消滅するわ。予言にもあったでしょ?」


 それを聞いてホルンは少し動揺する。けれどそれを感じ取ったように、ザールが静かな声で言った。


「だったらお互いに妥協できるところを話し合えばいい。けれど、今までの経緯を考えると、それは難しいだろうな。そうだろう、『怒りのアイラ』よ?」


 するとアイラは翠色の瞳をザールに向けて言う。


「君がおとなしく私に倒されてくれれば、それ以上は何も望まないよ?」


 そう静かに言ったが、何が彼女の癇に障ったのか、アイラは突然、瞳の色を緋色にし、白い顔にどす黒いタトゥーのような文様を浮かび上がらせて


「それがイヤなら、ホルンの命ももらう。女神アルベド様も喜ばれるだろうからね」


 そう吐き捨てる。それを見て、ホルンはハッと思い出した。


――アイラの顔に浮かんだ模様、幼いザールの顔に浮かんだものに似ている。

「……面白い、僕におとなしく命を差し出せというワケだな?」


 アイラの殺気に反応して、ザールの左腕から真っ白い『魔力の揺らぎ』が噴き出してくる。その腕はすでに『竜の腕』と化していた。

 ザールの言葉を聞いて、アイラは首を振って言った。


「ちょっと違うな。私が勝ったら、ザール、君は永遠の命を得ることになる。もしも君が勝ったら……そうだね、私がどうなるかは想像つかないけれどね」


 そしてアイラは、ゆっくりと『バルムンク』を抜きながら言った。


「グリーフ、残念だけれどザールの様子を見ていると、どうやら話し合いでは折り合いがつかないようだよ? 半分不本意だけれど、戦わないといけないようだね?」


 それを聞いて、グリーフもため息と共に言った。


「まあ、仕方ないわね。女神アルベド様の思し召しやあなたのこと(団長さんの秘密)を話していいのなら、まだ望みはあったんだろうけれど」


 ホルンも『死の槍』を構え直して言った。


「……戦わなくて済むならそれに越したことはないけれど、その代償がザールの命だというのなら、私はそれに同意は出来ないわ」


 そしてザールも『糸杉の剣』をゆっくりと引き抜いて言った。


「……プロトバハムート様やローエン様が仰っていた、僕の使命というものを果たさないといけないらしい」


 ザールの言葉が終わるとともに、グリーフは『アルベドの剣』を抜いてホルンに襲い掛かり、アイラは『バルムンク』を振りかざしてザールに斬りかかった。


 ギイン!


 ホルンの『死の槍』とグリーフの『アルベドの剣』が火花を散らしてかみ合う。そしてその隣では、


 ガキン!


 ザールの『糸杉の剣』がアイラの『バルムンク』を弾き飛ばしたところだった。ザールはすかさずアイラの胸元に飛び込み、


「やっ!」


 鋭い矢声と共に『糸杉の剣』を振りぬく。意表を突かれていたアイラは、間一髪のところで跳び下がってザールの剣を避けた。


「ふん、さすがだね」


 アイラは『バルムンク』を構え直すと、グリーフに向かって叫んだ。


「このまま四人で戦ったら、この場が大変なことになる。私はザールと別次元で戦うよ」

「分かったわ、健闘を祈ってるわよ、団長さん」


 ホルンの『死の槍』に追い立てられながらも、グリーフはニコリと笑って言う。それを見てアイラはザールに言った。


「ザール、お互いの力が存分に出せる空間へ招待するよ」

「望むところだ」


 ザールも『糸杉の剣』を構えて答えた。

 するとアイラは、急に『バルムンク』を肩に担ぐと、右手の指をパチリと鳴らす。それを合図にしたように、ホルンたちの前からザールたちの姿が消えた。



「ザール!」


 ホルンがそう叫んでザールがいた場所まで跳ぶ。しかしもうそこにはザールの影も形もなく、『魔力の揺らぎ』すら感じることができなかった。


『ホルン、危ない!』


 コドランが叫んでファイアボールを放つ。ホルンはザールが消えた場所に行くと読んでいたグリーフは、20ヤードの距離を跳んでホルンの後ろから斬りかかったのだが、コドランの攻撃を『アルベドの剣』で防いでいる間にホルンに立ち直りを許してしまった。


「我が主たる風よ、わが友たる炎よ、その猛き力をもってわが前に立ちはだかる敵に『Memento Mori(死を思い出さ)』せ、『Et in Archadia Ego(死はどこにでもある)』ことを示したまえ!」


 ホルンはそう呪文を唱え、『死の槍』に風と火のエレメントの力が十分に集まったところで、


「グリーフ、覚悟! 嘆きの下に還れ!」


 と、『片翼の黒竜』となって突きかかった。


「甘いよ、この間も言っただろう? なり損ないのドラゴンでは女神アルベドの娘たる私には勝てないって」


 グリーフはせせら笑うと、左手から攻撃をかけようとしているコドランには


「悲愴の魔弾!」


 と、魔弾攻撃で牽制しつつ、滑るように自分の胸に向かって来ている『死の槍』の60センチにもなる長大な穂先は『アルベドの剣』で弾いた。


 ジャンッ!

「ぐっ⁉」


 しかし、グリーフはそう呻いて口から血を噴き出した。その胸元からは緑青色の『魔力の揺らぎ』をまとった剣の切っ先が突き出ていた。

 ホルンは『死の槍』を投げつけるとともにそこに幻影を映し出してグリーフの注意を引き、自分は後ろから『アルベドの剣』でグリーフの胸を刺し貫いたのだ。


「チッ、味な真似を」


 グリーフはそう言うと、背後にいるホルンが『アルベドの剣』を動かす前に前へと跳んだ。プシュッという音と共に大量の血液が噴き出し、ホルンの視界を赤く染めたが、ホルンもそれで視界を奪われる前に横に跳び、


「わが友たる『スナイドル』よ、わが手に戻れ!」


 そう言って『死の槍』を呼び戻し、30ヤードほど間合いを開けたグリーフを翠色の瞳で見つめた。グリーフはその傷をヒールで塞いだところだった。


「……なかなか面白い攻撃だったわ。でもまだあなたはドラゴンにも女神にもなり切れていないわね?」


 『嘆きのグリーフ』は、赤い髪を揺らしながらそう言って笑う。


「……私は自分の姿を知らなかっただけです。自分が何者であるかを知った今は、自分に課せられた役割を果たし、自らの運命を決定するしかありません」


 『片翼の黒竜(ホルン)』はそう言うと、『死の槍』に祈りをささげた。


「我が主たる風が集い、わが友たる炎が依る『スナイドル』よ、汝は我が良き友として長き夜の訪れのように数多の悪鬼たちに『Memento Mori(死を思い出さ)』せ、おごれる敵にいつも『Et in Archadia Ego(死はどこにでもある)』ことを示してきた……」


 祈りの言葉とともに、『死の槍』の穂先は細かく震え、そして翠色と紅蓮に輝く『魔力の揺らぎ』がその穂先に集い始める。


「いま、私は汝に願う。その能力ちからをもって我が道を示し、わが良き仲間と共に我の戦いを助けんことを!」


 そしてホルンは、十分に力を集めた『死の槍』を、コドランに向けて投げた。


「コドラン、『死の槍』と共に私を助けて!」

『分かった! まっかしといて』


 コドランは、ホルンが何をしたいかを瞬時に理解し、自分目がけて投げられた『死の槍』を空中でつかんだ。

 その途端、『死の槍』に込められた力が解放された。それはコドランを覆いつくすほどのものだった。まばゆい光が辺りを支配し……


「うっ! 何をしたいんだい、『片翼の黒竜(ホルン)』め……うっ⁉」


 やがて、光に目が眩んだグリーフが目を開けた時、そこには10ヤードほどのシュバルツドラゴンに乗った『片翼の黒竜(ホルン)』が、『アルベドの剣』を抜いてこちらを見つめていた。


「前にも言ったわ。半人前でも、私は負けない!」


 すると、ゆっくりと翼を動かしていたシュバルツドラゴンも、


「女神の娘や『片翼の黒竜』を騙る悪魔よ、このブリュンヒルデもホルン様のためにいます。覚悟しておきなさい」


 そう言って、琥珀色の瞳をグリーフに向けた。


   ★ ★ ★ ★ ★


「遅いよ? わたしの『手作りお菓子(スピリットリメイク)』の方が早いよ!」


 その言葉とともに、青く輝き始めたロザリアの身体のあちこちを、グーラの『魔力の糸』が通過した。


「やったぁ!」


 グーラは満面の笑みでそう叫ぶと、ロザリアの方に向き直る。彼女はしっかりとした手ごたえを感じていたのだ。今の一撃でロザリアをバラバラに切り刻んだ自信があった。


「やっぱり!」


 グーラの目の前には、声一つ上げずにバラバラになったロザリアの身体の各部が宙に浮いていた。胴体も、手足も、そして頭部さえも切断されて浮いている。不思議なことにその長い髪の毛は中央からすっぱりと分けたように左側が白髪だったはずだが、今はすべてが漆黒の髪に戻っていた。


「ふっふーん、お菓子にしてあげるね? 『素材の準備(カットミックス)』」


 グーラが右手を上げて言うと、大きな部位として切断されていたロザリアの身体は、まるでみじん切りにされたように細かく切り刻まれた。


「お次はぁ、『素材の調理(ボイルロースト)』よ」


 グーラが上げていた右手をぐるぐる回しながら言う。その魔力によってロザリアの微塵になった身体が丸まっていく。


「仕上げは、『砂糖をまぶす(コーティング)』よ」


 グーラは左手を上げて魔力を開放した。それにより一つ一つの粒が光に包まれて、七色の輝きを見せる。グーラはそれをうっとりと見つめながら、紙袋を取り出して言った。


「わたしのお菓子、ここに入れ」


 すると、宙に浮いていた光の粒は、一つ残らずグーラの紙袋に納まった。


「ふっふーん、ロザリア・ロンバルディアか。あれだけの魔力を持った奴だったんだ。最高級の砂糖菓子になったはずだよ」


 グーラはそう言うと、紙袋から砂糖菓子をひとつかみ取り出し、それを躊躇なく口に放り込んだ。


「うん、最高! こんなに甘くて、口どけがよくて、しかも後味すっきりなお菓子は食べたことがないわぁ。ロザリアをやっつけるのには苦労したけれど、その甲斐はあったなあ……うぐっ⁉」


 グーラはぱくぱくと砂糖菓子を頬張っていたが、急に鼻血が噴き出たので慌てて鼻を押さえる。


「魔力が強すぎるかな?……ぷふぁっ⁉」


 今度は、鼻からだけでなく口からも血を噴き出してむせる。ようやくグーラは、事態がおかしいことに気付いた。


「な、なにこれ……なにこれなにこれ」


 グーラは、鼻からどくどくと噴き出る血と、しゃべるたびに口からあふれる鮮血に染まっていく。両手でその血を受け止めようとしていたため、その手は真っ赤になっていた。

 そこでグーラは、紙袋を逆さにして砂糖菓子をすべて地面へと捨てた。砂糖菓子は物凄い瘴気と共に紫色の『魔力の揺らぎ』を噴き出して消えて行く。

 その時、グーラの脳裏に、


――私は、中和剤が効くような毒には用がないのじゃ。


 というロザリアの言葉が蘇った。グーラは真っ蒼になってつぶやく。


「嘘、ヤダ、この毒には中和剤はないの?」


 その声を聞きつけたかのように、ロザリアの声が響いた。


「言ったじゃろう? 中和できるような毒には用はないと」


 その声に驚いたグーラが振り返ると、10ヤードほど離れた場所に、腕を組んだロザリアが艶めかしい笑みを浮かべて立っていた。そのロザリアを見て、最初グーラは何かが違っていると思ったが、何が違っているのかその時は分からなかった。


「……ロザリア、あなたどうやって……わたしの『手作りお菓子(スピリットリメイク)』でバラバラにしてあげたはずなのに……」


 そう、血を吐きながら言うグーラに、ロザリアはいたずらっぽい目をして答えた。


「何、簡単なことじゃ。知りたければもう一度攻撃してみるがよい」


 そう言われてカッとなったグーラは、三度『手作りお菓子(スピリットリメイク)』を発動する。ロザリアは身動きもせず、突進してくるグーラたちを見つめていたが、


「『魔女の磔刑(ウィッチデコイ)』!」


 そう、魔力を発動した。


「そう言うことね」


 グーラは、自分の『魔力の糸』が切断しているのは、実体を持った、しかし瘴気と魔力で編まれたロザリアの分身であることを知って呻く。本物のロザリアは、囮の実体が編まれるとともに別次元へと姿を消したのだ。


「そう言うことじゃ。そなたがとくとくとして料理し、その口にしたのは私の瘴気と毒……そのままにしておいても1刻(15分)もすればそなたの身体はボロボロになるが……」


 そう、紫紺の瞳で見つめるロザリアを見て、グーラは先ほどからの不思議な感じのわけが分かった。

 まず、ロザリアの髪の毛がすべて白髪になっていたこと。

 そして、失ったはずの右腕と左足が元通りになっており、さらにどう見ても17・8歳に見える、いわば若返っていたのである。


「ぐふっ! それがドラゴニュート氏族の血ってわけね……がはっ!」


 血を吐きながら言うグーラに、ロザリアは微笑んで、


「そのままにしておいてもよいが、私はザール様と同じで慈悲深くてな? そなたには一瞬の死を与えてやる、感謝せい」


 そう言うと、大きく両手を広げた。それとともに、ロザリアの背後に巨大なシュバルツドラゴンがゆらゆらと形を現した。


「ひっ⁉」


 そのドラゴンの持つ圧倒的な力に、グーラが顔を歪めて脅えるが、ロザリアは優しい声でなだめるように言う。


「怖がらんでもよいぞ。痛みも恐怖も一瞬じゃからな」


 そして不意に鋭い顔になると、透き通った声で叫んだ。


「魂はすべてプロトバハムート様のもとに戻るのじゃ! 行け、『破壊の魔竜(シャドウドラゴン)』!」


 ゴオオオオオッ!


 ロザリアの命令を受けると、背後にいた巨大なシュバルツドラゴンは一声、地平にまで届くような咆哮を上げると、紅蓮の炎に似た目でグーラを睨みつけ、


 ガアアッ!


 その恐るべきファイアブレスを放った。


「ぎゃっ! 熱い! あt……」


 グーラは、最後に悲鳴を上げて消えて行った。


「……終わったのう」


 ロザリアがため息とともに言うと、背後のシュバルツドラゴンが静かに語りかけた。


『汝がホルンの魂に繋がっているとはな』


 よく見ると、シュバルツドラゴンはロザリアの髪の毛にシンクロしていた。ロザリアは笑って言う。


「私も想定外じゃったが、お師匠が教えてくれたのじゃ」

『そなたの生涯も、平坦ではなかろうな』


 そう言うシュバルツドラゴンに、ロザリアは明るい顔で言う。


「何をおっしゃるか、プロトバハムート様。私はあなたの知遇を得て、ザール様や姫様を助けられれば幸せじゃ。これまでも平坦な人生ではなかったのじゃ、どれだけ道が険しかろうと大して苦痛ではない」


 ロザリアはそう言うと、『空間術式М』を解いて、ゆっくりと辺りを見回した。


「さて、少し体を休めたら、ザール様たちに加勢をせねばな」


 ロザリアは、こちらに駆けてくるジュチたちが目に入ると、そう笑ってつぶやいた。


(38 魔竜の覚醒 完)

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

『七つの枝の聖騎士団』編も大詰めを迎えようとしています。

次回は、来週日曜日9時〜10時に『39 神話の秘密』を投稿します。

お楽しみに。

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