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鷹と一緒に異世界転生!〜相棒任せの異世界大冒険〜  作者: 貝人
第四章 獣王の統べる国
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第82話 べっべつに怖くないんだからね!


 ファンキー爺いは、蘭になにかを伝えて去っていく。俺はその間もずっと、身を裂かれるような激しい痛みと闘っていた。手は震え、視界もブレる。


 やがて痛みが治る。


「━━ッ! はあはあ、糞ファンキー爺いめ、いつか……いつかぶん殴る!」


「洋一、もう痛みは大丈夫なの?」


「あっああ。なんとかな……」


『創造神様怖過ぎ……!』


 リュイは、俺のポケットから顔を出し震えていた。


「ヨーイチ君も大丈夫そうだし、僕達もそろそろ戻るとするよ」


 ケルトさんから、声をかけられた。


「神殿が建て替わってる件と、謎の砲撃の件とケイナの尻を触った件はいつか、ゆっくりと話そう。そう━━牢屋の中でね」


 ウホニアさんが、笑えない冗談を真顔で言ってきたぞ。いや冗談だよな? 不敬罪で縛り首とかやだぞ? しばらくアバドンには、近付かない様にしよう。


 2人は一度、頭を下げ、神殿からゆっくりと出て行く。


「アーレイは大丈夫か? ごめんな。ファンキー爺いは、頭がいかれてるから加減ができなくてさ」


「━━大丈夫なのじゃ」


 抑揚の無い声で返事をするアーレイ。


「━━粗チンは、魔王の事をどう思ってるのじゃ?」


 不意に投げかけれた疑問、魔王いや堺さんの事か、この世界の人からは良い印象が無くても、堺さんは恩人で、地球ではいつも優しくしてくれた。こっちに来てからも探し出して、俺を助けてくれた。


「なんだろなー。一言で言うなら恩人。でもそれだけじゃなくて、上手く言えないんだけど……ピンチの時に現れて助けてくれる俺のヒーローかな」


「━━ヒーローとはなんじゃ?」


 あーヒーローじゃ伝わらないのか。うーんと


「こっちの世界でわかるように言うなら、救世主かな? 俺、何回も死にかけたんだけどその度、助けてくれてたんだよ。地球でもこっちでもな」


 俺の言葉を聞くと、アーレイは俯き黙ってしまう。


「魔王なのに変な話だよな。戦うのも面倒って言ってたし、それに地球のが楽しいって言ってたし」


「━━魔王の口から真実を聞きたいのじゃ」


 俺の言葉を遮るアーレイ。


「真実って、さっきのファンキー爺いの話か?」


 アーレイはコクリと頷く。そりゃそうだよな。当事者が生きていて、伝手があるなら話を聞きたくもなるよな。自分の両親の死が絡んだ話なんだし。と言う訳で堺さーん! 現場の堺さーん! 応答してくださーい!


『現場って、なに言ってんのさ柊君は。直接話すって言ってもなーうーん。僕はそっちじゃ力使えないからね。ばれちゃうし、後気軽に呼びかけ過ぎね。本来魔王って魔王城にしかいないからね? フレンドリーな魔王なんて、僕だけだからね?』


 堺さんは、誰にバレたくないんだ? まあ聞いても教えてくれないから聞かないけど。それに、フレンドリーな魔王は最近じゃ沢山居るのを堺さんは、知らないんだな。


 それにしてもどうしたもんかなあ、俺はなにもできないしなー。


『はあ。仕方ない、アーレイちゃんの頭に直接、邪神の加護が降り注ぎ、僕や勇者がテューポーンにブチ切れられるシーンを見せてあげよう。柊君、彼女の頭に手を置いて』


 おっ! 映像で見せるのか! 口で説明するより早いね! 流石魔王様だぜ! そこに痺れる憧れるう!


「アーレイ、今から堺さんが見た、邪神との戦いの記憶を見せてくれるってよ。良かったな」


 ぽんぽんと頭を撫でてあげる。


「━━頼むのじゃ」


 小さな声で、アーレイが頼んできた。俺は、アーレイの頭に手を乗せる。


『柊君、呪文を言うから正確に唱えてね?』


 呪文? そんなのが必要なのか、良し堺さん任せてくれ! 早口言葉は得意だから、噛まない自信があるぜ!


『テクマクマヤコ、テクマクマヤコ、あの日あの時あの場所の……記憶をプレゼンツ!』


「テクマクマヤコ、テクマクマヤコ、あの日あの時あの場所の記憶をプレゼンツ!」


 大丈夫かな? 色々な所からクーレムが来るんじゃないかこの呪文。主にカスラックとか魔女っ子辺りから……。


 俺の手が、黒く光り出す


 時間にして20分程立っただろうか、アーレイの瞳から涙が溢れ出す。


「アーレイ? 大丈夫か?」


「━━ありがとう」


 アーレイはそう言うと、顔を隠しながら布団の中に潜ってしまった。堺さんありがとな、きっとアーレイは前を向いて歩ける気がするよ。あのふざけた呪文は絶対に必要ないと思うけど。


「なんか色々あり過ぎて疲れたなー。蘭、次の街はどうする? アバドンの国にはもう神殿無いと思うんだよなあ、レーダーの反応的に」


「んー。少しゆっくりしてからでも良いんじゃない? エルフの国へ行くなら、1回レイを連れに行かなきゃだし」


『アーレイの国にも神殿はあるんじゃないの?』


 アーレイの国かあ、妖族って名前がちょっと何かホラーな臭いがするから出来ればパスしたいんだけどなあ。


「洋一、怖いんでしょ? 妖怪やらお化けが出るかもって」


 うぐっ図星だがばらさないでくれよ……。


「顔の悪い坊ちゃんにも可愛らしい一面があったんですね! ワテクシ失笑でございます」


 顔は悪くないし、失笑もすんな!


『なんでヨーイチは、そんなに幽霊やらが怖いの?』


「ここここ……! こっ怖くねえし! 余裕だし! タイマンはれるし!」


「『はあ……』」


 二人そろってため息つくな!


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