第80話 地球の結婚、異世界の結婚
伴侶? 伴侶って何だっけ? 伴侶、伴侶? 結婚か?
結婚できるのか? 地球じゃ、結婚できる年齢じゃないよな? 異世界だからいいのか? あれ? 童貞は結婚できるの? 童貞に結婚は、無理じゃないか?
「伴侶? 結婚? え? まじ?」
異世界に来て結婚? え? アーレイは、可愛いけど……あれ? 俺のお嫁さん? 人生の墓場?
「アーレイと俺が結婚? 柊アーレイになるのか? ゴロ悪すぎだろ!」
「(アーレイと結婚は置いといて、落ち着きなよ)」
「いやだって……え?」
結婚かあ、結婚って難しいよなあ。俺もアーレイも親はいないから、親御さんへの挨拶はいらないだろうけど……難しい! 難し過ぎる!
「人間は頭から煙を出すのか!」
「凄いウホ!」
頭から煙? なに言ってんだ?……
「あちいいいいいい!」
『ヨーイチ、落ち着いた?』
落ち着いたじゃねえええ!! あちいよ! ハゲたらどうすんだよ! 焼畑農業は、頭じゃやっちゃだめな奴だよ!
「落ち着かないよ! ってかリュイかよ、俺の頭焼いてたの! ハゲたらどうすんだよ!」
「ハゲの伴侶は嫌なのじゃ……」
ほら! 未来のお嫁さんがハゲは嫌だって! ってか未来のお嫁さんってなんだよ! 俺はボインボインなお姉さんが好きなんだよ!
「ウホッン! ヨーイチ殿の伴侶な事は理解した、妖狐族は現在貴女だけなのだろうか? 他の妖族は……」
理解したじゃねえよ! このゴリラ!
「普通に暮らしてるのじゃ、スペクタの国に居るのじゃ! まあ閉じた国故に、外交はないのじゃ!」
「成る程ウホッ、先代の手記に間違いはなかったのか……夢物語かと思ったが……スペクタの国ウホ……」
「先代の手記って、僕知らないんだけど」
「あっああケルトよ……これは先代から、代々王位を継承した物にしか伝えられていない特別な手記なんだが……」
手記の話なんて知らねーよ! それより俺は、アーレイと結婚しなきゃいけないのか!? そっちのが気になる話題だろ!
「おい、アーレイ! けっけけ結婚ってどう言う事なんだってばよ!」
「てばよと言われてもそのままの意味じゃ……。妖狐族の尾を根本から見て、あまつさえ尻を撫でられたのじゃから、結婚しかないのじゃ!」
結婚しかないのじゃ! って言われても……俺こっちでは未成年だしなあ。
「俺は稼ぎもないし、決まった国にもいないし、未成年だから結婚できないぞ!」
「マスター、あれは治療行為だってわかってるはずですよね?」
そうだ! フーシェンもっと言ってやれ!
「うっうるさいのじゃ! しきたりなのじゃ!」
「(洋一、どうするの?)」
どうするって言われても結婚はなあ、結婚できないって言っても諦めてくれないしなあ。
「ウホニアさん、どうしたらいいですか?」
「ウホッここで私に振るのかね? いやー治療行為だとしても、乙女の尻を触ったなら責任を取らないと不味くないかな?」
「そうなのじゃ! ケイナの尻も触ったのじゃ! 二人共、娶るのじゃ!」
ちょ! お前なんて事を! それは一番言ったらだめな奴!
「ウホッ! ウホッウホ!!」
ほらあ、ウホニアさんがドラミング始めちゃったじゃないか! ケルトさん、口を隠してるけど笑ってるのバレバレだからな!
「ウホニアさん? あの治療行為ですからね?」
「ウホッ!!! いっ妹の尻を触った……だと! 感触はどうだったんだ!」
えっ? 感触? なに言ってんだ? このゴリラは。
「いや柔らかったし、ツルツルだったなーな……ひえ!」
ウホニアさんの目がめちゃくちゃ血走ってる! なんで? 聞かれた事に、素直に答えただけじゃないか!
「いやーあのですね? もう一度言いますが治療行為ですよ?」
剣の柄に手をかけてどうするつもりなのかな? いやまあ多分斬るんだよね?
「その手を斬り落とす!」
はいきたー! お約束パターン! 蘭助けてー!
「ふぐっ! 動けないいい!」
「はあ。ウホニアさん、あれは治療行為です、治療方法に不満なら今も覗き見をしている、創造神様に言ってみてはいかがですか?」
ファンキー爺い! 覗き見してるなら出てこい! 出てこないとエロスをけしかけるぞ!
『うひゃあ、神獣ちゃん怖ーい。あーバレたバレた。若き王よ儂が創造神であーる!』
「創造神様! また来てくれたんですね!」
フーシェンが、尻尾を振って喜んでるが多分違うぞ。こいつ、帰ったとみせかけてずっと居たぞ。
「フーシェン様、創造神様はずっと居ましたよ。アーレイの尻が撫でられてるのをずっと見てましたから」
『バラすんじゃない! 儂の威厳や面子が台無しだろ!』
ケルトさんは口をパクパクしながら驚いてるし、ウホニアさんは、涙を流しながら土下座している。
「ウホッ! ウホウホッ!」
あーまた、訛りでなに言ってるかわからん。
『ふむふむ』
神妙な顔をして頷いてるけど、ファンキー爺いは、ウホニアさんの言葉を理解してんのか?
『なに言っとるのかさっぱりわからん。それ最近の流行?』
ほらねー! わかるわけないんだよ、このポンコツ爺いにさ。
「はっいや! あの! すいません! 私ウホニア・ライゼと申します! アバドンの王を務めさせて頂いています!」
『ホッホッホ。全部わかってるぞ、2回言わなくても大丈夫じゃ』
「いえ、1回目ですが……」
ファンキー爺いの知ったかぶりのせいで、冷たい空気が流れた。




